弟に穢された姉の悲哀、苦衷はいかばかりか。
姉弟愛と罪悪感に揺れ動く由美の想いを裏切るように
21歳の身体は相姦の魔味に溺れはじめる。
獣性にめざめゆく少年の、苛酷すぎる調教に
由美を堪え忍ばせるのは、淫性? それとも優しさ?……
女流作家にしか描けない、禁じられた女の本性。
ゆみ(21歳)姉
本編の一部を立読み
「すごいわ、カズくん。こんなに硬くなっている!」
弟の性器に奉仕する初めての体験に、由美は自らのひたむきさを全投入した。手指が熱を帯び、汗にまみれてくる。はちきれんばかりになった表皮を突っぱらせて、手を動かす。カズくんを悦ばせたい、できるだけ気持ちよくさせてやりたい、と思ったせいか、不思議とためらいが消えていた。
だが、由美が手指で充分にペニスをしごきあげたところで、和俊はさらなる要求を突きつけた。
「次はお口でして。僕、お姉さんにオチン×ンを舐められたいんだ」
「お口って!?……」
由美は驚いて、弟の顔を見つめた。女性が男性器を口で愛撫する行為があり、フェラチオと呼ばれていることを知らないではなかった。しかし、それは皆がするものではなく、ごく特殊な人たちしかしないことだと思っていたのだ。
なのに、和俊は当然のように、その普通とは思われない行為を求めてくる。尿道口から粘っこい液体を滲ませたペニスを、驚愕している姉に向けて突きあげる。〈ファイルX〉の内容をすべて見たわけではないが、インターネットで得た性的情報を鵜呑みにしているのだろう。
「そ、そんなこと……できないわ。変態の人がすることじゃないの?」
信じられない要求に頬を赤くして、由美は正直な気持ちを口にした。いくら男根に対する拒否感が薄れたといっても、下半身についているものを口に入れることには抵抗があった。
「好きなら、できるはずだと思うけどな。お姉さんは僕のためなら、変態にだってなってくれるんだと思ってた」
「カ、カズくん……」
和俊のため、という言葉に、由美は弱かった。淫らさやいやらしさに巻きこまれるつもりはなかったのだが、こと弟への愛情に関しては誰にも負けないつもりだった。だから、この子のためになんとかしてあげなければ、と思えば、どんな無理難題でも成し遂げようとする。
「わかったわ……やってみる」
「本当?」
和俊の顔が、パッと明るくなった。
「どんなふうにしたらいいのかしら。お姉さんに教えてね」
決意した表情で、由美は天井を向いてそそり勃っている勃起に唇を近づけていく。先走りの液が亀頭の全体を覆うほど、溢れだしていた。弟が興奮した表情で自分を見おろしているのが、痛いほどわかる。
「キスできる、お姉さん?」
「あ、ああ……キス、って……」
オレンジ色のブラジャーから乳房をはみださせられるという卑猥な姿にさせられた上、フェラチオという想像もしなかった行為に挑む。由美は美しい顔をのぼせあがったように火照らせて、淡く色づいた唇から、ようやくの思いで舌を差しだした。