第一章  美少女に迫る魔手 1  真夏の陽射しが、窓ガラスをジリジリ照らしている。梅雨が明けたとたん、一気に猛暑がやってきた。ここ一週間、毎日うだるような暑さだ。部屋のなかはエアコンが効いているからそうでもないが、一歩外へ出たらたちまち汗まみれになってしまうだろう。 「先生、そろそろいらっしゃる頃よね。確か三時に来るって言ってたもの」  ベッドの端に座ってぼんやり外を見ていた沢井美夏は、机の上にある目覚まし時計に眼をやった。  今日は美夏の十七回目の誕生日。ミッション系のある有名女子校の二年生だ。エスカレーター式に大学へは進学できるのだが、厳格な両親はさらなる成績アップを望んで、三か月ほど前から美夏に家庭教師をつけた。その成果だろう、一学期の成績は大きく飛躍し、クラスでもトップクラスを争う位置にまでなった。  そこで母の郁子が家庭教師の岡野勇一の労苦に報いようと、美夏の誕生パーティーもかねて岡野の慰労会を計画したのだ。その日が今日なのであった。 「そろそろ着替えようかな。先生が来てからじゃ遅いもんね」  美夏は舌をペロッと出して、勢いよくベッドから立ちあがった。さっきまでさんざん迷っていたのだが、思いきって大胆なものを着ることにした。 「先生、どう思うかな。でも、たまにはいいよね。普段はだいたい制服か、地味な服装が多いんだもの。今日くらい背伸びしたって怒られないよね」  クローゼットから取りだしたのは、オフホワイトのカットソー、それと膝上二十センチくらいのデニムのミニスカートだ。下着姿になって、手早く身につけていく。確かに露出過剰気味の服だが、それが美夏にはことのほかよく似合っている。  学校や近所で評判の美少女だ。学校の制服姿も清楚で可憐だが、いま身につけている服もとても魅力的である。胸の膨らみが以前はそれほど目立っていなかったのだが、ここにきてみるみる豊かになっているのだ。なによりもバストからウエスト、そしてヒップへかけてのラインが急速に女らしさを増している。もとから白い肌も、陶器のような艶やかさを帯びて匂うがごときだ。  ちょうど着終わったところで、階下から母の声がした。 「美夏。先生がおいでになったわよ。早くおりていらっしゃい」 「はい。すぐ行きます」  返事をしてから、ドレッサーに向かう。やはり外見がどうなのか心配なのだ。優等生であっても異性の存在が気になる年頃の女の子だ。それは当然であろう。 「うん、まあまあね」  鏡に映る自分の姿を上から下まで見て、ニコッと微笑んだ。  その笑顔が実に愛らしい。肩まで伸びたさらさらの黒髪、黒目がちの瞳、ツンと尖った鼻、ちょっぴり厚めの唇が、成熟した女には望むべくもないチャーミングな雰囲気を醸しだしている。よほど淡泊な男でない限り、この清々しい魅力には心躍るものがあるはずだ。 「でも、先生、なんて言うかな。いやらしい娘だって思われたらどうしよう」  カットソーの胸もとは大きく開き、膨らみの上端がわずかにのぞいていた。ミニスカートの裾からは太腿の半ばあたりまで丸見えだ。 「美夏ちゃんはもっと大胆な服を着たほうが似合うよ」  二週間ほど前、そう囁いた岡野の声が耳の奥にはっきりと残っている。そのときから岡野に対する美夏の感情が、微妙に変化しはじめた。家庭教師としてではなく、魅力ある異性として意識するようになったのだ。 「そうよ。先生にアピールするの、わたしの魅力を」  鏡のなかの自分をもう一度見つめ、大きく頷いてから部屋を出た。  駆けるように階段をおりていく。もう迷いはない。一刻も早く先生に会いたい。会ってこの格好を見てもらうのだ。  リビングルームのドアノブに手をかけようとしたとき、弾けるような岡野の笑い声が聞こえた。それに応えるように母の声。岡野をそっくり信頼している母ならではの、あけすけな声であった。 「お母さんのあんな声、久しぶりに聞くわ。お父さんと話しているときと全然違う」  なぜかすぐドアを開けるのが躊躇われた。心を落ち着かせるように深呼吸をしてから、美夏はドアを開けた。 「いらっしゃい、先生」  同時に声をかける。素早くリビングルームに入ってドアを閉め、岡野がいるであろう位置に眼を向ける。 「やあ、美夏ちゃん。誕生日おめでとう。今日で十七歳になったんだね」  岡野は正面のソファーに座っていた。いつもの柔和な笑みを浮かべ、美夏を見つめた。 「お母さんからご招待を受けたんで、図々しく参上しちゃった。これ、バースデープレゼント。なににしたらいいのかわからなくて、結局これにしたんだけど、美夏ちゃんが気に入ってくれるといいな」  ソファーから立ちあがり、膝の上にのせてあった赤いリボンのかかっている小箱を、美夏の前に差しだす。 「ありがとうございます。先生が選んでくださったものなら、どんなものでもわたしには宝物になります」  美夏は小箱を受け取り、それを胸前に持ってきて抱きしめるようにした。 「そんなこと言われると、ますます恐縮しちゃう。後が怖いな」 「さあさあ。いつまでも立っていないで、二人とも座って。わたしはお料理の準備をするから、二人でお話していて」  郁子がいささか焦れたような声で言って、そそくさとキッチンへ行ってしまった。  ペロッと舌を出して、美夏はソファーに腰をおろす。いつもならなんともないのに、今日に限って岡野と二人だけでいることが妙に面映ゆい。顔を見ることも躊躇われる。 「美夏ちゃんも十七歳か。もう立派なレディーだな。ぜひとも抱負を聞きたいものだ」  気まずさを察したのか、岡野がさりげない口調で言った。 「抱負なんて、別に……」  美夏はまだ岡野を直視できない。俯いたまま、かぶりを振る。 「急に訊かれたって無理か。だったら、ぼくがそのお手伝いをしようかな。どうだい?」 「お手伝い?」  岡野がソファーから立ちあがった気配を感じ、美夏は思わず顔をあげた。そのときには岡野は、美夏の背後にまわっていた。 「つかぬことを訊くけど、美夏ちゃんはセックスに興味はあるのかな?」  猫撫で声だった。言ってから、美夏の肩に両手を置いた。 「えっ!?」  美夏がピクッと肩を震わせる。手にしていたプレゼントの小箱をギュッと握りしめ、顔を小さく左右に振る。 「本当に? 信じられないな。普通十七歳にもなれば、興味が湧いてきて当然だ。クラスメートのなかには初体験を済ませちゃったって自慢してる子もいるんじゃないのか」 「し、知りません……」 「ふーん。美夏ちゃんて、意外とウブな子だったんだ。よし、じゃあこれからの勉強は、そっち方面でいってみよう。もうあらためて美夏ちゃんに教えることはほとんどないし、いまのままで成績もトップクラスを充分に維持できるはずだからね」  岡野の手が美夏の胸に伸びた。カットソーの上から、膨らみを掴んだ。 「いや、やめて!」  美夏は叫びかけて、ハッと息を呑んだ。キッチンには母がいる。もし聞かれたらと思うと、喉がつまって声が出てこないのだ。なによりも、ふいに豹変してしまった岡野の真意が理解できない。 「うん、胸も充分に発達している。もう、身体は男を相手にして引けを取らないほど成長してるんだ。おれが睨んだとおりだな」  岡野がじんわりと乳房を揉みしだく。よほど女体を扱い慣れているのだろう。指の動かし方に逡巡は皆無だ。 「は、離してください……こんなのわたしいやです……」  美夏はひたすら身体を固くする。抵抗しなければ、とは思う。だが、なぜかその勇気が湧いてこない。一声叫べば母が跳んでくるだろうが、そうしたら岡野に嫌われてしまう。 「いやって言ってるわりには、じっとしてるじゃないか。気持ちいいんだろう、こうしておっぱいを揉まれることが」 「そんなことありません……痛いだけ……です……」 「痛いってのは、感じた乳首が硬くなってる証拠だ。いまにそれが、気持ちよさに変わってくるんだよ」  岡野の口調は、ひどく粗野なものになっていた。ぞんざいに言って、膨らみに乱暴に指を食いこませた。 「痛い!」  顔をのけ反らせて美夏が悲鳴をあげる。つぶらな瞳にみるみる涙の粒が溢れだす。 「なにか言った、美夏?」  キッチンにいる郁子が、ハッチ越しに言った。揚げ物でもしているのだろう、油の爆ぜる音がする。その音で美夏の悲鳴がよく聞き取れなかったのだ。それよりもなによりも、岡野が美夏に淫らな悪戯を働いているなど、想像の外であろう。 「ほら、返事をするんだ。黙ってちゃ、変に思われるだろ」  俯いたままの美夏に、岡野が掴んでいる乳房を揺すりたてながら言った。 「乱暴はしないで……返事しますから……」  ますます凶暴化する岡野に、美夏は抗いの言葉すら口にできない。 「なんでもないわ、お母さん」  ようようそう言った。 「そう。だったらいいんだけど。あと二十分くらいでお料理ができあがるから、それまで先生とお話でもしていて」 「は、はい」 「二十分か。バージンの美夏ちゃんを可愛がってあげるのには充分な時間だな」  岡野の顔に邪な嗤いが浮かんだ。これまで好青年を装ってきたこの男が、その本性を初めて表情にしたのだ。だが、美夏は依然としてその変貌には気づいていない。まだ一縷の望みを抱いている。いつもの優しい先生に戻って。心のなかでそう呟きつづけているのだ。 「テーブルの上に上半身をのせるんだ」  岡野が命令口調でそう言った。 「なにを……なにをするんですか?……」  美夏は恐る恐る岡野を見た。 「言っただろ。美夏ちゃんを可愛がってあげるんだよ。十七歳になった女の子にふさわしいやり方でね」  岡野の薄嗤いはつづいている。右手は乳房を掴んだまま、左手を美夏の頭に伸ばす。艶やかな黒髪を握って引っ張りあげる。 「いや、痛い……やめて、先生……」  岡野の人格が急変してしまったことを、美夏はこの瞬間にはっきりと悟った。これまでの優しさは、暴力性をカムフラージュするための方便だったのだ。 「やめて欲しければ、さっさと言われたとおりにするんだ。ぐずぐずしてると、もっと痛い目に遭わせるぞ」 「します……言われたとおりにします……」  十七歳になったばかりの少女が、大の男に敵うはずもない。屈伏の言葉を口にして、美夏はソファーから立ちあがった。  唇を噛みしめ、床に両膝をついてから、テーブルの上に上半身を伏せる。両脚がガクガク震えているのがわかる。羞恥ではない。岡野が無条件に怖いのだ。 「うん。さすが十七歳だ。いいお尻をしてるな。スカートの上からでもそれが手に取るようにわかるよ」  岡野がうそぶくように言って、右手を美夏の臀部に這わせた。円を描くように、ゆっくり撫でまわしはじめた。 「いや……」  美夏は両手を強く握りしめ、ともすれば洩れそうになる声を必死で堪える。想像すらしていなかった岡野の淫猥な行為に、もう抗う意志は出てこない。いまはひたすら辛抱し、忌まわしい時間が一刻も早く過ぎてしまうのを願うばかりだ。  これまで優しく親切な男性と信じきっていた岡野の、好青年から下卑た男へのあざといまでの変身ぶりが、美夏の心から抵抗の意志を根こそぎ奪い取ってしまったのだった。 「時間があまりないからね。いつお母さんが戻ってくるかもしれない。さっさとお尻を見せてもらおうか」  いきなり岡野がスカートを捲りあげた。 「だめ、そんなこと!」  美夏の悲鳴は弱々しい。さしたる抗いも示せないうちに捲りあげられたスカートの下から、すらりと伸びた下肢と淡いブルーのショーツに包まれた臀部があらわになる。豊熟というにはまだほど遠いが、それだけに初々しい太腿であり双丘の膨らみだ。  白い肌の下に秘められている官能は、はたしてどれほどのものなのか。岡野ならずとも、生唾を呑みこまざるを得ないヴィヴィッドな魅力を発散させている。 「いや、想像していた以上だ。美夏ちゃんのお尻は、天下一品の形をしてる。ふっくらと盛りあがって、実に美味そうだ。きっと美味しいジュースがいっぱいつまってるんだろうな」  岡野が感心したような声を出し、両手で美夏の臀部を揉むように撫ではじめた。 「ああっ……」  美夏の唇から悲痛な喘ぎ声が洩れる。襟足にはびっしりと汗が噴きだし、それが喉のほうにまで伝い流れていく。 「ついでだから、こいつも取っちゃおう。そのほうが美夏ちゃんもすっきりするだろう」  岡野の指が、ショーツのゴムの部分にかかった。無造作に引きさげにかかった。 「いや、脱がさないで!」  矢継ぎ早の岡野の淫行に、美夏は惑乱の極に追いこまれた。岡野が本性を剥き出しにしてから、まだ時間はそれほど経っていない。せいぜい十五分だ。だがこの短い時間の流れが、いまの美夏には無限につづく時間に感じられた。そして、淫行ははじまったばかりなのであった。  美夏の抗いを、岡野はまったく無視する。まるで薄紙を剥がすようにショーツを引きさげ、臀部の丸みをくぐらせてから、膝のすぐ上まで一気に剥きおろしてしまう。  うっすらと汗を滲みださせて初々しく盛りあがった双丘が、明るい照明の下にすっかり晒された。 「いや、見ないで!」  美夏が腰を振り、抗いの仕種を見せる。だがそれも、岡野の手を振り払う力にはなり得ない。かえって岡野のペースに乗ってしまうばかりだ。 「ほほう。やっぱり、十七歳のお尻は、染みや汚れがまったくないんだな。この真っ白なキャンバスにどんな絵を描いていけるのか、考えただけでゾクゾクしてくるよ」  羞恥と屈辱におののき震える美夏の臀部に見入っていた岡野が、珍しくうわずった声を出した。さすがに昂奮を抑えられないのだ。目尻も紅潮している。掌をぺたりと双丘に這わせた。その滑らかな感触を愉しむように、そろりそろりと動かした。 「も、もういや……お願いです、先生……これでゆるして……」  涙声が美夏の唇から洩れる。握りしめた両手がブルブル震えている。 「なに言うんだよ、ここまで来て。中途半端はいやだろう。どうせお尻を見せちゃったんだから、その奥にあるものまでご披露しなくちゃ後味が悪いんじゃないのか」  手前勝手なことを言って、岡野がその太い指を双丘の谷間に滑りこませた。巧みにアナルを探り当て、指先でつつく。 「そこ、違います!」  美夏は反射的に腰を振りたくり、甲走った声で叫んだ。少女には想像すら不可能な排泄器官への悪戯に、きつく窄めた肉襞が竦みあがる。そのおぞましい感触に一瞬、頭のなかが白くなっていた。 「どう違うんだ。美夏ちゃんはいったいどこを触って欲しいのかな」  ニンマリとほくそ笑んだ岡野が、意地の悪い言葉をかける。 「どこも……どこも触ってなんか欲しくありません……」 「それははたして本心なのかな。女という生き物は得てして、口と身体は別の反応を示すものだからな。美夏ちゃんももう立派なレディーなんだから、その点はきちんと確かめておかなくちゃ」  ますます岡野の意地の悪い言葉はエスカレートしていく。これが少女を操る手段だと確信しているのだろう、口調に澱みもない。アナルをまさぐりつづけている指に、無慈悲な力をこめる。 「あうっ!」  美夏の腰がピクンと跳ねあがった。排泄器官を玩ばれる汚辱感が、忌まわしい電流となって背中を走り抜けていく。 「ふふっ、敏感だ。触った瞬間に穴がピクンとしたもの」 「いや、そこ……汚い……汚いです……」 「美夏ちゃんの身体に汚いところなんてひとつもないさ。オシッコの出る穴だろうが、ウンチの出る穴だろうが、みんな綺麗だ」  岡野は曝けだされた美少女の臀部を満足げに眺めながら、アナルに沈めた指を卑猥に動かす。狭隘な肉襞を擦りあげ、その奥につづく腸腔にまで侵入させる。 「だめ、そんなに入れちゃ……美夏の……美夏のお尻こわれちゃう……」  美夏は錯乱するばかりだ。オナニーの経験も少ない。そんなウブな少女が、こともあろうに自分でさえ触れるのが躊躇われるアナルを玩ばれているのだ。それも淡い恋心を抱いていた岡野に。心が乱れるのも当然といえば当然である。 「そう簡単にこわれないよ。ここは思いの外柔軟にできてるんだ。指くらいはやすやす咥えこんじゃう。現に美夏ちゃんのお尻だって、おれの指を深々と咥えてるぞ」 「そ、それは先生が……無理矢理……」 「初めは確かにそうだった。でも、いまじゃ自分からすすんで咥えようとしてるよ」  岡野が含み嗤って、アナルに沈めた指を小刻みに揺らした。 「いやっ!」  また、美夏の臀部が震える。その透き通るように白い肌が、心なしか淡いピンク色に染まっている。馥郁とした芳香さえたちのぼってくるようだ。 「ギュッと締めつけてくる。本当に美夏ちゃんのアナルは美味しそうだ。これからは学校の勉強はやめにして、こっちの勉強に集中しよう。いいよね、美夏ちゃん?」 「そんな勉強は絶対にいやです……」  美夏は歯を食いしばった。排泄器官の敏感な肉襞を擦りあげる指の感触が堪らない。どうしてと思う以前に、意識がその忌まわしさに侵蝕されていくようだ。胸といわず背中といわず、総身に脂汗が噴きだす。 「いまだけだよ、そんなこと言えるのは。すぐに美夏ちゃんのほうから勉強したいって言うようになるさ」  岡野が嗤いながらそう言ったときだった。 「お待ちどおさま。パーティーの準備が整ったわ。ダイニングルームに来て」  郁子の声がした。 「おっと、勉強はいったん中止だ。とりあえず場所を移動しよう」  岡野が素早くアナルから指を引き抜き、同時に美夏の臀部を平手で叩いた。 「いや……」  美夏は大きく息を吐き、グッタリと上半身をテーブルに預けていた。指が抜かれた瞬間に、それまでとは異質の熱感がアナルとその周囲に湧きあがっていた。意識するしないにかかわらず、それは美夏が初めて覚えた快感であった。 (次回更新 1月6日)