美姉と弟

著者: 夏島彩

本販売日:2001/06/23

電子版配信日:2009/07/24

本定価:545円(税込)

電子版定価:660円(税込)

ISBN:978-4-8296-1042-8

弟に穢された姉の悲哀、苦衷はいかばかりか。

姉弟愛と罪悪感に揺れ動く由美の想いを裏切るように

21歳の身体は相姦の魔味に溺れはじめる。

獣性にめざめゆく少年の、苛酷すぎる調教に

由美を堪え忍ばせるのは、淫性? それとも優しさ?……

女流作家にしか描けない、禁じられた女の本性。

登場人物

ゆみ(21歳)姉

本編の一部を立読み

「すごいわ、カズくん。こんなに硬くなっている!」

弟の性器に奉仕する初めての体験に、由美は自らのひたむきさを全投入した。手指が熱を帯び、汗にまみれてくる。はちきれんばかりになった表皮を突っぱらせて、手を動かす。カズくんを悦ばせたい、できるだけ気持ちよくさせてやりたい、と思ったせいか、不思議とためらいが消えていた。

だが、由美が手指で充分にペニスをしごきあげたところで、和俊はさらなる要求を突きつけた。

「次はお口でして。僕、お姉さんにオチン×ンを舐められたいんだ」

「お口って!?……」

由美は驚いて、弟の顔を見つめた。女性が男性器を口で愛撫する行為があり、フェラチオと呼ばれていることを知らないではなかった。しかし、それは皆がするものではなく、ごく特殊な人たちしかしないことだと思っていたのだ。

なのに、和俊は当然のように、その普通とは思われない行為を求めてくる。尿道口から粘っこい液体を滲ませたペニスを、驚愕している姉に向けて突きあげる。〈ファイルX〉の内容をすべて見たわけではないが、インターネットで得た性的情報を鵜呑みにしているのだろう。

「そ、そんなこと……できないわ。変態の人がすることじゃないの?」

信じられない要求に頬を赤くして、由美は正直な気持ちを口にした。いくら男根に対する拒否感が薄れたといっても、下半身についているものを口に入れることには抵抗があった。

「好きなら、できるはずだと思うけどな。お姉さんは僕のためなら、変態にだってなってくれるんだと思ってた」

「カ、カズくん……」

和俊のため、という言葉に、由美は弱かった。淫らさやいやらしさに巻きこまれるつもりはなかったのだが、こと弟への愛情に関しては誰にも負けないつもりだった。だから、この子のためになんとかしてあげなければ、と思えば、どんな無理難題でも成し遂げようとする。

「わかったわ……やってみる」

「本当?」

和俊の顔が、パッと明るくなった。

「どんなふうにしたらいいのかしら。お姉さんに教えてね」

決意した表情で、由美は天井を向いてそそり勃っている勃起に唇を近づけていく。先走りの液が亀頭の全体を覆うほど、溢れだしていた。弟が興奮した表情で自分を見おろしているのが、痛いほどわかる。

「キスできる、お姉さん?」

「あ、ああ……キス、って……」

オレンジ色のブラジャーから乳房をはみださせられるという卑猥な姿にさせられた上、フェラチオという想像もしなかった行為に挑む。由美は美しい顔をのぼせあがったように火照らせて、淡く色づいた唇から、ようやくの思いで舌を差しだした。

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