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辱めないでください 息子の嫁と家政婦 3

 上着を二本の刃が挟みこむ。内側に身に着けたインナーごと男は裁断し始めた。ボタンを外せば切る必要もないのに──恐怖を与えるように、わざわざハサミで女体を暴いていく。 (や……だ。怖い……何をされるの……無事に戻れるの?) 「大丈夫ですよ。達男様は暴力を嫌っておられます。抵抗さえしなければ悪いようにはされません。ただ身を任せてください。川の水面で漂うように」  桜子が囁き、指先で前髪を掻き分けてくる。慈しみを感じる微笑みに優佳の心は少しだけ緊張を緩める。だが理解できなかった。この五日間見てきた達男は暴力を嫌っている人間には思えない。あれこそ、支配と暴虐に憑かれた獣の姿ではなかったか。 「ふふ、ブラトップか。おっぱいを傷つけないようにしないとな。おい動くなよ。谷間に沿ってハサミを入れるぞ。可愛い嫁を傷物にしたくないからな」  ハサミが乳房の側面に触れる。暴れる勇気はなく、呼気の乱れで胸が動かぬよう息を詰めた。生地が断ち切られ、汗ばんだ谷間を空気が撫でる。男は下卑た感情を隠そうともせず唇を舐め、毛虫のような指で寝間着を開き、「おお……」と感嘆の声を漏らした。 「や、ぁ……見ないでッ……」 「見ないわけがなかろう。それに恥じることじゃない。芸術的だよ、これは。きっと優佳が全裸で街を歩いていたところで誰も通報しないだろう。警官でさえ見惚れるだろうなぁ」  無遠慮に乳房を眺めて達男はうっとりと呟く。男の評価は大袈裟に聞こえるが、事実として、人妻の身体は完璧に均整の取れたモデル体型をしていた。  女の果実はたっぷりと肉を蓄えつつも、垂れ感なく椀型を維持している。頂の色は可憐なピンクだ。乳首は尖っているが下品ではなく、すらりと長い四肢も相まって、健康的なエロスを感じさせていた。 「乳房の張り、乳輪の面積、乳首の色……それに腹の締まりも完璧だ。ふふ、この身体がわしのモノに……ああ、いい。素晴らしい。桜子の垂れた身体も柔らかくて好きだが、この若々しい弾力も……くく、涎が出そうだ……」 「ひ、人の心はないんですか。息子の妻を、こんな風に辱めて……」 「勘違いするな。わしはお前を救ってやろうとしてるんだ。持て余しているのだろう? 他人の情事を見ながら自慰に及ぶほどの性欲を。女盛りにありながら誰にも抱かれぬ身体を。だからわしがお前の身体を使って、性欲を解消してやる」 「あッ……や、やめてッ! し、下はだめッ!」  達男の手がズボンに伸び、躊躇なく紐を緩めてくる。下半身を剥かれる恐怖に優佳は腰を捻る。だがすべては無意味で──寝間着は下着と一緒に呆気なく脚を滑り、太腿の中段まで下っていった。 「あ……」  股の付け根から立ち昇る牝臭が鼻頭を衝く。自分の身に起きたことが信じられず、優佳は呆然と下半身に視線を遣った。  伸縮性の高いパジャマが裂けそうなほど左右に伸びていた。そろそろ夫が抱いてくれるかも──そんな期待を込めて整えた陰毛が、ぐっしょりと濡れて束を作っている。達男がパジャマにハサミを差しこむと、伸びきっていた生地は呆気なく切れた。 「桜子」  名前を呼ばれた家政婦が照明器具を優佳の下半身に近づける。照らされた股座にはびっしょりと愛液が付着し、発情の証が橙色にぬらぬらと艶を放つ。 「ふふ、ま×この方も極上だな。マン毛もキッチリ整えてるじゃないか。わしに抱かれるために剃ったのかな?」 「そんなわけッ……もういいでしょうッ! 解放してください!」 「ははは、まさか本気で言っているのか? それに優佳、お前も期待してるんだろう。これほど股を濡らした女が何を欲しがっているかなんぞ、青臭い高校生でも判る」 「き、期待なんてしているわけ……あんッ」  達男の親指が大陰唇に添えられる。男は硬い指の腹を柔肉に食いこませて、女の裂け目をパクパクと開閉させた。溜まっていた蜜が肉唇の間で潰れ、ぴゅっと小さく泡を吹く。  女性器を弄ぶ下劣な責めに眉間が熱くなる。だが股に顔を寄せ、すんすんと鼻を鳴らす義父を見ると、優佳の怒気は瞬く間に萎んだ。発情しきった陰部を嗅がれている──その現実に恥辱が波となって押し寄せる。 「発情牝特有の甘酸っぱい匂いがそそるな。肉びらの色艶もよし。お、クリは少し大きいな。さてはクリオナ派だな? 指でお豆ちゃんを弄ってるだろう」 「あ……あ、ああ……」  女の祠を覗きこみ、義父は好き勝手に感想を呟いては具合を確かめていた。指先で陰毛を抓んで引っ張る。媚肉を拡げたまま息を吹きかけ、膣中の蠢きを観察する。妖しくぎらついた凌辱者の双眸は、仕留めた獲物を吟味する肉食の獣を思わせた。 「ひぅッ……!」  達男の舌が陰唇の縁を舐めあげた。いよいよ女体嬲りが始まったのだ。その事実に気づくも、やはり優佳は自分の取るべき行動が判らない。夫に助けを求めるべきだが、もしも夫がここに駆けつけたとして、家政婦と父に犯されている妻を見て何を思うのか。 (こんなの見せられない……お義父さんにアソコを舐められている姿なんて)  でも。じゃあ。だったら。どうすれば。真面目な清楚妻は思考の泥沼に嵌りつつあった。そして女がおろおろと躊躇し、弱い部分を見せれば、その隙を牡獣は見逃さない。 「ああんっ、ちょ……っと、お義父さ、やめッ……あ……ッ」  舌先が肉びらを捲り、啄むように花唇へ接吻する。生温い肉の帯が陰核の傍を通過するたび、強烈な牝悦の予感に息を詰めた。快感反応を示してはならない。優佳は奥歯を食いしばり、眉間に皺を寄せて愉悦に備える。 (お義父さんが巧いのは、この五日間でよく判ってる……私の身体が発情しきってるのも、私が一番よく理解してる……でも負けない……耐えるの……)  と、優佳が身構えていることすら達男は理解しているのだろう。  男は責め急がない。舌と唇を交互に遣って花園をゆっくりと舐める。優佳にしてみれば不思議でならなかった。夫はすぐにクリトリスを刺激するのに──陰核も膣中も全く触れないのだ。 (何がしたいの……こんな風に触られても、喘いだりなんて……)  優佳は困惑していた。絶頂に次ぐ絶頂──嵐のような責め苦を想定していたがために、芯を解すような愛撫に理解が及ばなかった。これなら何時間でも我慢できる……と、女の気が微かに緩む。瞬間、義父の舌先が肉芽をチロッと弾いた。 「あンッ!」  不意の鋭い肉悦に視界が瞬いた。やはりきた──優佳は唇を結びなおす。だが再び、達男は性感帯を微妙に外して、くすぐるように舌を遣る。 (油断しちゃだめ……気を抜いたときを狙ってくる……もう啼かないッ)  達男の舌が膣口数ミリで前後する。本格的に中を嬲る気なのだ。優佳は拳を握りしめ、しかし男は入り口に溜まった果蜜を犬のように掬うだけで、奥を責めてはこない。陰核を叩いたのも先の一度だけだ。太腿に頬擦りするように股間でもぞもぞと顔を動かし、急所を避け、粘着質で執拗な口愛撫を繰り返す。 「はぁっ……はぁ……んくっ、んぅ……んはぁ、はぁ……」  鼓膜に響いた甘ったるい声を聞いてハッとする。それが自分の喘ぎ声だと気づくのに少し時間が掛かった。一体いつから、口を半開きにして恍惚としていたのだろう。数秒であったようにも、何十分と経過したようにも思った。 (こうやって、じわじわ嬲る気なの……? 流されちゃ……だめ……)  だが当初のように気持ちを立て直せない。義父の不潔な呼気が淫裂に吹きかけられる。大した刺激ではないのだが、生温い熱波が疼いた牝肉を撫でるのがやたらに心地好くて、優佳の目尻は知らぬ間にとろんと垂れてしまう。 「んうぅっ……くッ……はぁ、はぁ……はぅ、ンッ……」  舌が膣粘膜を小刻みに擦る。狭い肉筒はキュッと窄まって、義父の舌を自ら締めた。もっと強く──激しく──じれったい愛撫を浴び続けた身体が牡に請うているようであった。 (こ、これ……一体いつまで続けるの……アソコばっかり舐め続けて……)  優佳は余裕を失い、くなくなと汗だくの首を左右に振り始める。舐めしゃぶられた股は肉や関節の境界が曖昧になるほど蕩け、次々と蜜を溢れさせている。時折顔を上げる義父の顔からは、白濁した糸が何本も伸びていた。  問題は股以外にも生じていた。膣に快感を与えられるほど、胸の辺りがむずむずと疼くのだ。視線をちらりと遣ると、今まで見たことがないほど乳房が張り詰めていた。無論、その頂にある女の尖りも下品なほどに勃起している。 「優佳さん、乳房が寂しいのですね? 私が手伝ってさしあげましょうか」 「あ……」  桜子の白い指が乳房の表面を撫でる。豊かな傾斜に触れた指の腹は、汗の粒で線を引くように、すう……と緩慢な動きで滑った。羽毛でくすぐるような接触は優佳の求める刺激とは程遠く、寧ろむず痒い心地が掻きたてられるだけだった。 「はぅ、ううっ……お願いだからやめ……それ、だめぇ……」 「ええ、判っていますよ。膨張しきった乳房を十本の指で鷲掴みにされて、激しく揉みこまれて、硬く尖った先端を舌や歯で弄ばれたいのでしょう? 判ります。今に達男様が叶えてくださいますからね。辛抱なさってくださいね?」 「し……辛抱なんて……私は揉まれたくなんて……ああんッ!」  細い指先がツンと乳首を弾く。それだけで雷撃のような性電流が迸り、義父が吸いつく股間がカクカクッと上下に跳ねた。信じられない話だが、夫と一度の性行為で覚える快感──ソレを凌駕するほどの愉悦が頭の芯に駆け抜けていた。 (あ、ああ……どうしよう……身体の感度が、おかしくなってる……) 「あんッ」  狼狽する優佳に構わず、義父が指を挿入する。中にどれほど蜜が詰まっているのか、くちゅ……と粘り気のある音が鳴った。毛深い指の侵入に、しかし膣肉は歓迎の蠕動を起こす。揺らぐ海藻のように蠢き、膣口を窄めて、自発的にちゅぱちゅぱと舐めしゃぶっていた。 「おー、良い具合だ。指紋が融けちまいそうだな。散々焦らしてやった甲斐あって、指への吸いつきも極上だ。指をち×ぽと勘違いして舐めてきやがる」 「あぅ、くッ……はぁっ、はぅ……ううッ……」 「挿れられるのが嬉しくて言葉にならないって感じか? それとも、今にもイキそうなのを堪えてるのか? そうだよなぁ。この辺を擦られるたび、マン肉が痙攣してるもんなあ?」 「そんな、ことっ……イッ……ク、わけぇッ……ひぐぅッ」  満足に虚勢を張ることもできず、優佳は眉間に皺を刻んでシーツを掴む。  指先が弱点をゆるゆると撫でる。義父が軽く膣壁を叩くたびに下半身が引き攣る。イキたくない。絶対に嫌だ。本心でそう思う。だが自分の中にいる別の誰かが囁く。そろそろイキたいでしょう? ずっと我慢してたもんね……?  蓄積した牝欲が発散を望んでいた。もう少しなのだ。もう一押しでイける。でも。やっぱり。それでも。だけれど。義父の思い通りになんて──。 「はは、凄いなあ。これが三年以上セックスしてなかった女か。俺が調教するまでもなかったかな? 既に淫乱仕草が板についてるじゃないか。なあ桜子」 「はい……優佳さんったら必死に腰を振って……犬みたいで可愛らしいわ……」 「犬、みたい……なに、言って……えッ……?」  瞑っていた目を開き、下半身に視線を移す。そこでようやく、優佳は腰でくねくねと円を描いている事実を知る。一体いつから尻を振っていたのかも判らなかった。 「はぁ……はぁ……これ、違……こんなの、私の意思じゃ……」 「否定することないだろう。わし好みの下品な淫乱で嬉しいよ。ほら、ご褒美だ。わしは動かないから、自分で股を擦りつけて絶頂しろ。さあ、遠慮するな。潮噴いても小便漏らしても構わないから、盛大にイキなさい」  義父は指を僅かに曲げ、宣言通り膣中で固定したまま手を止める。指の腹は優佳の一番好きな部分を完璧に捉えていた。ここだ──もう少しだけ腰を落として、膣壁への圧迫感を強くして、尻を振ればイける──卑しい欲望に優佳はこるりと喉を鳴らす。 (イキ……たい。このまま……少し擦れば私……イける……けど……) 「いや、です……私は……お、お義父さんの奴隷には……な、なりません」  懸命に欲望を押し留め、震える声で言う。それが精一杯の抵抗であった。だが達男は落胆も見せず、憤ることもなく、寧ろ笑みを浮かべた。 「ふふ、合格だよ。見込み通りだ。この程度で堕ちる尻軽のクソビッチなんぞ、はなから眼中にないからな。芯の強い清楚な女を、たっぷりと時間をかけて忠実なオナホに仕立てる──それこそが醍醐味よ」  絶頂しない加減を守り、慎重な動きで指が肉穴から抜かれる。「あ……」と寂寞の籠った声を漏らしてしまうが、その反応に羞恥をするだけの暇もなかった。  義父は股の間に座りなおし、ペニスの側面を縦筋に宛がってくる。炙った鉄を添えられているのではないか──そう思うほどの灼熱が股を燃やす。優佳は声も出せなかった。首をふるふると横に振って、必死に義父へと訴える。 「安心しなさい。まあ最初の一撃はしんどいだろうが、すぐに慣れるさ」 「はぁ……はぁっ……ちょ……お義父さん、待っ……」  義父が腰を引く。カウパーと愛蜜の混合汁が性器からねっとりと橋を架けた。男は雄々しく反った剛棒を指で倒し、膣孔に矛先を向けなおす。亀頭がぬぷぅと肉の暖簾をくぐる。膣が何倍にも拡がるような圧迫感に、女は双眸を見開き、唇の端から泡の浮いた涎を散らした。 「は……ひッ……」  挿れないで。避妊をしてください。助けて。お願い。許して。……。いくつもの言葉が脳裏をよぎり、しかし言葉として発することはできない。鋼鉄の杭が打ちこまれる衝撃に、頓狂な悲鳴をあげることしかできなかった。 (つづきは紙の書籍、電子書籍でお楽しみください)