「さぁ和泉さん。俺の初めてをどうぞっ！」

　ゴムしたら、苗内はいきなりベッドに寝そべった。

「え？　ア、アタシが、すんの？」

「俺は童貞で、和泉さんは経験者でしょ。なら上を譲るのは当然だって。オセロなら白、将棋なら王将といっしょかな」

　ゲームといっしょにされても困るんだけど……てか苗内は、アタシのことヤリマンみたいに思ってない？　いや絶対そー思ってる。

「あのさ、アタシはバージンじゃないけど、たいして経験ないし。前も言ったけど、夏休みにできたカレシとエッチした二回しか知らないから」

「つまり俺がリードした方がいいってこと？」

「アンタにいーようにされんのは微妙だけど、上に乗る……騎乗位ってゆーの、したことないし。だから、最初は苗内からして」

　たぶん、できないってことはないと思う。けど正直、アタシから挿れんのは……なんか恥ずい。そんな乙女的な複雑さに気づけたのか、苗内はベッドから飛び起きて、代わりにアタシをそっと押し倒した。

「あ、あんまジロジロ見んなっ」

　身体を開いたアタシを見つめてくるから、そっぽ向いちゃった。

　ホント苗内のクセに、生意気っ。

「和泉さん、挿れるね……」

　いま苗内がどんな顔してるかわかんない。

　そうやって部屋の壁ばっか見てるから余計に――

「――あっ♡」

　――苗内のがアタシのナカに……すごい、わかる！ 　まだ先っぽだけだと思うけど、ちょっと苦しい。心の準備しとかなきゃ、きっと痛いだろうし。

「和泉さん、平気？」

「は、はあ？　なにが？」

「痛くない？」

「初めてじゃないんだから、平気へーき」

　なんか急に怖くなってきた。苗内の大っきかったし、アタシの裂けちゃわない？　女子の身体は受け入れるよーにできてんだから平気……だよね？ 　そーやって不安になってくアタシに、苗内は優しかった。

　早く気持ちくなりたいのを我慢して、下手っぴなキスしてくる。

　頭とか頬っぺ撫でたり、おっぱいじゃなくて肩とか腕とか触ってくる。

　だから、どんな顔してんのか見たくなっちゃって――

「ア、アンタ、無理しすぎじゃない？」

　――もー台ッなしな形相してんの。