（だ、大丈夫……これは治療……医療行為、なんだから……）
　自分に言い聞かせ、ベッドに身体を載せる。ギシ……と寝台が軋む。恵実は男の横に腰を掛けて、震える指先で四角形の袋を開封し、中から透明なゴムを取り出した。
　凶悪な熱量を発する亀頭にコンドームを押しつけ、包まった部分を伸ばしていく。自ら性交の準備を進めていることで、恵実は得体の知れない興奮に包まれていた。
（私の身体……どうしたの……もう、ずっと熱くて、愛液が止まらない……）
「さあ、どうぞ跨ってください……練習を始めましょう……」
　もはや思考が朧気な若妻は、医師の言葉で簡単に誘導されていく。股間に跨り、夫でもない男の上で股を開く。その歪な状況に胸の高鳴りを強めながら、ゆっくりと、腰を落としていった。
　人妻の陰部と、丸々と張った亀頭がピタリと触れる。男根の挿入を察した女芯は、薄く開いた陰裂の奥で、赤い媚肉を蠢かせていた。涎を垂らすように陰蜜の雫が滴下して、薄い膜を纏ったペニスを濡らす。
「まずは割れ目を擦りつけて。ローションは使わずに、雪島さんの愛液で、私のペニスを濡らしてください」
「は、はい……こ、こうですか……んんッ……」
　恵実は陰茎の根元に手を添え、縦筋に亀頭を擦りつける。恥毛を掻き分けるように肉棒が小陰唇を撫でる。愛液がぬちゅぬちゅと音を鳴らし、プツプツと気泡の浮かんだ透明な汁が、肉槍を淫らに装飾していく。
「はぁっ……あぁう、んぅ……ふぅ……」
　まだ陰部の表面に触れているだけというのに、硬い陰茎が接した個所が燃えるように熱い。気づくと腰が勝手に前後へ動き、自ら割れ目を擦りつけるような格好になる。
「良いですよ、そのまま……セックスの準備を整えながら、男を焦らすんです。相手を見下ろして、股間と胸を見せつけつつ、今か今かと期待させてください。ああ、そう……もっと股を開いて見せてください……」
「はぁっ、はぅ……は、恥ずかしいです……」
「それが良いんじゃないですか、ほら」
　元田が太腿に手を置き、不意に股を開かせてくる。驚いた恵実はそのままよろめき、重心を後方へ傾け、両手を後ろについた。結果、股間を前に突き出した状態で男と向き合う形になる。
「あ、い、嫌ですッ……こんな、はしたない格好……」
「何を言っているんですか。そのまま腰を前に出して、性器同士を触れさせましょう。さあ、表面と表面を、キスさせるように馴染ませて」
　元田は恵実の腰を掴み、グイと引き寄せる。余計に密着を強めたうえに、恵実はその不自由な体勢を崩せなくなった。
　男はそのまま腰を上下させ、ペニスの裏筋を膣溝に沿わせてくる。先よりも深い部分に男根を感じて、恵実は眉を寄せて喘いだ。
「あぁっ、ぁんっ、あっ……！　せ、先生、待って……んぅッ」
「ほらほら、雪島さんも腰を動かして。感じやすいのは良いですが、主導権を握らなくてはいけませんよ。騎乗位は女性優位なんですからね。ほらほら」
「んふぅっ、んんッ……わ、判って、います……はぁっ、はうっ……」
　恵実は元田の両脚に後ろ手を置き、たどたどしくも秘肉を触れさせる。巨大な肉棒の側面が貝口を開き、そのまま皮に覆われた陰核を撫でる。直接的な刺激に腰が引き攣り、恵実の視界にはパチパチと火花が散っていた。
　ちらりと鏡を見遣ると、そこには発情した牝の姿があった。毛先から汗粒を振り撒き、胸を張るように背筋を反らせて、ペニスを控えめな肉ビラで覆っている。
　牝の淫花はパックリと開き、摩擦で濁った蜜液が、二人の陰毛に白い化粧を施していく。生殖本能を剥き出しにした女には、本人である恵実から見ても強烈な色香がある。それはまさに、ここで性交に耽っていた聡子のようであった。