2  テーブルの上にはバースデーケーキと、幾つかの料理が所狭しと並べられてあった。  窓側に美夏と岡野が並んで座っている。その向かい側には郁子だ。 「さ、先生。ご遠慮なさらずにどんどんお召しあがりください。お口にあうかどうか自信はないんですけど」  郁子がにこやかな笑みを湛え、岡野をじっと見つめた。  今年で三十八歳になる郁子だが、とてもそうは見えない。パッと見三十代前半といったところか。若作りということもあるのだろうが、もともと素地がいいのだ。フリルのついたノースリーブのブラウス。それにベージュのタイトスカートが、この美女をひときわシックに見せている。そして、グラマラスな肢体がその魅力を二倍にも三倍にも引きたてているのだ。 「はい、いただきます。でも、美夏ちゃんが好きそうな料理がないのはなぜですか?今日は美夏ちゃんのバースデーパーティーですよね、確か」  岡野は目の前に置かれてある水割りのグラスを手にしてから、右隣りにいる美夏に視線を走らせた。  ダイニングルームに来たときから、美夏はずっと俯いたままだ。口もきかず、郁子の問いかけにも首を縦に振るか横に振るかのどちらかである。 「この子は小さい頃から、甘いものがあまり好きじゃないんです。どっちかといえば、お酒のつまみになるようなものが好みみたい。一人っ子でいつもお父さんの膝の上で甘えていたから、自然とそうなっちゃったのかもしれないわね。そうよね、美夏」 「…………」  美夏は視線を足もとに向けたまま、かすかに頷いた。  椅子に浅く腰をおろしているのに、つい十数分前まで岡野に玩ばれていたアナルが、まだジーンと痺れている。なぜかおぞましい感触は薄れ、心臓の鼓動にあわせるかのようにズキンズキンと疼くのだ。 「どうしたの、美夏? さっきからずっと押し黙っちゃって。せっかく先生においでいただいたのに、そんなことじゃお母さんだって困っちゃうじゃないの」  さすがに郁子が美夏を咎めた。目の前の家庭教師を信頼しきっている郁子だ。当然難詰の矛先は娘に向いてしまう。 「まあまあ、お母さん。美夏ちゃんも好きで黙っているわけじゃないでしょう。じきにいつもの快活な女の子に戻りますよ」  岡野が郁子を制して、また美夏を見た。グラスを左手に持ち替え、右手を美夏の股間に伸ばした。  ピクンと美夏の腰が跳ねる。薄く開けた唇から小さな吐息をもらし、恨めしそうに岡野を見やる。 「十七歳になったんだから、もうちょっと大人になってくれなくちゃ。温室育ちで、なに一つ苦労もなくここまで来られたから。社会に出たらどうなっちゃうのかしら」  郁子が慨嘆するように言った。娘が家庭教師に邪な悪戯をされていようとは、想像もしていないようだ。郁子が座っている場所からは、テーブルが邪魔をして美夏の腹部から下は見えないのであった。 「大丈夫ですよ、なんの心配もいりません。美夏ちゃんはもう立派な大人です。ぼくが保証します。そうだよね、美夏ちゃん」  しれっとした表情で言う岡野の手は傍若無人だ。いささかの躊躇もなく、スカートの裾を捲りあげてしまう。裸の下腹部が明るい照明の下にあらわになる。ショーツはここに来るときに、岡野が取りあげてしまったのだ。 「はい……先生……」  ようやく美夏が口を開いた。その眼が、自分の下腹部に向けられている。か黒い繊毛をまさぐる岡野の手。シャリシャリと乾いた音が聞こえてくる。 「そうならいいんだけど。先生がそうおっしゃってくださるのですから、わたしが無理矢理口を挟むこともないんでしょうね」  郁子が交互に、岡野と美夏の顔を見た。  美夏はまた俯く。母の眼を誤魔化そうとケーキを一口口に入れるが、思わず噎せてしまう。どうして岡野の蛮行を母に告げられないのか。それが自分ながら不可解だった。何度か口にはしかけたのだが、その度に喉まで出かかった声を呑みこんでしまったのだ。 「美夏ちゃんは頭のいい子です。お母さんがご心配なさるのは当然ですけど、美夏ちゃんに任せることもこれからは必要になってきます。立派な大人に成長していくためにも」  岡野はお為ごかしの言葉を口にして、手をさらに下へ這わせた。秘裂を探りだし、その上端にひそんでいる敏感な肉の芽を指先で軽く抓んだ。 「ひっ!」  堪らない刺激だった。美夏は小さく叫び、左手で岡野の手首を掴んだ。 「どうしたの、美夏? 本当に今日のあなたっておかしいわよ」  郁子が訝しげな表情になって、美夏を鋭い眼差しで見つめる。娘のはしたない仕種に、怒りを抑えられないのだろう。 「なんでもないわ。足もとにゴキブリがいたもんだから、それでつい」  美夏は激しくかぶりを振って、大きく息をついた。下腹部が熱を帯びはじめている。肉の芽を柔らかく揉まれるたびに、そこから甘い疼きが這いのぼってくるのだ。 (わたしの身体どうしちゃったの? いやでいやで仕方ないのに)  思いがけない身体の反応に、惑乱が深まっていく。 「先生がせっかくお褒めになってくださったのに、この有様じゃねえ。お母さん、どうしていいのかわからないわ。あ、そうだ。お鍋の加減を見てこなくちゃ。先生、どうぞご自由に召しあがっていてくださいな。わたし、またキッチンへ行ってますから」  何度も小首を傾げながら立ちあがった郁子が、美夏をちらっとも見ずにダイニングルームから出ていった。 「手を引っこめることなかったな。美夏ちゃんを見ようともしなかったよ、お母さん」  岡野が薄嗤いを浮かべ、手を美夏の股間に戻した。下腹部をネチネチ撫でまわしてから指先に繊毛を絡め取り、リズミカルに軽く引っ張りあげた。 「も、もういや……お願いです、これ以上ひどいことはしないで……」  美夏の眼から大粒の涙がこぼれ落ちた。いままで必死に堪えていたのだ。それだけに一度溢れでてしまうと、とめどがなくなる。ポロポロと頬を濡らし、ツンと尖った形のいい頤にまで伝い流れていく。 「ひどいことをしてるつもりはないんだけどな。十七歳になった美夏ちゃんに、大人としてのマナーを教えてるだけだよ」 「そんなの知りたくありません……」 「でもさ、もう知りつつあるんだよ。ほら、ここがこんなに濡れてきてる」  繊毛を執拗にまさぐっていた岡野が、その指を秘裂に滑らせた。柔襞を捲りあげて、奥へくぐらせた。 「だめっ!」  小さな悲鳴をあげ、美夏は両手で岡野の腕を掴んだ。懸命に太腿を擦りあわせるが、目的を半ば果たした岡野の指は、無遠慮により深くへと入ってくる。 「ぬらっとしているよ。バージンでこれだけ濡らしてれば、文句は言えないだろう。さ、座ってないで立つんだ。そんな格好じゃ、肝心の場所を可愛がってあげられない」  グリグリと柔襞を玩んでから、岡野が冷たい声で命じた。もう、すっかり普段の好青年ぶりはかなぐり棄てている。柔和だった眼差しは冷酷な輝きで満たされ、端整な唇からは下卑た言葉が次々に飛びだす。 「肝心の場所って……どこですか?……」  美夏は震える声をなんとか押しだした。聞く必要はない。言葉など交わさなくていい。そう思いつつも、訊かずにはいられないのだ。 「知りたいかい?」  岡野はほくそ笑みつつ、また柔襞をまさぐる。美夏はもう九分九厘自分のコントロール下に入った。そう確信しているのだ。 「まさか……またお尻を?……」 「大当たり。さすが優等生の美夏ちゃんだ。おれの心をすっかりお見通しってわけだな」  そう言い放って、岡野は平手で美夏の臀部を勢いよく叩いた。ダイニングルームに、肉を打つ小気味よい音が響いた。 「やめて、叩かないで!」  美夏がまた悲鳴をあげる。抗う意志が、暴力で簡単に断ち切られてしまう。両手で下腹部を押さえ、弾かれたようにテーブルの上から上半身を起こして立ちあがる。  すかさず、岡野がスカートをウエストのあたりまで捲りあげた。十七歳の初々しい下半身が、明るい灯りの下に曝けだされた。  下腹部に萌えでている繊毛は、量がそう多くはない。美少女にふさわしい可憐さで、秘部の上を飾っている。その下に走る秘裂も慎ましやかで、まさに処女地といった趣を呈している。  そしてさらに愛らしいのは臀部だ。量感こそそこそこだが、もぎたての白桃にも似た瑞々しさをたっぷり湛え、いまにもはち切れそうな肌がピンと張りつめている。真んなかに深く刻みこまれた谷間。その奥にもうひとつの処女地が存在しているのだ。 「さっきはよく観察できなかったけど、こうしてみるといやはや本当に可愛いお尻だ。きっと旨い肉がいっぱいつまってるんだろう。鍛え甲斐があるな」  感に堪えたように岡野が言った。両手を双丘に這わせ、膨らみを押しあげるようにじんわり揉みこんだ。 「いやです……お尻はもういや……」  排泄器官へのおぞましい悪戯を予感した美夏が、弱々しくかぶりを振る。お尻を揉まれているだけなのに、その谷間の奥に息づいている禁断の果実が、なぜか熱く疼くのだ。敏感な襞に残っている岡野の指の感触が、鮮烈な火照りを伴って蘇ってくる。 「いやなお尻で、さっき美夏ちゃんは可愛い声をあげたんだよ。覚えてるだろ?」  岡野は揉む手を休め、美夏の耳もとで小さく囁いた。 「お、覚えてなんかいません……」 「そうかな。おれの耳にははっきりと残ってるんだけどな」  尻朶を左右に割りひろげた。 「いやっ!」  いつもは臀部の狭間に隠れているアナルを剥き出しにされる感覚は苛烈きわまりない。羞恥の肉襞を撫でるようにさっと吹きすぎていく微風。それが美夏の羞恥心を極限まで刺激する。 「うーん。本当に可愛いな、美夏ちゃんのお尻の穴は。ここから毎日、ウンチが出ていくなんて信じられないよ」  岡野がわざと、美夏の心を掻き乱すような言葉を口にした。薄茶色の肉襞が形を歪めるまで尻朶を大きくひろげ、薄嗤いを浮かべてそこに顔を近づけていく。舌を差し伸べて、蕾を舐めあげた。 「ひゃっ!」  美夏は喉から出かかった悲鳴を、必死の思いで呑みこむ。母にだけは聞かせたくない。こんなところを目撃したら、驚きのあまり失神してしまうだろう。ここまで淫猥な悪戯を仕掛けられていながら、美夏はそれをひたすら秘密にしておきたいのだ。そんな感情が、自分自身でもよく理解できない。 「美味しいよ、美夏ちゃんのお尻の穴」 「汚い……舐めるなんて汚いです……」 「平気だよ、美夏ちゃんのお尻なら。さ、今度は指を入れてみよう」  岡野は右手の人差し指を、アナルに押し当てた。無造作に第一関節を沈めた。 「あん、いやっ!」  きつく窄めた肉襞を骨太の指で擦りあげられ、美夏は思わずテーブルの縁に両手をついてしまう。そうしなければ立っていられないのだ。自分の意志に逆らって、両脚がブルブル震えだす。 「グイグイ締めつけてくるよ。もう少しこなれてからかな、あれを試すのは」  指が小刻みな振動をはじめた。その動きにあわせるかのように肉襞が膨れあがり、そして収縮する。自ら指を誘いこんでいるかのような動きだ。 「ぬ、抜いて! 美夏、頭がおかしくなっちゃう!!」  岡野がなぜこうまで排泄器官にこだわるのか、美夏は千々に乱れる心で考えた。優しくときには厳しく勉強につきあってくれたのは、本心ではなかったのか。いまのこの姿が、本当の岡野の姿なのか。思考はすぐに途切れた。指が根元まで沈められたのだった。 「あああっ!」  背中を反りかえして美夏が喘ぐ。スカートはすっかり腰の上まで捲れあがり、丸裸の下半身が剥き出しだ。そんなしどけない格好が、より淫らな雰囲気を醸成していく。 「感想を聞かせてくれないかな。お尻の穴に指を咥えこんでる気持ちを」  岡野が指を震わせながら、美夏の耳もとで下品に囁いた。 「そんなこと……言えません……」  美夏の声はか細く、いまにも消え入りそうだ。アナルに走る拡張感が、思考力を徐徐に奪い取っていく。呼吸をしていることさえ忘れてしまいそうだ。 「そうか、言えないのか。仕方ないか、初めてなんだから。どう言葉で表現すればいいのかわからないんだよね。勉強していくうちに言えるようになるだろう」  岡野は返事を強要しなかった。代わりに、アナルへの悪戯を強めた。指先を鉤型に曲げて、腸壁を刺激しはじめた。 「そこ、いやっ!」  美夏の太腿に痙攣が走る。大きく息を吐きだし、ギュッと眉根を寄せる。顰めっ面がまた愛らしい。普段は表面に現れることなどないであろう、この少女が持っているもうひとつの魅力が鮮明に浮かびあがっている。 「なんのかんの言いながら、反応は一人前だ。こんなに素敵なアナルに巡りあえるチャンスなど、そうあるもんじゃない。美夏ちゃんと知りあえたことを、神様に感謝しなくちゃ」  岡野が空いている左手で、美夏の頭を上から押さえた。顔を強引に背後へ向けさせる。すかさず唇を奪った。 「むぐっ……」  抗う隙はまったくない。唇を引き結ぶのが精いっぱいだ。だが、それも長くはつづかない。岡野の舌が、唇をこじ開けにかかる。 「んんっ!」  アナルに一段と強い刺激が走り抜けた。思わず唇が緩む。その瞬間を狙いすましていたように、岡野の舌が強引に口腔に差しこまれてきた。  これが美夏にとっては異性との初めてのキスだ。いままで夢に描いていた恋人との優しいキス。そんな甘酸っぱい想いを根底から覆してしまう暴力的なキスだ。優しさなど欠片もない。ただただ荒々しく吸い、舌で口腔をまさぐる。唾液を注ぎこんでくる。 「どんな味がする、おれの唾は?」  存分に美夏の口腔を味わった岡野が、唇を離してからうそぶいた。指は依然としてアナルに沈めたままだ。言いながら、羞恥を煽りたてるように動かす。  美夏は忙しく呼吸を繰りかえすだけで、しばらくは声を出すこともできなかった。テーブルの縁をギュッと掴みしめ、肩を大きく上下させる。心臓の鼓動の音が、はっきりと聞き取れた。 「味わうほどの余裕はまだないか。でも、こっちはおれの指をきつく喰い締めてるぞ」  岡野は円を描くように、指を動かした。ゆっくりと第一関節のあたりまで引き抜き、それから一気に根元まで衝き入れた。 「ああっ、だめっ!」  美夏が顔を大きくのけ反らせ、悲痛な叫び声をあげる。臀部を一度二度と鋭い痙攣が貫く。透き通るように艶やかな肌が、いまはいっぱいの汗にまみれている。 「お尻は……お尻はもうやめて……」  息を整えるように深呼吸してから、美夏は小さな声で訴えた。 「どこならいいんだ? オマ×コかい?」  岡野が卑猥な俗語を口にした。 「そ、それは……」 「まだわからないだろうけど、美夏ちゃんのお尻は最高に魅力的なんだ。男を惑わすセックスアピールに満ちあふれてる。可愛がらずにはいられないんだよ」 「嘘です……そんなこと……先生が勝手にそう思ってるだけ……」  美夏の声は弱々しい。肉襞を刺激されるたびに、腰をうねらせながら小さくそして切なく喘ぐ。さっきまでは白っぽかった頬に、わずかだが朱が差しはじめている。薄く開いた唇から吐きだされる息が甘い香りを放っている。匂いたつほどの愛らしさだ。 「こと美夏ちゃんの身体に関しては、おれは絶対に嘘をつかないよ。自信を持ってこれだけは宣言する」  美夏のデリケートな変化を、岡野は敏感に捉えていた。満足げに言って、そっとアナルから指を引き抜き、また美夏の唇を奪った。  今度はほとんど抗いがない。ほんの少し顔を揺らめかせただけで、美夏は岡野の舌を迎え入れている。  重なりあった唇の間から、唾液がこぼれだした。それが美夏の細い頤を伝い流れ、カットソーの胸もとを濡らしていった。  キスをつづける岡野の手が、美夏の臀部を撫でまわしはじめた。左手はそのまま、右手をズボンのポケットに突っこみ、なかからなにかを取りだす。 「両手をテーブルについて、お尻をおれのほうに向けてごらん」  唇を離してから、岡野が低い声で言った。 「まだなにか……」  胸苦しい不安を、美夏は覚える。岡野を涙混じりの瞳で見つめ、首を左右に振る。それからテーブルの縁に両手をつく。 「よし、それでいい。それじゃ、お尻から力を抜くんだ。じゃないと、痛いからね」 「えっ?」  美夏が声をつまらせたときだった。アナルに指よりも細いものが侵入してきた。 「なんですか、これ?」  冷たく硬いもの。それが、さんざん揉みこまれた肉襞を押し分けるように、ゆっくりと入ってくるのだ。 「おっといけない。お母さんが戻ってくる」  岡野がそう言った直後、今度はひんやりとした液体が注ぎこまれてきた。 「いやっ!」  腸壁がキュンと収縮するのがわかる。異物の侵入に、身体が反応しているのだ。  美夏の質問には答えず、岡野は素早く美夏のスカートを引きおろした。  ほとんど同時に、郁子がキャセロールを手にして入ってくる。 「ずいぶんお待たせしちゃって申し訳ありませんね。作るのにちょっと手間取っちゃったものだから」  岡野を見ながらそう言って、キャセロールをテーブルに置いた。  その直前に美夏と岡野は、椅子に腰をおろしていた。 「とんでもありません。こんなにたくさんご馳走していただいては、ぼくのほうこそ恐縮してしまいますよ」  岡野はにこやかな笑みを満面に浮かべ、好青年を演じる。その笑みの裏側に邪な魂胆がひそんでいることに、郁子が気づくはずもないだろう。頭から岡野を信じきっている郁子は、この男を歓待することに夢中になっているのだ。  そんな二人を美夏は、息をつめて見つめていた。お腹の具合がおかしい。つい数分前まではなんともなかったのに、急速に便意が膨れあがってきている。岡野になにか得体の知れないものを注ぎこまれてからだ。 「今日の主役は美夏ちゃんなんですから、もうぼくには構わないでください。そうだね、美夏ちゃん」  岡野が話題を美夏に振った。 「は、はい……」  美夏は小さく頷いた。額に大粒の汗がびっしり噴きでている。心なしか、顔から血の気が引いているようだ。噛みしめた唇が小刻みに震えていた。 「どうしたんだい、美夏ちゃん? 具合でも悪くなったのかな。可愛いおでこが汗まみれだよ」  岡野が意地の悪い眼差しを美夏に向ける。理由はわかっているのだ。ついさっき美夏のアナルに挿入し、そして注ぎこんだものはイチジク浣腸なのであった。 「だ、だめ……」  美夏は弱々しくかぶりを振り、椅子から立ちあがった。よろけるようにしてダイニングルームを出た。考えるゆとりなどまったくない。便意はいつの間にか限界近くまで達していた。トイレまで辛抱できるのだろうか。ノロノロしていたら漏れてしまう。そのことばかりで頭のなかはいっぱいになっていた。 (次回更新 1月13日)