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今月の放言

セックスこそ耽美であれ ドン小西

直筆短冊

単なる辛口にとどまらない、独自のファッション観に基づく理論的な批評の前では、誰もがひれふす。では官能の分野はどうなのだろう? 取材当日、歯に衣きせぬ豪快なトークとともに吐き出された言葉の数々は、幼少時代、さらにはクリエイターとしての環境が大きく影響した、非常にユニークなものであった。

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プロフィール ドン小西

三重県出身。1981年(株)フィッチェ・ウォーモ設立し、その後ブランドYOSHIYUKIKONISHIを発表。'91年には毎日ファッション大賞において大賞を、'98年にはFEC(ファッションエディターズクラブ)賞において、デザイナー賞を受賞。'04年にメンズスーツブランドd.k.fProducedbyDonkonishiを発表。またファッション以外での活動も行なっており、'06年には日本人初のイスラエル親善大使に任命される。

第3章 理想の女は”ナイトリペア”

個人的には、女性に求めるものって二通りあると思うんだ。特に僕の場合は、三重から出てきて4畳半暮らしからスタートして今まで、誰の世話にもならずに、作った服を売って好き放題やっているだけだから、それをキチッとお金に変えてくれるような人というか、ビジネス的な面で自分に欠けている部分を補ってくれるような人。そういうかかわり合いは絶対に必要だと思う。あともう一つは、あくまで女性としての魅力。ビジネスとか、そういうことには全く絡まないっていうね。いわゆる自分の活動力の源というか、安らぎであるとか、癒しというかね。ニュートラルな自分にリセットするための人。

今なんかは、化粧品なんかがそうなんだけど、ダメージケアみたいなやつがあるでしょう?「その日に痛めた、疲れた肌は夜のうちにナイトリペア!」みたいな(笑)。朝起きたら治ってるっていう。そういうような女性がいいですね。「これ(ナイトリペア)が彼女だったらなあ」って思ったことがありますもん(笑)。あと40年近くクリエイターとして生きてきて、頑固な性格とかはもう治らない。だから俺を上手に利用してもらって『ア・ナ・タ』って優しく言ってもらいたいわけよ。それに牙を向くような女なんて、もういやだよ。

まあ、今までさんざん、ああでもないこうでもないって言ってきたけど、やっぱり俺だって男なんだから、普通にスケベだと思うよ。例えば黒のレーシーな下着、胸、尻は大好きだし、これは俺のウィークポイントだよね(笑)。ただね、こういうことも含め、物事を美学で追求したいというか、耽美なものであってほしいっていうかね。だから例えば、タオルケットの毛玉とかは絶対に許せないし、ティッシュの箱なんかでも色が悪いやつは絶対に破いて捨てて中身だけ残すとかね、そういうビジュアルに対してすごく潔癖な部分はあるよね。

いただいた名刺がどんなに立派でも、また資料でもらったパンフレットでも、ビジュアルが気に入らなければ重要な部分だけ控えてあとは捨てるし。もうね、自分のファイルの中に入っていること自体が耐えられないの。あと部屋を見渡して、「あのシーツとカーテンの色が合ってないなあ」って思うと、それだけでもうずっとストレスだもん。そうなると、どんなに時間がなくても新しいシーツとカーテンを買いに行くからね。別にそういうことにカッコつけてお金を出してるとか、そういうことじゃないのよ。ダメなんだよ、生理的に。自分の下着もそう、今日着ようっていう服とちゃんとにコーディネートされてないとダメ。絶対脱がねえのに(笑)。

文:オオサワ系

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