フランス書院編集部発

【2015年9月30日】

「第15回フランス書院官能大賞」結果発表

「第15回フランス書院官能大賞」(5月末日締切分)に、たくさんのご応募をいただき誠にありがとうございました。

最終選考が行われ、編集部で厳正な審査をおこなった結果、下記の通り決定しました。

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大賞
該当作品なし

新人賞(賞金30万円)
『名門旅館四姉妹 【贅沢奴隷】』M.Fさん

特別賞(賞金30万円)
『三人の未亡人 液漏れ女教師・肉食兄嫁・棒肛義母』S.Nさん

■ノンフィクション部門

該当作品なし

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■受賞作講評

『名門旅館四姉妹 【贅沢奴隷】』M.Fさん

負債を抱えた名門旅館の令嬢四姉妹が、乗り込んできたヤクザたちに非道の限りを尽くされる。四姉妹のキャラの書き分けは丁寧で、ヤクザ側につく旅館の女従業員など、サブキャラも魅力的だ。古典的なテーマを真正面から堂々と描ききった、凌辱小説の王道と呼ぶにふさわしい作品だ。
(フランス書院文庫換算で)500ページ近い圧倒的なボリュームでこの大ハードロマンを描ききった作者の情念に敬意を表したい。フランス書院文庫官能大賞は枚数不問のため、「何ページ書けばいいのですか?」という問い合わせも多い。短編でももちろん構わないのだが、本賞が「枚数不問」にしているのは、他社の賞に応募できないような「とんでもないスケールの作品」を受け入れるのが一番の目的だ。かつて結城彩雨という作家のためにハードXノベルズ(新書)を作り、今フランス書院文庫Xを刊行している理由もそこにある。
受賞作は、世界観を構築するスケールの大きさで夢野乱月を思わせ、容赦ない凌辱シーンは結城彩雨を彷彿とさせる。久々に本格派の大型新人が現れたという印象だ。今後も大風呂敷を広げた作品を書き続けてほしい。

『三人の未亡人 液漏れ女教師・肉食兄嫁・棒肛義母』S.Nさん

アルバイトとして荷物を配送してきた元教え子に女教師が欲情を抱くシーンから物語は始まる。妄想を爆発させる自慰シーンは圧巻だ。確かに妄想が暴走してしまい、ヒロインの独白が長すぎると感じる部分はある。濡れ場シーンに入ったときの三人の未亡人は淫らさが全開になってしまい、同じキャラのように見えてしまうきらいもある。さまざまな荒削りな部分はあるが、最終的に受賞に至ったのは、これまでの誘惑小説にない圧倒的なパワーを感じたからだ。女性の淫らさがここまで徹底的に描かれた作品はかつてなかったのではないだろうか。淫女を描くことに関して言えば、フランス書院文庫には鬼頭龍一という鬼才がいる。この著者には鬼頭龍一を超えるだけの底知れなさを感じる。

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つづいて、最終選考まで残ったものの惜しくも選外となった作品についての講評です。

『魅惑の紺色』M.Tさん

体操服に異常に執着する少年と二人の少女の三角関係を描いた作品。フェティッシュな匂いのする官能小説をきちんと書ける著者は少なく、その点をもっとも評価した。地の文、セリフ、心情のバランスは素晴らしく、作品の完成度は高い。著者はまだ若いが、小説を書く才能に恵まれている。ただ、受賞=本として刊行することを考えたとき、少年と二人の少女という「閉じた世界」だけで勝負できるのか? という不安があった。その意味で、序盤に登場する担任女教師をうまく活用すれば、物語にさらに広がりを出せたように思える。次回、また応募してもらえるのであれば、〝大人の女性〟をヒロインにしたフェティッシュな作品を読んでみたい。

『淫ファントムラブ・禁忌(インファントラブ・タブー)』Y.Uさん

義母、義妹、叔母から主人公の少年が誘惑される王道の誘惑モノ。地の文の上手さは最終候補に残った作品でも群を抜いていた。官能小説家は自分の頭の中に淫靡なイメージ(絵)がなくてはならないが、それだけでは駄目で、そのイメージを文章で表現する技量が必要だ。この著者にはそれがある。言い回し、語彙から豊富な読書量、教養が感じられた。惜しくも受賞に至らなかったのは、セリフ、および心情の弱さだ。特にセリフは四文字言葉(オマ×コ、キン×マ、マラ、ボボ)に頼りすぎているように感じた。ヒロイン視点の心情も、もっと読みたかった。三人のヒロインを登場させるならば、さらに小説の分量がほしい。それぞれの濡れ場を増やしてほしい。

『偏愛成就 片想いの復讐』M.Iさん

決死の思いで同級生の美少女に渡したラブレター。が、告白はあえなく撃沈。しかも、不運が重なってネットに恋文が流出。学校中の笑いものになった少年は、かかわった女たちを次々と毒牙にかけていく。最初から最後まで一気に読ませるテンポのいい文体、ノンストップで暴走する少年が壮快。凌辱の動機、衝動がわかりやすいため、主人公の少年に感情移入しやすい。たたみかけるような展開に引き込まれる。官能小説では凝ったストーリーよりも、濡れ場を盛り上げるためのストーリーが必要なのだと改めて思い知らされた。ただ、序盤、少年が凌辱に至るまでの過程、同級生の母親が堕ちていくまでの過程をもっと丁寧に描いてほしかった。全体の分量としては申し分ないのだが、同級生の母親が堕ちるのが早かったこともあり、後半は母娘をひたすらヤリまくること以上のアイデアが欲しかった。

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今回からノンフィクション部門を創設したが、残念ながら受賞作品はなかった。

『女王様はどこから来たか』K.Iさん

SMでS女性を女王様と呼ぶようになった経緯を、「毛皮を着たヴィーナス」「春琴抄」「痴人の愛」…等々、文学の名作、および風俗史を通して語っていく。フランス書院ツイッターでつたない性のウンチクを披露させていただいている我々にとっても、初めて得る知識が多く、SMに関する著者の広範な知識に感嘆させられた。日本のSMクラブ第一号・中野クイーンの話、カストリ雑誌の由来など、非常に興味深い話が多かった。ただ本賞は、受賞作の書籍での刊行を目指している。「女王様はどこから来たか」は一つの章のテーマとしては面白いのだが、それだけでは物足りなさがあった。SM(SとM)をより広い切り口で、一般の人にも興味を持てるようなテーマで描いてみると、より受賞に近づくかもしれない。

『イカせる技術』入門、『イカセ師の臨床レッスン』S.Iさん(PN)

女性をイカせるという一点にテーマを絞って、これだけの分量の文章を書けることに驚嘆した。語り口はわかりやすく、たとえ話はクスッと笑えるものも多く、このテーマに興味がない人でも最後まで読ませてしまう。セックスの本質をよく理解した、経験豊富な人生観に裏打ちされた文章で、それでいて男の自慢話の匂いを感じない誠実さを感じた。本作品はノンフィクション部門での受賞の最有力候補であったが、惜しくもそれに至らなかった理由は「イカせる」以外のテーマも読んでみたかったことに尽きる。キス、愛撫などの前戯、疲れないセックス、後戯のノウハウなど、より広いテーマにチャレンジしてほしい。

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次回の〆切は、11月末日。度肝を抜かれる小説、思わず唸らされるノンフィクション作品に出会いたいと心より願っております。皆様のご応募をお待ちしております。

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