「恐縮です!」。この言葉を武器に、多くのスターたちの心を開いてきた、芸能レポーターの草分けである。自らの意志に関係なく、否が応にも見ざるを得なかった、芸能界の裏事情&エロ事情とはいかなるものだったのか。スターたちから最も近い場所にいた男ならではの、まさかという内容にもリアリティがある。
インタビューの仕事は、若い女性よりも、僕の場合は圧倒的に熟年の方が多いですね。若い人に較べて新鮮さは薄れるかもしれないけど、嫌いじゃないですよ。じっくり話を聞けるし楽しいし。何たってお互いに知ってるわけですし。この前なんか水谷八重子さんと一緒だったんですが、そのときも「梨元さん、もうあなたにはホントに追いかけられたわねえ~(笑)」なんて言われましてね。
そうやって親しくなるには、小ワザがあるんです。ポイントは撮影のとき。これはテレビカメラとか、スチールのときに有効なんですが、メイクが終わっていざ撮影ってなったときに「左右、どっち側から写ったお顔が好きですか?」って聞くんです。そうすると自分のことを考えてくれてると思って、相手はすごく喜ぶし、取材が楽になるんです。水谷さんの時も、そういう形で入ったので、よく話してくれたのかもしれません。
あと有馬稲子さんなんかもそうですね。彼女は以前、目白にある椿山荘でインタビューしたんですけど、同じように接していたらすごい喜んでくれて。やっぱりその後、そのことをずっと憶えててくれてね。嬉しいですよね、こっちも。そういうことって細かいことですけど、大事なんだなあ、と思いますよね。
それから女優さんと接する際に重要だなって感じたことは「年齢」ですね。相手の年齢がわからないときは、必ず若く書くようにしています。100歩譲って、結婚なんかの記事で、間違えて書いちゃったらなら、まだいいですよ。これが離婚の記事でだったらもう大変、一生クレームもんですよ。高峰三枝子さんが晩年、あるスポーツ紙の取材だけは一切受けなかったんです。それはなぜかっていうと、ある記事でその新聞が彼女の年齢を1歳多く掲載しちゃったから。それで高峰さんが激怒しちゃって。
あとこれは僕の個人的な体験なんですが、亡くなった近江俊郎さんて、奥さんの方が年上なんですよ。それであるとき、熱海の海岸で、お二人にインタビューをさせてもらいました。ところが、いざ放送しようとしたら奥さんの年齢がわからないってディレクターが言い出して。少なくとも近江さんよりは上っていうことはわかっていたけど、僕はあえて近江さんよりも1歳下に伝えたんです。そしたら喜ばれてねえ~(笑)。亡くなるまで、梨元さん、あなたは本当にいい人!」って(笑)。近江さんが亡くなったときだって、奥さんに取材で食い込まなきゃならないわけですけど、僕だけ特別に「他の取材陣がいなくなってから、あとでちゃんと話すから」って。ね、女性にとって年齢って、これだけ大事だってことなんですよ。