三人の母

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- 本販売日:
- 2000/03/23
- 電子書籍販売日:
- 2009/10/23
- ISBN:
- 978-4-8296-0952-1
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書籍紹介
瑞々しい美身に淫性を秘めた若すぎる義母。
少年を溺愛しながら、未亡人の女肉を持てあます養母。
熟肢を病魔に冒され、我が子を棄てた麗しの実母。
母の仮面に隠された女たち三人の性が露わになる時、
運命の歯車と母子の理性が狂いはじめた……
欲か、愛か、獣か……背徳の間で揺れる相姦ロマンス!
少年を溺愛しながら、未亡人の女肉を持てあます養母。
熟肢を病魔に冒され、我が子を棄てた麗しの実母。
母の仮面に隠された女たち三人の性が露わになる時、
運命の歯車と母子の理性が狂いはじめた……
欲か、愛か、獣か……背徳の間で揺れる相姦ロマンス!
立ち読み
「あううう……どうしたの、私……もう……変になる……慎ちゃん、ほら、お母さん気が変になりそうなの……どうしよう……あああ、駄目、そんな……ハァン……いいの。とてもいい……死にそう……どうしたの……慎ちゃん」
慎太郎は母に与える甘美な味を中断するに忍びなく、ひたすら口唇愛撫をつづけ、指先を駆使した。これまでと似ていて似つかぬ美紀子の反応に身も心も躍った。触れ、味わい、見ることの愉しさに自分の内に秘めた欲望さえも容易にコントロールすることができた。相手を歓喜させる嬉しさ、愉しさは、欲望を吐きだすこと以上に、男にとって貴重であることをしみじみと実感した。
舐め、くすぐり、そして数センチしか離れていない女の中心部分を眺める幸せに酔った。恥毛の一本一本の生え際までがはっきりわかる距離に張りついている自分が、信じられない思いだった。そして自分の行為に母としてのたしなみを忘れてもがく母に、真の女の姿を見た気がした。
胸の病いのために療養生活を余儀なくされた母が、少なくともその間は女であることを忘れて病気と闘った時、いくら父の命令とはいえ、見舞うこともしなかった自分が情けなかった。そういう母を無情にも捨てて、秘書だった若い女とうつつを抜かし、ついには母を捨てて再婚までした父が憎かった。
今こそ自分が孤独な母を癒してやれる唯一の味方になる時だと思った。人の道にそむこうがなにしようが、母が望むことならどんなことでもしてあげるのが自分の義務だと、自らに言い聞かせた。母が歓んでいてくれる姿を見ると、もっとなすべきことがあると奮いたった。
これまでの体験が無駄でないことが嬉しい。後悔はなかった。
夫に顧みられなかった肉体は、まだまだ瑞々しく感じやすかった。熱い思いの口づけが再び粘膜の上を這うと、美紀子は口を手で押さえて、声を出すまいと努力した。
しかし長い間にわたって男の目にも触れることなく、愛撫されることもなかった肉体は、かつての華麗な快楽の味を決して忘れてはいなかった。いや、むしろ灰色のなかに閉じこめられていたが故に、いっそう敏感になっていたのかもしれない。
いつしか美紀子は、相手が誰であるかも忘れて、ただ与えられる性感を甘受した。それは素直な女の本能のなせる業だった。
自分で慰めた秘めやかな行為とは較べものにならない強烈な感覚には、まるで限界というものがなく、次から次へと上昇していく。まさに底無し沼と同じだった。
「お母さん……」
性的感覚以外が麻痺していたから、その問いかけが数度に及んだ時、ようやく美紀子は我れにかえった。
あああ、慎太郎だった……。
そのことにやっと気づくや、羞恥心が美紀子を包みこんだ。反射的に下半身に張りついていた慎太郎の頭を押しのけようとした。
その手に慎太郎がキスをした。
慎太郎の顔がぬるついた溶液にまみれていることを知ると、さらなる羞恥心が湧いた。
「おれ、なんでもする。お母さんのためなら、どんなこともやるからね。もう、うちになんか帰らなくてもいいんだ」
慎太郎は母に与える甘美な味を中断するに忍びなく、ひたすら口唇愛撫をつづけ、指先を駆使した。これまでと似ていて似つかぬ美紀子の反応に身も心も躍った。触れ、味わい、見ることの愉しさに自分の内に秘めた欲望さえも容易にコントロールすることができた。相手を歓喜させる嬉しさ、愉しさは、欲望を吐きだすこと以上に、男にとって貴重であることをしみじみと実感した。
舐め、くすぐり、そして数センチしか離れていない女の中心部分を眺める幸せに酔った。恥毛の一本一本の生え際までがはっきりわかる距離に張りついている自分が、信じられない思いだった。そして自分の行為に母としてのたしなみを忘れてもがく母に、真の女の姿を見た気がした。
胸の病いのために療養生活を余儀なくされた母が、少なくともその間は女であることを忘れて病気と闘った時、いくら父の命令とはいえ、見舞うこともしなかった自分が情けなかった。そういう母を無情にも捨てて、秘書だった若い女とうつつを抜かし、ついには母を捨てて再婚までした父が憎かった。
今こそ自分が孤独な母を癒してやれる唯一の味方になる時だと思った。人の道にそむこうがなにしようが、母が望むことならどんなことでもしてあげるのが自分の義務だと、自らに言い聞かせた。母が歓んでいてくれる姿を見ると、もっとなすべきことがあると奮いたった。
これまでの体験が無駄でないことが嬉しい。後悔はなかった。
夫に顧みられなかった肉体は、まだまだ瑞々しく感じやすかった。熱い思いの口づけが再び粘膜の上を這うと、美紀子は口を手で押さえて、声を出すまいと努力した。
しかし長い間にわたって男の目にも触れることなく、愛撫されることもなかった肉体は、かつての華麗な快楽の味を決して忘れてはいなかった。いや、むしろ灰色のなかに閉じこめられていたが故に、いっそう敏感になっていたのかもしれない。
いつしか美紀子は、相手が誰であるかも忘れて、ただ与えられる性感を甘受した。それは素直な女の本能のなせる業だった。
自分で慰めた秘めやかな行為とは較べものにならない強烈な感覚には、まるで限界というものがなく、次から次へと上昇していく。まさに底無し沼と同じだった。
「お母さん……」
性的感覚以外が麻痺していたから、その問いかけが数度に及んだ時、ようやく美紀子は我れにかえった。
あああ、慎太郎だった……。
そのことにやっと気づくや、羞恥心が美紀子を包みこんだ。反射的に下半身に張りついていた慎太郎の頭を押しのけようとした。
その手に慎太郎がキスをした。
慎太郎の顔がぬるついた溶液にまみれていることを知ると、さらなる羞恥心が湧いた。
「おれ、なんでもする。お母さんのためなら、どんなこともやるからね。もう、うちになんか帰らなくてもいいんだ」
小説の朗読 声:範田 紗々


はんだ ささ
4月18日生まれ T158-B90-W59-H82
主な作品として『ホームジャック』『殺し屋・蘭 美しき処刑人』『過激派オペラ』『いびつ』『凶悪』『ぐちゃぐちゃ』『ホームジャック リバース』、写真集『紗々‐sasa‐』他多数。
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