第3回

 

 それから三時間が経過してなお、淫交は続いていた。裸エプロンの人妻は背後から永渕の肉槍で串刺しにされている。豊かな尻に波紋を広げる腰打ちに、紫帆はハンバーグを捏ねる手を止め、天井を仰いで涙を流していた。
「はぁ、あんっ、ああんっ! せめて料理中は、ああんっ! ああだめイクッ! ああん、きちゃうっ! イクッ! イクッ!」
「へへ、呆気なくイキやがって淫乱め。少しは辛抱できないのか? 息子や家庭のためと言いながら、ち×ぽ恵んでもらえて嬉しいんだろう、浮気女ッ!」
「ああ、そんなっ、私はそんな女では、ああっ、あっ、イクッ!」
 永渕の剛棒が子宮口を突きあげる。内臓を押し退けんとする強烈な一撃に、女は宙に躍った艶髪を噛む。結んだ唇からは泡の浮いた涎が噴き零れ、ハンバーグのタネに降り注いだ。
(また、射精を……これで何度目なの……)
 薄い膜を隔てて牡の鼓動を感じる。慎みも拒絶も放棄した肉筒は、夫のモノを咥えるときよりずっと熱っぽく蠢き、永渕の逸物から子種を搾りあげていた。
「はぁ、あっ……ンッ……はぁ、ひぃん……」
 肉茎が引き抜かれる。砕けきった腰は身体を支えてはくれず、両手を調理台に置いてぜぇぜぇと息を継ぐ。垂れる涎を啜っていると、銀色のボウルに映る自分と視線が交わった。
 そこにいる女に紫帆は愕然とした。官能に燃える肌へ髪を張りつかせ、鼻をヒクつかせて悦に耽っている。なんて下品な顔をしているのだろう。だが表情を引き締めなおすこともできず、唇は緩みきったまま戻らない。
「ふぅ、何回出してもち×ぽが鎮まらないなぁ。全く、魔性のま×こだよ。これが人妻だってんだから世も末だよな。おい広澤。今何発だっけ?」
「まあ待てよ。今回数が判るようにしてやるから──っと、できた。ふふ、奥さんに特別なプレゼントをあげますよ。素敵なアクセサリーでしょう」
「そ、それ、私のネックレス……なんてことを、するんです」
 広澤がリビングから持ってきたのは夫から初めてもらったネックレスだ。飾り気のないソレには六つの使用済みコンドームが括りつけられていた。
「良かったなあ、紫帆さん。これであんたが何回射精されたか、誰が見ても一発で判るぞ。ほら、つけてみろよ。おっと、できたてホヤホヤのコンドームも忘れちゃだめだよな」
 永渕は纏っていたゴムを外してネックレスに結ぶと、未だ絶頂の中にある人妻の首に掛ける。色鮮やかで安っぽい七つのゴムが、上下する女の肩に合わせてたぷたぷと揺れていた。
「あ、あなたたちは、どこまで私を辱めれば満足するんです。もう終わりにして……充分でしょう」
「充分なわけないでしょう。まだまだ遊び足りてませんよ、こっちは」
「今日は泊まっていくつもりだからな。明日の朝までたっぷりと楽しもうや」
「な──そんなの無理です、だめッ! 私の生活に支障をきたすような真似はしないって……そ、その約束は嘘だったんですか!」
「そうはいっても、まだ俺は勃起してるんですよねえ。──全く、仕方ないですね。あと一発俺が射精したら終わりにしますよ。それでいいですか?」
 拒否する理由はなく、紫帆はすぐに頷いた。すると直後に、背後から広澤が羽交い絞めにしてくる。太い腕がまるで大樹の根のように女体へ絡みついた。突然の事態に紫帆は狼狽することしかできない。
「え、えっ……な、何をするんです。なんで、こんな」
「奥さんの要求を呑むんだ。こっちも少し派手に遊ばせてくださいよ。なに、奥さんは何もしなくていいですから。十回イけば、その後にセックスしてあげますよ。そのセックスで俺が射精したら終わり。それだけです」
「十回ってそんなッ……ひッ! な、なんですか、その道具ッ……」
 少年が持つ長細いピンクの道具を見て悲鳴が漏れる。ソレが何か薄々察することはできた。男性器の形状であるし、世の中には自慰をするための性玩具があることも知っている。それでも尋ねずにはいられない。
「バイブですよ。まさか知らないんですか? ふふ、四十歳を超えてるってのに初心な奥さんだな。女を極楽に連れていく素敵な道具ですよ」
「そ、そんなもの必要ありませっ……ひゃっ、やめっ……ンンゥッ!」
 股間の前に屈んだ広澤は、紫帆を無視してバイブをぬぷりと挿入する。蕩け、解れきった肉壺は無機質な道具を呆気なく咥えこんでいた。少年はニタニタと笑いながら手を上下させる。樹脂の凹凸が肉の襞をぬるぬると掻いた。
「はぁ、あっ……ああ、んっ……んくっ、ン……はぁ、はぁっ……」
(き、気持ちいいけれど、乱れておかしくなるほどじゃ、ないわ……)
 苛烈な責めを味わい続けた所為で感覚が麻痺しているのだろう。逆にこの程度で十回も絶頂できるのかと不安になるほどだ。緩慢な抜き差しにもどかしくなって腰がもぞもぞとくねってしまう。
「ふふ、若いち×ぽを堪能した後じゃ、こんなバイブでは不満ですかね? でも安心してください。ここからが本番です」
「ああんっ! え、あっ、何ッ? 中で動いてっ、あっ、あんっ」
 カチッとスイッチを押す音がした後、バイブが膣中で悶え始める。ぐりんぐりんと旋回する樹脂の棒は、肉を捏ねるようにして膣壁を圧迫する。
「はぁ、ああっ、だめ! あぁっ、はぁ、ああんっ!」
「まだまだ。さあ、一気にマックスにしてあげますよ。喘ぎ狂え淫乱人妻め」
「あっ、あひっ、待ぁあっ、あんっ、あっ、あああああんッ!」
 加速した樹脂棒が暴力的な回転で肉壺を穿る。その状態で広澤が道具を上下させるものだから、秘奥から浅い部分まで女の聖道は隙間なく捏ね潰される。乱暴な攪拌運動は、瞬く間に女を愉悦の頂へと導いていった。
「はひっ、ひィッ! こんなの無理ッ、イクッ! イクぅッ!」
 爪先がピンと伸び、永渕の巨体に支えられた上体が反り返る。だが広澤は性玩具を抜いてはくれない。痙攣する蜜穴の中で激しい往復運動を続けるのだ。凄まじい肉悦の電流が次々と脊椎を駆けては脳天で爆ぜ、紫帆の頭を焦がす。
「はぁ、はひぐッ! ああああんイグッ! イ、イッでます! あっあっ、広澤ぐっ、わらひイッでるのッ! イッでるがらどめでぇええッ!」
 迸る肉悦の波濤が人妻を半狂乱に陥らせていた。息子が家にいるのも忘れ、四肢を暴れさせて叫びをあげる。それにも構わず広澤は愉快気な笑みを深め、悠々と疑似棒を上下させては熟れ肉を嬲り回す。
「ははは、言ったでしょう。十回イクまでこのままですよ。ああ、そうだ。折角ですし、ハンバーグに隠し味を足しておきましょうか。ふふ、秘密のソースは人妻の涎とマン汁だ」
 広澤が足元に挽肉の入ったボウルを置いた。目論見が判って身体をぶんぶんと揺するも、イキ狂う四十過ぎの女が、十代の大男が行う拘束から抜けだせるはずもない。
 股間が激しく躍り狂い、股先から泡立った淫汁がびちゃびちゃと飛び散る。脳は快楽信号を伝達する以外の仕事を放棄していた。下半身の制御は利かず、エプロンの裾先を揺らして惨めな腰振りを披露し続けてしまう。
「ああんっ、あんっ、あっ、あんっ、あんあんっ、あひぃいッ!」
「ああ、凄まじいイキ声だ。気が狂いそうでしょう? でもね奥さん。まだもう一本、あなたを幸せにしてくれる道具があるんです──よッ!」
「くひぃいいいいい──ッ!」
 先端部が丸いバイブ──マッサージ機が股座の中央にぐっと押しこめられた。剥けた肉芽に凶悪な振動が無慈悲に送られて、人妻は目を剥いて絶叫した。
「だめッ! だめよっ、だめぇえッ! お、おかひくなるッ! あああ、あだまごわれるっ! い、いぎできな、じぬッ! イ、イッでじんじゃうううっ!」
 もう自分でも何を叫んでいるのか判らない。涙と涎を垂らし、女は真っ赤に染まった裸身をじたばたと暴れさせる。
(や、ぁッ……だめよ、だめっ! ハンバーグにかかっちゃう! こ、こらえるのッ! お願いだから耐えて! これ以上恥をかきたくないのッ)
 奥歯を食いしばり、必死に自制を利かせる。だが股の付け根から込みあげる熱い痺れを抑えこめない。溢れる──粘度の低いソレが短い尿道を伝うのを察知して、紫帆は懸命に括約筋を締めた。
「無駄なのに必死に我慢してますね? でも無理ですよ。これで終わりです」
「ひぁッ……や、あっ! 出ちゃうっ! だめ出るっ! イクぅッ!」
 広澤がバイブを勢いよく引き抜いた瞬間、絶頂の咆哮とともに、女の身体はぐんッと反り返った。突きだした股の中央から透明な液体がブシャアアアッと飛沫をあげ、それは陰唇に宛がわれたバイブによって攪拌されると、床どころか食器棚に至るまで牝汁を撒き散らした。
「あっ、あっ、ああっ、あああっ、ああっ、あ、ああああッ……」
 もう言葉さえ出てこなかった。極限の羞恥と肉悦に脳の回路はズタズタに焼き切れ、思考は爆ぜたまま戻らない。蟹股に開いた両脚が付け根から爪先までガクガクと震え、品のない牝踊りで凌辱者たちを悦ばせた。
「完全に昇天してますって顔だなぁ。まさに魂が抜ける心地ってやつだ。おーい奥さん大丈夫か? 蟹股でま×こ振って、晩飯に潮かけまくってるぞ?」
「隠し味のスパイスだから良いんですよね? ほら、残った汁も掻きだしておきましょうねー」
「んほひッ……んひ、ぎっ……」
 広澤が指を膣に挿入し、最も敏感な部分を激しく擦りあげる。母としても人妻としても──あるいは女としても発してはならない声をあげ、下半身を振ってイキ潮を散らす。身体の奥で水風船でも潰れたように熱い汁が溢れた。
(あ、ああ……イクのが止まらない……余韻が残って……ずっと、イッてる……なんて無様で下品で……あああ、こんなの、人間の達し方じゃないわ……)
 永渕に支えられていなければ床に倒れていただろう。糸の切れた操り人形のように、紫帆は力の抜けた身体をただ男の巨体に預ける。オーガズムの波紋は何度も全身に広がって、汗みどろの女体は妖しい光沢を散らしていた。
「あっ……」
 男の拘束から解放されて床に崩れる。足元に溜まった牝液の水溜まりに膝が触れて、びちゃっと卑猥な匂いが散った。ハンバーグの材料はぐしょ濡れだ。
「おつかれさまでした、紫帆さん。さあ、次で終わりですよ。ここでセックスするのもなんですし、移動しましょうか。こっちへ来てください。案内しますよ」
 案内するも何も、ここは紫帆の家なのだが、男の言葉へいちいち反応を返すこともままならない。手を引かれ、ほとんど身体を引き摺るようにして移動する。涙で滲んだ視界は下手な水彩画のように淡く不鮮明で、三半規管は役割を果たせず、ぐらぐらと重心が揺れる。
「ここで今日最後のセックスを楽しみましょうね。床に手をついて。そうそう、お上手ですよ。さあ前に進んで。快楽に身を委ねればすぐに終わります」
「はぁ、あ、ああ……どうして廊下で……あああんッ!」
 困惑する紫帆を他所に、秘唇へ牡棒が挿入される。いつの間にかエプロンを剥ぎ取られていた熟母は、全裸にコンドームネックレスという格好をして、獣の体位で少年に貫かれていた。
「あっ、あんっ……ひ、広澤くっ……ンンッ! や、優しくしてぇ……も、もうイキ過ぎて……はぁ、はひぃっ、ひぐんッ」
「大丈夫ですよ。これで終わりですから。もう少しだけ頑張りましょうね?」
 豊かな曲線美を描く腰を掴み、広澤はずんずんと腰を遣る。四つん這いの紫帆は促されるがまま歩く。異変に気づいたのは──開いた扉から、別の女の喘ぎが聞こえたからだ。
「あ……え? こ、ここってまさか……!」
「ああ、ようやく気づきました? 紘太くんの部屋の前ですよ。ふふ、血の繋がりもないのに、母親と似て無防備ですね。扉が半開きで、しかもイヤフォンが抜けかかって音が漏れてる。ほら聞こえるでしょう? 奥さんに似た、下品でマゾっぽい喘ぎ声が」
 開いた扉の向こうに息子の後姿が見える。下半身を露出させ、はぁはぁと熱っぽく息を継いで、パソコンの画面に映るアダルトビデオを見つめていた。
(盗んだDVDで自慰なんて……あ、ああ、だめよ、そんなことをしてはッ……罪を重ねないで……お願いだから、自分を強く持って……!)
 偉そうに胸の中で訴えかけてはいるが、それは自分に──首からコンドームを揺らし、息子の同級生に犯されて何十回と達している自身に言い聞かせているようだった。
「俺たちの言ったことが嘘じゃないって、判ってもらえましたよね? これが息子さんの真実ですよ。酷い子供ですよね。親が身体張って罪を償ってるのに、呑気にオナニーなんて」
「ひ……広澤くん。お願いですから部屋に……寝室でもリビングでも良いから、場所を変えてくださいッ」
「だめですよ。最後はここで出します。息子の前でアクメをキめるんですよ」
 広澤が力強い抽送を繰りだす。股間と股間がぶつかるたび、汗だくの豊尻に喜悦のさざ波が広がる。音を抑えることはできない。熟しきった肉感のある濡れ肌は、ばちゅん、ばちゅっという情交の音色を必要以上に響かせた。
(息子が自慰をしている傍でセックスを……ああ、こんなのって……)
「うう……んはぁっ、はぅっ……んっ、んぐ、んふっ、ンンッ……」
「はは、そんな必死に声を抑えなくても大丈夫ですよ。楽しみましょうよ。もう限界なんでしょう? 派手にイッて、俺たちの出会いとこれからを盛大に祝いましょう──よッ!」
「ああああんッ!」
 強烈な一撃が膣奥を襲い、四つん這いの人妻は宙を仰いだ。少年の容赦ない律動に視界がガクガクと揺れる。釣鐘の形に垂れた乳房が肉打ちに合わせてばるんばるんと跳ね躍っていた。勃起した乳首が床に擦れ、その刺激でさえ膣孔がギュッと締まりを強くする。
「お願いだから、もうやめてぇっ……ああん、あんっ、ああっ」
「ならお願いするんですよ。色々と教えたでしょう? 奥さんだって賢いんだ。俺たちがどういう振る舞いを好むのか、もう理解しているはずですよ?」
「あ、ああ……でも紘太くんの……む、息子の前なんです、どうか」
「なら、やっぱり朝まで楽しみますか? マン汁とイキ潮塗れのハンバーグ食べて、息子さんの前でセックスしましょうか。ふふ、きっと喜びますよ。何せ紘太くんは熟女好きだ。それも母親とセックスするエロDVDを盗む筋金入りのマザコンです。ご褒美でしょうねぇ?」
 残酷な脅し文句に奥歯がガチガチと震える。約束と違うではないか──と、さっきと同じように抗議することもできない。破滅は目前に迫っているのだ。
 解決策を探ろうとも頭は働かない。穂先の形に子宮が歪むたびに息が詰まり、肉悦と焦燥の坩堝に呑まれた思考は、正常に物事を判断する能力を失っていた。
「さあ、どうします? 朝までやりますか? ええ?」
「や、ぁ……い、言いますからっ。だ、出して……終わらせてくださいっ」
「そうじゃないでしょう。今更淑女ぶってどうするんです。何十回もイッて、七回も膣中で精液を搾り取って、コンドーム首にぶら提げた女が上品に振る舞うもんじゃないですよ」
 広澤の腰遣いが緩く、甘いものに変わる。粘りついた愛蜜をぬちぬちと掻き混ぜられ、芯が蕩けるような恍惚とした法悦が滲む。官能を孕む息遣いが朱唇の隙間から忙しなく漏れた。桃色の濃霧が思考を覆って考えが纏まらない。
(だ、だめだわ……躊躇しても無駄よ……今更どうしようも、ない……)
「お、お願いします。私の人妻ま×この中で……しゃ、射精してください」
「良いですねぇ。でもまだ躊躇が強いですね。もっとケツ穴ヒクつかせて。自分でお尻を振りながら懇願するんですよ。今のあなたはどうしようもないち×ぽ狂いの、淫乱マゾ牝なんです。ほら、あの画面で喘いでる女優を見習って」
 息子のパソコンから漏れてくる女優の声に耳を傾ける。品性の欠如した言葉遣いに性の酩酊が強まって、意識が羞恥に霞む。
 あの女性も演技をしているのだ。だったら自分も、同じ女として芝居を打つのは変なことではないはず──無理矢理そんな風に考えて、紫帆は朱唇から垂れかかった唾を啜り、巨大な桃果実を揺すりたてて言った。
「お……夫が出張している間に、若いおち×ぽハメられて悦ぶ私に……あ、ああ、息子の傍でセックスする淫乱人妻の紫帆に、お情けを……はぁ、はぁっ……欲求不満の経産婦おま×この中で……ううッ、若くて新鮮な子種を出してッ……」
 偽りの願望を口にした瞬間、得体の知れない何かが身体の芯をぶるりと震わせ、総身の産毛が一斉に逆立った。
(う、あっ……また、この感じ……エッチなことを叫ぶと身体がぞわぞわってして……はぁ、あッ! ま、待って、嘘ッ! 嘘でしょ私ッ──)
「あっ、イ、クッ……イ、イクぅッ!」
 自分の身に何が起きたのかも判らぬまま、人妻は狼狽の中で吼えていた。泡の浮いた涎を噛みしめ、熟れ肌を喜悦に波打たせる。収縮する膣粘膜が激しい痙攣を伴って男根を搾りあげ、吐精を促した。
「おお、まさか下品な言葉を口にするだけで絶頂とはッ……お、おお……マン肉がち×ぽを扱いてきてッ……く、うッ! 出ますよ、出るッ! おお、イクッ!」
「くは、ひ……ッ!」
 少年が力強く剛直を叩きこみ、牡欲を爆発させた。しなやかな両脚がピーンと背筋を張って伸びる。男の股間に合わせて掲げられた尻が、ガクガクと無様に躍った。跳ねる毛先から汗粒と牝臭が散る。たっぷりと子種の詰まったコンドームが、熟れた果実と一緒に揺れていた。
「はぁ、ふー……ああ、たまらない射精でしたよ。じゃ、ち×ぽ抜きますね」
「あ、あっ……ああ、ん……」
 名残を惜しむように、酷く緩慢な動きで怒張が抜かれていく。絶頂の続く肉壺の締まりは強烈で、使用済みのコンドームが穴の入り口で引っ掛かった。水色の避妊具が花弁からべろんと顔を出し、白濁をだらだらと零す。尻臀がオーガズムに震えるたびに、濁った牡の露がぼたぼたと滴った。
「それじゃ、俺たちは約束通り帰るよ。精々息子にばれないようにな。これからもあんたでたっぷり遊びたいんだからさ。そのままでいたら大ごとだぜ? いかにも下品なマゾセックスしましたって感じでよ」
「またすぐに連絡します。楽しい夏休みにしましょうね。ああ、そうだ。そのコンドームは捨てないように。俺たちと会うときは身に着けてもらいますから」
 男たちは好き勝手に呟くと、最後に紫帆の尻臀をペチペチと叩き、その場を後にした。呆気ない解放に現実味が湧かない。玄関の扉が閉まってようやく、紫帆はハッと我を取り戻した。
(は……早く動かないと。このままじゃ、紘太くんに見られてしまう……廊下の精液を拭いて……ラグを隠して、夕食の準備を……)
 すべきことは判っているのに、身体はピクピクと痙攣するだけで一歩も動いてはくれない。上半身を伏せ、下品に震える尻房から白濁を垂らし、清楚妻は絶頂の余韻に揉まれ続けるのだった。

 

(第一章 完)