フランス書院編集部発

【2012年12月26日】

作家が選ぶこのフランス書院文庫がすごい!2012

作家が「すごい」と思った本は、本当に「すごい!」に違いない――

「作家が選ぶこのフランス書院文庫がすごい!」――熱い声に応えて、復活です! 急なお願いにもかかわらず、当欄で募集したところ8名の作家さんから投票がございました。みなさん、ありがとうございます!

それでは早速まいりましょう。2012年、あなたが読んだあの作品を作家はどう読むのか? はりきってまいりましょう!(作家さんは五十音順に紹介します)

 

■青橋由高

1位『同級生の母娘【初体験の家】』上原稜

「こんな官能小説が読みたかった!2013」(綜合図書)でも選びましたので、詳細はそちらを参照……とかすると手抜き&あざといので自重。

自分でも似たような出だしをやったことがあったので気になった作品でした。やっぱり書き手が異なると全然違う話やテイストになるんだなーと感心させられました。
あと、とにかく濡れ場シーンが丁寧でエロス。エロス大事。意外とここしっかりしてない作品もあったりするので。

2位『強奪中 姦禁マンション』吉見晶

タイトルから予測したのとは異なるストーリーで驚きましたけど、個人的にはこういうの好きだからオッケー!
ただ、ジャンル分けがちょっと難しいかなぁ、終盤はもうちょっとヴォリューム欲しかったかも、などとは思わせつつも、不思議な魅力というか、伸び代を感じさせた1冊

3位『最高の個人授業』鷹羽真

なんかこう、作者の苦心が伝わってくるような力作。これ、絶対時間かけて書いてるよな、みたいな。
甘々というかチョロい展開がある意味現代官能小説の一つの王道路線……なんだけど、あの独特のオノマトペ炸裂でいつもの鷹羽ワールド展開! ハマる人はとことんハマる気がします。

今年は積んである黒本・美少女文庫も多く、もっと積極的にインプットしないとなぁ、と3冊選びながら思いました。なお、私も黒本で1冊出してますが、誰も投じてくれなかった場合、拗ねて来年からこの企画に参加しなくなる可能性が(笑)。
あ、懐かし?の『メイドと巫女と極甘生活』の後日談同人誌第2弾も書きましたので、万が一興味がある方がいらっしゃいましたら大晦日はコミケへいらっしゃいませ。

以上、黒本のイロモノ作家でした!

  

〈編集部より〉
青橋由高先生、ありがとうございました!
フランス書院文庫、美少女文庫、さらには他社のお仕事……そして年末は同人誌という忙しさ。精力的にご活躍の青橋先生。近刊はフランス書院文庫で『私のご主人さま 和メイドと未亡人と少年と』、美少女文庫で『SPメイドはエロエロです』。来年2月にはフランス書院文庫で新作も発表。青橋由高先生の「動向」には目が離せない!

 

===============

■有馬童子

1位『獣字架学園Ⅱ 女教師【聖姦】』綺羅光

昨年(2011年10月)上梓された『獣字架学園 美少女【刻印】』の続編です。このコメントにさいして、もう一度前作を読み返させるほど充実した内容でした。それもそのはずで、今回のヒロインは前作で美少女を性奴隷にする悪魔教師に手痛いしっぺ返しをした美人教師なのです。その意味では読み返すほどに、前作は本作の序章なのではなかったかと思わせるほど筆致に緊張感があり、したがってこの二部作は壮大な官能ロマンとして読む者にせまってきました。

本作の冒頭、悪魔教師の企みが手馴れた手法で「これはゲームなんだ」という言葉に象徴されるように、期待を裏切らずに緊張感とともに心身の凌辱ゲームが進んで、思わずドキドキと興奮させられます。もうそのあとは、ヒロイン藤香が悦楽の奈落に突き落とされながらも、心の奥底で清廉さと気高さを失わず、さらに肉体の疼きと官能地獄に苦しむ中に美しさが際立つ……。

学園側の立場で風紀を取り締まるヒロインをアメリカの手先(もしくは中国の文革の反動性)、自分たちはチェ・ゲバラだとみなす悪魔教師・京作(狂作)の機知と狡知、汗ばむような男の嫉妬がおもしろい。そして、ふつうの男子生徒である草太がその悪魔の片棒をかついでしまうところに、作品全体を上品に仕立てた妙味があるのです。ぜひとも、前作と併せてお読みください。

2位『若妻女教師と新人女教師』神瀬知巳

第2位も女教師モノですが、こちらはいわゆる誘惑系の作品。
S級の「最甘」世界、という帯のキャッチコピーなのですが、誘惑系に特有の不自然な心理描写がない、ほどほどに納得のいく甘さでした。嫉妬と性欲にさいなまれ、欲望が先走ってしまう肉体に、かろうじて追いすがる女教師としての理性。彼女の自分への言い訳が哀しくも健気です。歳は違っても立場が違っても男女は対等のルール、これが肉体関係のルールなのですね。お尻まで感じてしまう女に堕されるまで、この作品のほぼ半分以上がヒロインの悩ましい視点で描かれているところに、成功の秘密があるように感じられました。人妻女教師の美有紀さん、あふれるような魅力があります。

かように、官能小説も人間を描くという意味では、すべからく知的心理小説であるべきだと痛感しました。アダルトビデオよりも官能小説のほうがよっぽどエロいと、フランス書院を手にとってくださる読者のみなさんは、その意味で知的階層なのでしょう。
といっても、ヒロインはじつは3人なのです。前後半で時間軸を逆転させてあるので、二度美味しいと感じさせるか、起承転結にもどかしさを感じるかは、読者のお好みになります。ラスト、ネタバレですが後輩の女子高生もスパイス的に絡んで、底なしの甘さをかもし出す。やっぱり「S級の『最甘』世界」というのは本当なのでした。

3位『淫獣の家』藤崎玲

両親が亡くなって初めて会った実母、叔母、血のつながらない妹が主人公の相手です。それぞれが愛憎や事情を抱える立体的な相関図であって、平板で甘ったるいだけのハーレム世界でないところに、この作品の魅力があると思います。冒頭の人間関係の紹介がやや解説的にすぎる嫌いはあるものの、それも却っておごそかで上品な気分をもたらしていると感じました。やはり官能小説の人物と環境設定は、必要以上に上品な趣きのほうが凌辱シーンとの落差を大きく感じさせて良い、という好例でありましょう。

少年が悪魔のような決意を固めてからは、おごそかな設定がいかにも軽く奈落へと転がり落ちるのですが、描写は激しくてもその軽さゆえに嫌な痛みを感じさせないのです。このあたりは、凌辱小説としては読者を選ぶかもしれません。その代わりに、ズンズンと誘惑小説のような雰囲気に入り込んでいきます。激しい凌辱小説でありながら、甘い誘惑臭すら感じさせる筆致。最後は甘いハーレム展開なのに、凌辱性を破綻させない構成力は凄いと思いました。

※以上、わたしの目に付いたタイトル買いのレビューであって、フランス書院年間72作品すべてを読んだ上での選評ではありません。お好みということでご容赦ください。

  

 〈編集部より〉
有馬童子先生、ありがとうございました!

誘惑小説と凌辱小説が混じった独特なランキングですね。「面白ければ、エロければ、ジャンルなんて関係ない」という好例なのではないかと。
有馬先生の2012年は、『人妻奴隷調書 美獣に変わるまで』を3月に、12月末には『美しき共犯者【ママと先生】』を上梓。ランキングを見て「趣味があう!」と思った読者の皆様、ぜひ今書店に並んでいる新刊を手にお取り下さい!

 

===============

■庵乃音人

1位『私のご主人さま 和メイドと未亡人と少年と』 青橋由高

和装メイドのキャラがとても魅力的でした。

2位『熟女は僕を眠らせてくれない』楠木悠

「背の高い熟女」という設定にフェティッシュな面白さを感じました。

3位『人妻バス旅行【蕩ける】』新堂麗太

熟女たちとの旅行中にそのなかから幼いころに別れた本当の母親を探す、という物語に面白さを感じました。

  

〈編集部より〉
庵乃音人先生、ありがとうございました!
庵乃先生は『妻の姉【二週間の秘園】』を2012年6月に刊行。フェティッシュな世界観でご活躍されております。「ベスト3の相性が合う方」なら先生の作品も楽しめるはず。次回作は2013年1月末に刊行です。お楽しみに!

===============

■梶怜紀

読んだ総作品数:29冊(2011年12月22日発売から2012年11月22日発売まで)

1位『僕の専属奴隷 未亡人兄嫁と若兄嫁と義母』森一太朗

2位『狂愛オフィス23時 三匹の美獣社員』風吹望

3位『強奪中 姦禁マンション』吉見晶

甘々凌辱に特化していますね。
自分でも、そういう作品を書くせいか、その手の作品が好きですね。
なお、梶怜紀の諸作も絶賛発売中ですのでよろしくお願いします。
それにしても、「謝礼としましては――当欄で先生の近刊を、心をこめてご紹介させていただきます」はセコイですね。
「いつもお世話になっている先生方を神楽坂で芸者付きで接待します」ぐらいのことは仰ってもよい様な気がしますが(笑)
あそうだ、1月に梶の新刊が出ます。そちらも買って読んでください。

  

〈編集部より〉
梶怜紀先生、ありがとうございました!
官能小説編集者たるもの、先生を芸者遊びさせてこそ一流ですね。汗顔の至りでございます。とはいえ、ご参加いただきありがとうございました。
2012年の梶先生といえば、やはり7月刊『二段ベッドが揺れる【美姉妹蟻地獄】』でしょうか。作家さんと打ち合わせするたび「あのタイトルはすごい」と絶賛の嵐。まさに2012年、記憶に残る一冊。ぜひご一読ください。

 

===============

 ■神瀬知巳

1位『私のご主人さま 和メイドと未亡人と少年と』青橋由高

一位に選ばせていただいたのは、メイドというジャンルを、黒い表紙の世界にまで馴染ませてしまった驚異の浸透圧! 美少女文庫エース作家、青橋由高先生のフランス書院文庫における三冊目です。
美少女文庫の作家さんが、フランス書院文庫の方で活躍されることが当たり前になりましたが、当然同じ作風でという訳にはいきません。読者層の違いを意識して、現実寄りのストーリーと落ち着いた文章が必要になります。でも、みなさんそういった障害を軽々と乗り越えて結果を出すんですよね。美少女文庫作家の優れた才能と適応力は、美少女文庫編集長Mさんの調教のたまものでしょうか。そんなMさんの調教がよく行き届いた青橋先生、今回も読んでて困っちゃう秀逸なニヤニヤ台詞が満載です。

・「まったく、なんですかこの巨乳はっ、牛ですか、乳牛ですか!」
・「ほら、さっさと奥様を犯しなさい旦那様。そんなにびんびんにして……浮気者」

ちなみにこれ、両方とも和服ヒロインの台詞です。しとやかな着物美人が“乳牛”って……。ノリノリの青橋先生、バンザイ!

2位『女医とナース【淫虜】(とりこ)』小日向諒

『新人らしい勢い』だとか、『まだまだ荒削りだがキラリと光る』なんてありがちな枕詞は小日向先生に限っては見当たりません。これで三冊目とは思えない完成度、ベテランの風格。よく練られた地の文、ムードある台詞、細部まで行き届いた文章を読めば、一文一文が何度も推敲され、丁寧に書かれたことがわかります。嘘だと思うなら、ほら立ち読みを。

卑猥な台詞でもしっとり上品な情感を有し、常に隠微な雰囲気をまとっているのは、作家が読者に提示したい世界観をしっかり持っている証です。これぞ良質のエロ小説。

あらまあ、こちらの御本は12月14日に電子書籍になったばかり? 買い逃してしまったうっかりさんも、すぐに読めるんですね。なんて便利な世の中なのかしら。

3位『ルームシェア【危険な共同生活】』砂原純

この本は、わたしが帯を書かせていただきました。フランス書院作家としては、書院らしくない話に惹かれる傾向があります。東雲理人先生のデビュー作から続く極限の甘さや、巽先生の『【密会】妻の母、妻の姉と』で顕著だった隠微なのにからっと明るい作風は、ほかの作家さんには見られないもので読んでいて楽しくなりますね。
さてルームシェアという登場人物の入り組む難しい題材、そして性格付けの異なった三人ヒロインを上手に配した砂原先生のこの作品も、フランス書院らしさから逸脱した面白さを感じました。

修学旅行でホテルや旅館に泊まった夜、女子部屋に一人で遊びに行った男子生徒――といった説明で、ルームシェアの独特の空気感は伝わるでしょうか。学校指定のジャージ姿の女子生徒と、既に布団の敷いてある部屋で緊張しながら過ごし、最初はつたなかった会話が徐々にほぐれて、それまで知らなかった女の子の性格や本音がちらちら見え隠れして……そんな甘酸っぱいあの頃を思い出すデビュー作だったと思います。

ちなみにわたしは三人のヒロインのうち、エリカちゃんのような奔放キャラが大好きです!

  

〈編集部より〉
神瀬知巳先生、ありがとうございました!
「一流の作家は、一流の読者である」とでもいうかのような見事なレビュー。どれも読んでみたくなるレビューばかり……感嘆、のひとことです。
2012年の神瀬先生は『若妻女教師と新人女教師』『隣家【癒し系の母娘と僕】』の2冊。
他、電子書籍限定で『隣家【癒し系の母娘と僕】』「ロング・エピローグ」を発表。しかもそも売れてしまうという驚異のヒットメーカーぶりをまざまざと見せつけてくださいました。どの作品もおすすめです。

 

===============

■如月蓮

1位『【誘惑三重奏】私立高校生徒会』犬飼龍司

学園もので、ありそうでなかった世界観がツボでした。それぞれのキャラクターの味わいも、好感が持てました。

2位『友人の母【甘く危険な罪人】』村崎忍

独特の風格ある表現、巧みな心理描写が印象的です。全体を通して、タイトルにある「甘さ」だけではなく「危険な香り」を漂わせるところに、作家の個性を感じました。

3位『金曜日の相姦 未亡人ママ・禁姉・美妹』星野ぴあす

どのヒロインとも、相姦の密着度が凄いです。男の子が大変(?)かも知れませんが、これはこれで夢のある話だと思いました。

  

〈編集部より〉
如月蓮先生、ありがとうございました。
2012年は『三姉妹はいつも僕の心をかき乱す』『艶と華 和服三姉妹』を刊行。
コンスタントに良質な作品を刊行しつづけていただいております。またフランス書院文庫きっての女流作家としても知られております。妖艶で流麗な美筆に、酔い痴れてください!

 

===============

■草飼晃

1位『脅姦【黒帯の女】』天海佑人

2012年フランス書院文庫最高の収穫。こういうのが毎月読めたらいいなあと思います。テンポの良いストーリーテリングが魅力的でした。

2位『誑かす【三人の若妻】』御堂乱

安定・安心の御堂さんブランドからはどれを選んでもよかったのですが、こちらを。「おのれ~っ、ルパン~っ、次は逮捕してやるからな~」的なラストが最高でした。

3位『准教授の妻は三度狙われる』結城彩雨

三篇とも、“すでに何かが始まっている”冒頭がとにかく凄い。そして全ページ、無駄のまったくない文章。もはや感嘆の溜息しか出ませんでした。

  

〈編集部より〉
草飼晃先生、ありがとうございました。
実は今年の本企画の復活は、草飼晃先生の1本のメールから始まりました。ご覧のとおり、草飼先生の嗜好がうかがえる「濃い」ランキングになりました。「趣味があう」読者もいらっしゃるのでは?
草飼先生といえば、衝撃のハードXノベルズデビュー作『女教師は六度犯される』でしょう。当時月刊PLAYBOY誌で官能小説レビューの連載をしていた、高橋源一郎先生に賞賛された名作です。圧倒的大ボリュームの本作、現在は電子書籍で読むことができます!

===============

■御堂乱

1位『女子高文化部』甲斐冬馬

甲斐先生はプロ意識に徹しておられる方。文章が上手く読みやすいうえ、内容もエロのフルコースです。凌辱者が美少女たちの弱みにつけこんでジワジワと追いつめていくシーンのテンポの良さに唸らされました。

2位『薔薇と蠍』夢野乱月

歌うように言った雪乃が優雅な手つきで三つのグラスを細かく泡立つ琥珀色の酒精で満たしていく――

さりげなくこんな文を書ける官能作家は、フランスにも他社にもいないのではないでしょうか。夢野先生の描く女性たちは堕とし甲斐のある最高の美女ばかり。そこがいいです。

3位『淫獣の囁き』田沼淳一

声だけで意中の女性をメロメロにできる・・・うーん、男にとって最高の状況ですよね。ターボが効きだすと一気にたたみかける迫力の筆致。田沼ワールドを存分に堪能させてもらいました。

  

〈編集部より〉
御堂乱先生、ありがとうございました!
2012年の御堂先生は八面六臂の大活躍でございました。フランス書院文庫で3本、時代艶文庫で1本。しかも、そのどれもが「傑作」
ハードエロスとエンタテイメント性を兼ね備えた希有な作家といえると思います。官能小説史を振り返ってみてもこのレベルのクオリティの作家は絶無ではないかと。
われわれは今、「進行中」の伝説を目撃しているのかもしれません。

 

=================

「作家が選ぶこのフランス書院文庫がすごい!2012」これにて終了です。
いやあ、作家さんが選ぶ本っておもしろいですね。ここにあがった本以外にも「すごい本」はたくさんあるはず。年末年始、探してみてくださいね。弊社HPの「タグシステム」、おすすめです。

急なお願いにもかかわらずご協力いただいた作家のみなさん、ありがとうございました!
2013年、また「すごい本」に出逢えることを願いつつ、それではみなさん、さようなら!

月別アーカイブ

検索

Copyright©1999- FRANCE SHOIN Inc. ALL rights Reserved.