背徳の魔悦
本販売日:1995/04/23
電子版配信日:2010/06/18
本定価:535円(税込)
電子版定価:660円(税込)
ISBN:978-4-8296-0616-2
夜のオフィスで男と女の性熱、性臭が漂うなか、
剥きだされてゆく由美、23歳の麗しき裸身。
穢すのは未来の夫の部下――唇が指が剛直が
乳房を這い、尻肉を揉み、濡れ蠢く陰部を抉る。
全裸で夜の散歩、地下鉄で挑発、電車内での性交……
上司の許嫁を堕とす、こんな男の快楽は他にない!
ゆみ(23歳)婚約者
本編の一部を立読み
手を添えて尻を持ち上げるようにすると、由美は軽く腰を上げた。そこで滝沢は一気にニットワンピースを上へと抜いた。両手と頭が引っかかったが、彼女自身が脱げやすいように体をひねったのだった。笹本由美は数秒にして、ブラジャーとパンティとストッキングと白いハイヒールだけという姿になった。
彼女は防御するように両腕を胸で交差させたが、滝沢が軽くはらいのけるだけで両腕はもろくほどけた。由美は顎を上げて、恥辱に耐えるかのようにきつく目を閉じた。
目を見張るばかりの白い肌の女だった。そして、香水瓶を割ったかでもしたようないい匂いが部屋中に漂った。
滝沢はまばたきができなかった。絶品という言葉は、笹本由美のためにこそあった。
肩は細いが華奢ではなく、長めの首の下にある鎖骨は美しいシンメトリーをなし、なだらかな肌が自然と盛り上がって高い乳房を造形している。そして、絹のブラジャーは透明と言えるほどの薄さで乳房の量感を包んでいた。ワイヤーなど不粋なものは入ってはいない。かなりの高級品なのだろう、一枚の絹を立体裁断して作った下着だった。ふたつの乳首はその柔らかい布地を強く内側から押しつけて存在を主張している。
まるで色好みの男たちが女体の理想形として造形したような高く気品のある胸だった。胸が高いから、脇腹の細さがますます目立った。みぞおちから臍まで一本の線が淡く走っていた。パンティは臍のずっと下にある。腰骨に引っかけてV字形になっていた。そして、短めの陰毛の数本が絹のパンティの上部からはみ出ていた。
「由美さんはこんな体なんだ」
滝沢は溜め息とともにつぶやいた。
「……見なければよかったでしょう?」
目を閉じ、まつ毛を震わせたまま、由美は訊く。
「ええ、確かに、見なければよかった」
由美の眉間に悲しみ色の皺が走った。
「見なければよかった。もし、見ていなければ、由美さんが葉山さんといずれ結婚することにも諦めることができた。だけれど、こんな体を持っているのなら、いやだな、もう葉山さんには渡したくない。ぼくのものにしたい、ぼくだけの由美さんにしたい」
「え?」
「由美さんを独占したい」
「でも、わたしは婚約してるし……」
「そんなこと関係ないですよ、もう」
滝沢は立ち上がって前に回り、上向いて目を閉じている由美の顔を両手で挟み、赤い唇に自分の唇を重ねた。