フランス書院編集部発

【2007年12月28日】

再び、誰もいない編集部にポツーン bY T吾

本日はフランス書院編集部の仕事納め。
6時30分からの忘年会 に参加したため、
編集部に戻ったのが夜の10時ころ。

大急ぎで記事をWebにアップしたんだけれど、
記事の多さもたたって現在、深夜の3時10分
終電はとっくに出てしまいました。
誰もいない編集部でポツンと一人、始発を待ってます。

今日の編集部発、多かったですよね。
いや、来年1月7日 まで更新がないので、
溜まっていた記事を一気にと思って…。

こんな「底の方」 まで読んでくださって、
本当にありがとうございます。

始発までやることがないので、
とりとめのない話を。

美少女文庫から参戦した上原稜くんはまだ大学生
作風は、ライトノベル・テイストの「甘甘」ワールド。

同月刊の夢野乱月さんは、
本日の記事「ウィタ・セクスアリス」
読んでいただければわかるように、
官能小説の王道を歩んできた本格派。

年齢も、
歩んできたキャリアも、
めざす作風も(誘惑系と本格凌辱系)、
まるっきり違う二つの作品が、
いま書店の平台で隣り合わせに 並んでいます。

でも、なんかそれっていいなぁ、って。
ただそれだけなんですけど(´∀` )
(すいません。疲れてもうわけが…)

少し横になります。
おやすみなさい。

【2007年12月28日】

超・極私的2007年 by 編集Y

超・極私的2007年

 何か、大仰なタイトル付けですが……。
 編集の裏で、何をしているのか? 編集から離れたところで、どのような生活を送っているのか?
 そのトピックとなった出来事とともに、振り返ってみましょう。

★来春に迫った一大プロジェクト の一員に抜擢される
 とはいっても、現実にやることはほとんどない。そう思ったところで、「メンバーなんだから○○やれ」と唐突に仕事がぶっとんでくる始末。はてさて、先が思いやられます(≧w≦;)

★社内極秘事項の管理人に任命される
 営業部の“女マスター”から、「リーダー」と命名されてしまいましたが……。急に、古田敦也のように選手兼任監督 をやる気分(;´ρ`)

★一応、鉄人を継続
 金本兄貴には遠く及びませんが……。とりあえず、6年連続皆勤 となりました。なお、見返りとかは皆無でございます……。中学のクラス会で、「お前、ガンか?」と言われるような見た目なのは、引っかかる(ヤバイ?)。そういえば、健診でも前年より減量していたし(アラアラ)

★海外遠征
 といっても、出張ではないですよ(苦)まあ、いわゆるPRICELESSツアー ですから、最大の目的が果たせればいいのですが、「出発前夜に船橋のネカフェ泊~帰国日の朝6:50に集合」って……。
 時・間・が・な・い・も同然……。

 小生の、「このフランス書院文庫がすごい!」ランキングは年明けで……。

 2007年も多大なるご愛顧、誠にありがとうございました。

 それでは皆様、よいお年をお迎えください。(Y)

【2007年12月27日】

このフランス書院文庫がすごい! 途中経過発表

「このフランス書院文庫がすごい!」
現時点での途中経過をお知らせします(敬称略)。

1位 20P
「危険な訪問者 未亡人叔母の寝室」秋月耕太

2位 19P
「年上三姉妹【素敵な隣人たち】」弓月誠
「美臀未亡人」麻実克人

3位 16P
「継母と義妹と悪魔高校生」管野響
「彼女の母【個人教授】」櫻木充

4位 13P
「狙われた媚肉(上下)」結城彩雨

5位 10P
「独身叔母と人妻と高校生」神瀬知巳
「オフィス地獄レイプ!」風吹望
「魔獄レイプ すべての女は美畜である」佐伯秋彦
「熟母輪姦」夏島彩
「凌辱タクシー」足利武志
「美姉弟【狂った絆】」田沼淳一
「淫姦 実母と姉と家庭教師」田沼淳一
「人妻肛虐授業参観」御堂乱

7位 6P
「甘く危険な休日 僕のママ・友だちの熟母」神瀬知巳
「危険な同居人 ママと美姉・プライベートレッスン」秋月耕太
「女教師・裕美の放課後」綺羅光
「獣夜 地獄レイプ!」神子清光
「若妻と誘拐犯 密室の43日間」夏月燐
「人妻と痴漢集団」足利武志
「三人の年上体験 若兄嫁と家庭教師と上級生と」鏡龍樹
「猟色の檻 熟夫人と美姉妹」夢野乱月
「年下の美人課長【深夜残業】」黒沢淳
「隣りの果実 熟未亡人と娘姉妹」巽飛呂彦
「未亡人ママと未亡人女教師」神瀬知巳
「女教師姉妹」藤崎玲

秋月耕太が20Pを獲得して、単独1位に。
それを弓月誠、麻実克人が追いかける展開に。
さらに結城彩雨や櫻木充といった「巨匠系」の数字が
ジワジワと伸びているのにも注目。

次は作家別のランキングです。

1位 26P
秋月耕太

2位 25P
弓月誠

3位 22P
神瀬知巳

4位 20P
田沼淳一

5位 19P
麻実克人

6位 16P
管野響
足利武志
櫻木充

7位 13P
御堂乱
結城彩雨

8位 10P
風吹望
佐伯秋彦
夏島彩

9位 9P
夢野乱月
鏡龍樹

ここでも秋月耕太が単独首位。
現時点(2007年12月末)での二冠を達成!

最初は票がバラけてどうなることかと思ったのですが、
投票者数が増えるに従って、
徐々に作品が絞られてきましたね。

投票された「回数」の多さでは弓月誠
5人の官能小説家から「すごい!」と名前を挙げられる。
逆に田沼淳一は2人から「1位」を獲得して、一気に4位へ。
熱狂的なファンが多い理由もわかる気がします。

まだまだ続く「フランス書院文庫がすごい!」
作家、編集者だけでなく、
校正者の方まで 加わってくれそうです。

実は、ランキングの上位に入っている作家の皆さんは
まだ誰も投票をしていません。
彼らの票が今後のランキングの行方を左右するかも。

【2007年12月27日】

このフランス書院文庫がすごい! T吾編

ルール通り、自分の担当以外から。
不動の1位、2位、3位。
ほとんど迷う必要はありませんでした。

第一位「年上三姉妹【素敵な隣人たち】」弓月誠
この四年間の誘惑系は、「弓月誠」との闘いでした。
ホント何度やられたことか……。

今だから言えるけど、
弓月先生の担当になりかけてたんです
(メールのやり取りまでした記録が)。

なのに土壇場で、
ドジョウが手から逃げ出すようにスルッと ……。゚(゚´Д`゚)゚。

あ、弓月先生、
僕のメールアドレス 変わってないので、
S夫と”何か”あったらいつでも連絡おまちしています。

第二位「女教師姉妹」藤崎玲
確か、この当時は
現・美少女文庫編集長のMくんが担当。

最初ゲラを見たとき、
正直ここまで売れるとは思いませんでした。
その不見識 を正してくれた感謝も込めて。
黒本における本格凌辱の強さを再認識しました。

藤崎先生は千草忠夫門下だとご推察するのですが、
親しみやすい門下生、に思えます。特に若い世代にとって。
ガンダムに例えるなら、ブライトじゃなくて
スレッガー中尉のポジション(わかりにくいか)。

その親しみやすさの理由を考えていくと、
マンガ、アニメなど第三世代の匂いが
もしそうなら、それは強力な武器です。

第三位「危険な同居人 ママと美姉・プライベートレッスン」秋月耕太
高竜也、牧村僚、西門京……などの誘惑小説に
慣れ親しんでいた世代にとって、
誘惑第三世代の作品群は衝撃でした。

神瀬知巳でショックを受け、
秋月耕太でビビり、
上原稜でトドメを刺された、という感じ。

これまでの知識や経験で、
官能編集者をしちゃいけないんだな 、と
思うきっかけになった一冊。

ちなみに誘惑第三世代のゲラを読んだ(長)の感想
神瀬「(ぽつりと)…甘甘だな」
秋月「…かなり甘甘だな」
上原「…大丈夫なのか? 」→と、思ってしまうほど甘甘だったらしい。

【2007年12月27日】

このフランス書院文庫がすごい! by S夫

読んだときの「すごさ」で選びました。

第1位「美臀未亡人」 麻実克人

すごい。素晴らしい。完璧。
何度も読み返しています。
真似しろといってもできない作品 です。

P.S 麻実先生のお姉さんを紹介してください

第2位「未亡人ママと未亡人女教師」 神瀬知巳

「オナニーして」と、自分のピンナップを息子に渡すママ。
ときめきました。必読です。

第3位「最高の楽園 四人のお姉さまと寝室」 上原稜

自分が担当している作家に、見本を何冊も送りました。
10年後、天下とってる と思います。

【2007年12月27日】

このフランス書院がすごい! 【S子の本当に新妻編】

覚えていらっしゃる方、おりましたでしょうか。
元フランス書院編集部員・S子 です。

今年10月、フランス書院を退社 いたしまして、現在の職業は由緒正しい新妻(社宅住まい)です。さっきまで昼寝してました。さて、孤独なクリスマスを過ごしたらしいS夫と、マスクで顔を三分の二を覆った変態のようなT吾から声をかけられて、このフランス書院文庫がすごい! に一票を投じるべく、久々に登場させていただきました。ワタクシ如きが意見を申し上げるなど大変恐縮なのですが、少々スペースをおかりいたします。

現在、本州最北端の町の片隅で、過去を隠して ひっそりと暮らしているため、手元にフランス書院文庫がない状態です。ここ数年で私S子にとって印象的だった作品について完全なる記憶スケッチ状態で書かせていただきます。細かい点等誤りございましたら、すみません。若妻ではないですが、償います。(リスペクト@「若妻【償い】」星野聖)……嘘です。なにかあったら(長)にクレームを。

余談ですが、インターフォンが鳴ってドアを開ける時に「もしこのドアを開けて、運送屋のおにいちゃんに犯されたら!…(新妻だけに)」と必要のない凌辱警戒心 を覚えてしまうフランス書院的な後遺症が抜けきりません(なお、この文章は伊達巻き(大好物)を食しながら記しました。S子)

1位「危険な訪問者 未亡人叔母の部屋 」秋月耕太
○○を口うつしするシーンに衝撃を受けました。こんなこと考える必要はないのでしょうが、ゲラを読みながら私にはできない…と思ったことをよく覚えております。日常生活のなにもかもをエロく且つラブく演出することは可能なのだなと思った次第です。弓月誠氏、神瀬知巳氏など、ほかにもこの新しい波をつくった代表的な作家さんはいらっしゃいますが、個人的に相姦・誘惑系の新しい可能性 を改めて強く感じた作品でした。

2位「年下の美人課長【深夜残業】」黒沢淳
ここ最近読んだオフィスもので一番面白いと 思いました。
ハードな凌辱系でもなく、アマアマな誘惑系でもない。それでも中途半端に陥らずに読ませてくれます。複数ヒロインを登場させるという、昨今の売れ線の定石をふんでいるのですが、数多く登場する人物を物語展開にきちんとからませている 話作りのうまさが印象的でした。

大事な事を言い忘れてました。ゲラを読んだ時の最初の感想は「エロ~い」でした。もちろんちゃんとエロいです。ちゃんと、ちゃんとのフランス書院ですから。

3位「新妻奴隷生誕 凌辱の星の下に生まれて」北都凛
わたくしS子思うところの理想の新妻凌辱生活【セレブ編】として選ばせていただきました。
社長夫人、シックで高級感あふれるマイホーム……磯の香り漂う海辺の町でしょぼい社宅に住む私S子には望むべくもない、ラグジュアリーさにドラマチックさ。設定、構成、キャラクター、すべてバランスがとれており完成度の高い作品だと思います。肝心の官能描写含め決して目新しいタイプの作品ではないのですが、こつこつと積み上げられた感があり説得力があります。ジャ○コと社宅を往復する日々 を送るS子も、さらわれてみたいもんだと思わせる力がある作品です。

【編集部コメント】
以上がS子が選んだ三作でした。フランス書院の「働きマン」と呼ばれていたS子、さすがなセレクションです――って、なんだこれは。あれほど面倒見の良かったT吾先輩の担当が一作も入ってないじゃないか(北都先生はこの当時、編集M担当)。せめて「若妻【償い】」ぐらい入れてもいいじゃないか。裏切り者! 出不精(カタカナ表記でデブ精)! 巨獣!……と、この原稿を見た瞬間は、心の中で罵りはしましたが、退職したにもかかわらずベスト3を送ってきてくれた、S子、本当にありがとう!(今度会うときは、せめて一目で君だと”わかる”体型でいてね)

【2007年12月27日】

このフランス書院文庫がすごい! 編集M編

編集M(美少女文庫編集長)が選んだベスト3。

1位 『淫姦 実母と姉と家庭教師』 田沼淳一
 萌え系ライトHノベル をつくってきた編集Mですが、田沼パワーに感服です。
 不覚にも本作のラストシーンには感動 してしまいました。
 息子の子供を孕んだママ、幸せになってほしい。

2位 『隣りの果実 熟未亡人と娘姉妹』巽飛呂彦
『あねきゅん お嬢様な三姉妹!』 で美少女文庫にも参戦していただいた巽飛呂彦。
 フランス書院文庫でいちばん好きな作品が本作です。
 エロエロさはやっぱりナンバーワン!

3位 『義母と新任女教師 二つの青い体験』新堂麗太
 美少女文庫に専念するまで担当していました。
 今では本当に売れっ子に……。誘惑の競い合いが読みどころ です。

【2007年12月27日】

2007年のルーキーとその候補たち

今年、フランス書院文庫からデビューした作家は4人でした。郷田浪、里見翔、嵐山鐵、犬飼龍司です。また、美少女文庫から参戦した上原稜のケースもありました。次へのステップは各人各様でありますが、しかるべき時期に、情報をお伝えしていこうと思っております。

・郷田浪……大きな構想力をベースにした、キレのある連続凌辱劇が持ち味です。世界を広げれば、それこそ膨大な量を誇る“官能活劇”を描いてしまうほど、奥深い底知れぬ魅力がある逸材です。
・里見翔……米長邦雄永世棋聖のニックネームに“泥沼流”というものがありますが、フランス書院文庫版泥沼流を名乗るに相応しいのは、この里見翔でしょう。「こんな相姦、見たことない」という驚嘆の声、鳴りやまず!
・嵐山鐵……フランス書院編集長特別賞を受賞した新星です。現役医師というご本人の特性を生かした凌辱ストーリーは、独特の臨場感にあふれています。“ドクターA”の飛躍は、2008年注目の的です。
・犬飼龍司……嵐山鐵同様、昨年の官能大賞に応募して、デビューに至りました。上原稜ほどではありませんが、まだ若く、伸びしろは随一と言えるでしょう。私的には、囲碁界の新星・井山裕太七段を彷彿とさせる、次代を担う逸材と期待しています。

 このような新人予備軍や隠し玉(?)は、まだまだ控えています。フランス書院のさらなる新戦力の創出に、どうぞご期待ください。(Y)

【2007年12月28日】

夢野乱月のウィタ・セクスアリス 3

ラウラ・アントネッリの腋
 私の性的妄想歴を語る上で、二千本を超える映画を観てきた映画好きとしては映像について触れておかないわけにはいきません。

 少年期に出会ったアンドロメダ以来、女性の腋窩は私にとって欠かすことができない性的フェティシズムの対象なのですが、それを決定づけたのがルキノ・ヴィスコンティ監督の遺作『イノセント』 でした。妻を寝取られた男の愛憎と妄執をみごとに描ききったこの傑作で妻を演じた女優がラウラ・アントネッリだったのですが、彼女の腋窩にはひと叢の毛が生やされていました。もちろんそれはヴィスコンティの狙いなのですが、美女の腋窩を飾る毛叢――その妖しく美しいエロティシズムに私は完全に魅了されてしまいました。
 その衝撃がどれほど私に影響を与えてしまったか――それは拙作を読んでいただいている読者の皆さんがご存知の通りです。

新作『未亡人獄』のルーツ
 80年代なかばからアダルトビデオ、AVが登場しました。いまや老舗メーカーになってしまいましたが、シネマジックの創成期の諸作 を観た時の衝撃は忘れることができません。なにしろフィクションとしてしか知らなかった鞭や浣腸といった責めがリアルな映像として眼の前で展開されるわけですから驚きでした。

 他のメーカーと違い、シネマジックはライティングに凝った精緻な映像で、物語の骨格があり、緊縛もおざなりではなく美しかったことから私のお気に入りとなりました。私見では菊池えりさんと中野D児氏のコンビによる『シスターL』 三部作が最高傑作ですが、この他にも『奴隷秘書』『喪服奴隷』『被虐の女戦士』といった魅力的なシリーズがあります。
 私の新作『未亡人獄』は執筆時には担当編集者のT吾氏と「喪服奴隷」 という符牒で呼びあっていて、シネマジックの偉大なシリーズへのオマージュでもあります。

 またT吾氏とは『奴隷秘書』もいつかやりたいものですね、と策謀しておりますので、そのうちに実現するかもしれません。実は私としては夢野版『被虐の女戦士』 も思いきりやってみたいのですが、これはいまのところ夢想であるに過ぎません。

 身勝手で私的な性的妄想歴を書き綴りましたが、私のつたない作品はこれらの妄想の来歴と不可分なものばかりです。もし読者の皆さんに愉しんでいただいているとすれば、世界のダークサイドを本籍として生きてきた私にとって、これに勝る悦びはありません。

【2007年12月28日】

夢野乱月のウィタ・セクスアリス 2

SMに市民権はなかった
 SMという言葉が存在することを知ったのは中学時代でした。本のタイトルはおぼろげですが、ある日、本屋で黒い箱に入った銀色の叢書(確か「SM叢書」というような名前だった気がします)の一冊に出会いました。パイプを組み合わせた器具に女性が拘束され ヤクザに嬲られる場面を鮮烈に覚えています。買う勇気を持ち合わせていない私は、その日から本屋に通いつめ、純文学の棚の前へそっと持って行っては立ち読みを続けて、その叢書を全巻読破したのでした。もちろん、夜、布団に潜り込むと記憶を元に妄想を解き放ち自慰に耽ってしまったことは言うまでもありません。
 自分の秘められた嗜好をくくるものとしてSMというカテゴリーがあり、市民権はまだ得てはいなかったものの小説まである ――これは私にとって革命的な出来事でした。

恐ろしげな名前の巨匠
 高校生になった私は団鬼六氏の世界 に出会います。『やくざ天使』という作品がこの恐ろしげな名前の巨匠を知ったきっかけだったと思います。そして、もちろん『花と蛇』――。
 貴婦人静子、気丈な女探偵京子、淑やかな令嬢小夜子に美少女美津子、美しい女たちが次々と捕えられ、淫猥極まりない責めにさらされて羞恥と屈辱に啜り泣く、絢爛たるこの大河小説 は、すでに当時から古典の風格と品格を備えていました。浣腸という女を羞恥の奈落に突き落とすとんでもない責めがあることを知ったのもこの作品からでした。

 地元で買うのははばかられたのでわざわざ電車に乗って隣の市に出かけて買い集めてきた『花と蛇』 は高校時代の私のバイブル、世界のダークサイドへといざなう導きの書でした。
 私は特に小夜子のファン でしたので、彼女の登場場面を何度読み返したか知れません。今でも「小夜子」という名を眼にすると当時の興奮をまざまざと思いだしてドキドキしてしまいます。

鞭と烙印の衝撃
 『花と蛇』と並ぶ高校時代の私のバイブルがポーリーヌ・レアージュの『O嬢の物語』 でした。もちろん澁澤龍彦氏の翻訳版です。バタイユの『エロティシズム論』を「エロティシズムとは死にまで至る生の称揚だ」という名訳で始められた澁澤版でなければならないと現在に至るまで頑なに信じています。

 怪しげな洋館に連れ込まれた美女が男たちの共有物となり、調教されて性奴として目覚めていく古典的な名作ですが、シチュエーションと規律の完璧さ、容赦のない鞭打ち、そして烙印という過激な世界に受けた衝撃と影響は計り知れません。私のつたない作品の中にもその影響が色濃くにじんでいると思います。
 尊敬する千草忠夫氏 が『奴隷学校』という作品に翻案されていますが、いつか夢野版O嬢を書いてみたい――これもまた見果てぬ夢です。

縛られた女は美しい
 大学生となり、東京に住むようになった私にとって、神保町が聖地 でした。古本屋を徘徊しては、当時隆盛を極めていたSM雑誌のバックナンバーを物色しては買い集めていました。しかし、それは小説を読むためではありません。現在に至るも私は雑誌に連載されている小説を読むということがとても苦手で、小説は本としてまとめられてからでないと読むことができないのです。
 SMファン、SMセレクト、SMキングなどなどといった雑誌を買い漁っていた理由は単純にヴィジュアルなグラビアや挿絵の収集が目的でした。

 「縛られた女は美しい」 ――これはSMスナイパー誌の秀逸なコピーですが、篠山紀信氏の激写が全盛の時代に、私にとって最大の宝はSM雑誌のグラビア、とりわけ巻頭の絵物語や挿絵でした。春日章氏の熟れた和風美女、沖渉二氏のモダンな美女、椋陽児氏の美少女――それぞれの名画伯が描く緊縛画はそれ自体を見ているだけでまったく飽きることがなく、私の妄想を解き放ってくれました。

千草忠夫が神だった
 そしてこの学生時代に私は千草忠夫氏の世界に出会います。ただこのあたりの記憶がかなりあやふやで、最初に手にとった本が『レイプ環礁』なのか、『女高生嬲る』あるいは『姦淫ハーレム』だったのかが判然としません。ただ、私が千草氏の世界に完璧に溺れることとなったのは『嬲獣』と『美肉の冥府』の二作からでした。

 美しい文章、精緻に描かれた調教部屋、下品さに陥ることがない男たち、豊穣な物語とドラマとしての結構のみごとさ――いずれもが千草氏の他から抜きんでた特長ですが、なによりも過酷に責められ、堕ちていく女たちの儚いまでの美しさに 私は魅了されてしまいました。あれだけ多くの女を描きながら誰ひとりとして類型に落ちた女がいない筆力と、決して淀むことも枯渇することもなかった創作意欲――巨匠の巨匠たる所以と言うべきでしょう。
 『闇への供物』『嬲獣』『凌辱学習塾』 、この三作がそれぞれのヒロインともども私のベスト3です。

 その千草氏が逝去されて、新作をもう二度と読むことができない――、私にとって読むべき官能小説がなくなってしまった――その絶望感と飢餓感 が夢野乱月誕生の契機となったことはデビュー時に書いた通りです。

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