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性伏王【雪永昴&天音凛那編】 2

第一章 暴力少女・雪永昴の発情


「おい昴ッ! こんな時間までどこに行っていたんだ!」
 家に足を踏みいれた瞬間、父の声が爆ぜるように響く。顔を合わせることはしない。どうせチョコを肴にビールを飲んでいるのだろう。その組み合わせの何が美味しいのかは理解不能だ。
「……うっせぇなクソ親父。あたしがどこで何してようが自由だろうが、ばーか」
「お前ッ……親に向かって馬鹿とはなんだ! 武道からも人の道からも逸れよって、この馬鹿娘がッ! いいか、お前は本来なら雪永道場の跡を――」
 階段を上った昴は、ぎゃあぎゃあと喚く父親の声を遮るように、勢いよく自室の扉を閉める。少女は部屋に入るなり、倒れこむようにベッドへ身を投げた。その顔は酷く紅潮している。息遣いもはぁはぁと忙しなく、瞳は熱っぽく潤んでいた。
「く……そッ。何が起きてるんだよ……あたしの身体は……ッ!」
 シーツをギュッと掴み、忌々しげに呟く。その異変が起きたのは凛那と別れた直後であった。何の前触れもなく、下腹部が猛烈に熱く疼き始めたのだ。
 自分の状態を一言で言い表すなら『発情』のほかにないだろう。心臓はドッドッと激しく鼓を打ち、肌は火照りを帯びて、毛穴から粘ついた汗が滲み続けている。一体なぜ――まさか淫魔に呪われたとも知らず、昴は燃えあがるような情動に惑っていた。
(あ、ああ……オ……オナニー、したい……きゅ、急になんなんだよ、くそッ! 我慢できねえッ……あ、ああ……あそこ弄りたくて、たまらねぇッ……♡)
 自室に戻り、緊張が緩んだ所為もあるのだろう。もう自制は利かなかった。スカートの中、股の間に手を伸ばす。スパッツ越しに陰部へと触れた瞬間、甘い性悦が腰に波紋を広げた。「ぁンっ♡」と思わず嬌声が漏れて、ビクンッと腰を引き攣らせてしまう。
「な、なんだよ、これ……あたしの、なんでこんなに濡れて……」
 女の溝に酷い粘り気を感じた。下半身に視線を遣ると、照明を浴びたスパッツがぬらぬらと黒光りしている。たっぷり水気を吸った生地は股座に密着して、縦筋まで浮かせていた。
(や、やっぱり、何かおかしい……こんないきなり、発情するなんて……ど、どうなってやがる……ああ、くそッ。だめだ、考えが纏まらねぇッ……♡)
「あ、くぅっ……ンンッ……んぁっ、はぁはぁ……はううッ!」
 もう性欲を押し返せない。昴は仰向けになると、大胆に脚を開帳し、中指で陰唇の間をシコシコと擦り始めた。ショーツの類は身に着けていないために、吸着するスパッツはほとんど直と同じ刺激を股肉に送りこむ。
「はぁ、はぁ、なんでこんな、気持ちいッ……う、あっ……やべ、嘘だろッ! も、もう、イクッ……あっ、いくぅ……♡」
 丸まった爪先がシーツを掴み、腰がぐんッと跳ねあがる。引き締まった身体がヘコヘコと縦に躍り、潮と思しき液体がじゅわッとスパッツへ染みを広げた。
「はぁ……はぁ……な……んだ、これ……ッ。今までと……全然、違っ……玩具も使ってねぇのに、なんでこんな……あ、うッ……嘘だろッ! また疼いて……どうなってやがんだッ」
 絶頂の余韻に浸る間もなかった。腹の底が再び――いや、先ほど以上の性熱を発し始めたのだ。じゅくじゅくと疼いた膣肉が、何かを求めるように艶めかしく蠕動する。太く硬いモノを挿入してほしいと、所有者である昴に訴えかけているようだ。
(ああもうッ……マジで、意味が判らねェッ! くそッ、くそッ……あたしの身体、完全にいかれてるッ! 我慢できねぇっ! 指がぁ……指が勝手に動いちまう……ッ♡)
 手がスポーツブラをずらす。谷間に籠った女の発情臭が、むわッと宙に融けた。真っ赤な乳首は下品なほど高々と勃起している。硬く尖った肉の頂を見て、昴は期待に唾を飲んだ。
「ああンッ♡」
 左手で先端をキュッと抓んだ瞬間、鋭い喜悦の電流が首筋を奔った。視界がチカッと明滅を起こし、少女は背中をベッドから浮かせて歓喜に悶える。汗みずくの腹が、ぬらぬらと妖しい光沢を散らして、淫猥な波打ちを繰り返した。
「はぁ……はぁ……♡ や、やっぱり、感度がやべぇ……す、少し触るだけで、頭がビリビリ痺れちまう……で、でも……うう、だめだッ! 満足……できねぇ……ッ!」
 思考が白く爆ぜるほどの絶頂だった。それなのに充足感は一瞬で萎み、すぐに女体は次の肉悦を渇望し始める。もう一度絶頂するしかないと、昴はスパッツの中に手を入れ、指を束ねて孔を穿った。しかし結果は一緒だ。何度達しても、女の渇きが満たされることはないのだった。

「……おい、ちょっと面貸せ」
 教室の後方、窓際の席に座る福弥に声を掛ける。時刻は十二時半を回ったところだ。昼休みで次は移動教室のためか、教室内に残っている生徒は少ない。それでも、凄みを利かせた昴の声に空気が緊張した。
「エェッ……と……何か用事、ですか。ぼ、僕、次の授業の準備があって」
 少年は身体を縮めて、おどおどと情けなく視線を泳がせる。既に昴の苛立ちはピークだ。酷い寝不足で頭もうまく働かない。
(朝まで一睡もできなかったからな……二十回以上はオナニーしたってのに、全然満足できねぇ……それどころか、ますます疼きが酷くなってやがる。こいつが近くにいると、余計に……だ)
 根拠はない。しかし明らかに、昨夜の一件――つまり福弥の生殖器を見てから、身体が狂っている。別に勘違いでも構わない。とにかく今は、この悶々と苛々を発散したかった。
 凛那のほうはどうなっているのだろう。聞きたいが、今日は学校を休んでいた。電話することも考えたが――まあ、とにかく、だ。福弥から情報を聞きだすのが先決だろう。それが単純で、手っ取り早い。
「とにかく、来い。逆らったら、殺す」
 福弥がついてくるのを確認してから屋上へと向かう。歩くたび、スパッツに滲んだ愛液が股に擦れ、ぬちぬちと蜜音が鳴った。
 立ち入り禁止の看板を蹴り飛ばし、突き破る勢いでドアを開ける。屋上に出てすぐ、昴は福弥をフェンスの際に追いやった。
「な、なんですか、いきなり。ぼ……僕が何をしたっていうんですか」
「とぼけんな。昨日、あたしに何かしただろ。そもそも、あの動画の落とし前もつけねぇとな。粗末なモンを見せやがって。――そうだ。おい、ち×ぽ出せ。再起不能になるまで棒と玉を蹴り続けてやる。構わねぇだろ? どうせ、お前がソイツを使う機会なんて一生ねェんだからよ。――おら、早くしろッ」
「ひぃッ」
 フェンスを思いきり蹴る。福弥は顔面を蒼白にして、制服のズボンを大慌てで脱ぐ。逸物が、ぶるるるンッと猛烈な勢いで姿を晒した。
「……ッ!」
 その強烈な存在感を前に、昴は思わず息を呑む。剛直は下腹部に接吻しかねないほどの雄々しい曲線を描き、ミチミチと暴力的に滾っていた。赤紫色の亀頭は裂けんばかりに膨張し、裏筋は今にも切れそうなほど伸びきっている。
 眼前に肉の幹が近づく。鬱蒼と生い茂った陰毛から立ち昇る牡臭が、生温い風に乗ってねっとりと頬を撫でた。そこで昴はハッと自分の状況に気づく。
「お――おい、ざけんなッ! なんで勃起させて――ていうか、おいッ! ンな汚ぇモン、近づけてくるんじゃねェ! 殺すぞッ!」
「なに言ってるんですか? 顔を近づけてるのは雪永さんでしょ?」
「は、はあッ? 何を言って――あっ、あんッ♡ え、な、なんだ?」
 肉悦が奔り、抗議の声が嬌声で途切れる。下を向くと、スカートの中に潜る自分の指が、もぞもぞと勝手に動いていた。その先端が捉えるのは肉芽の辺りだ。一番気持ちいい部分を、スパッツ越しにくにくにと押しているではないか。
(え……あ、あたし、なんでオナニー、してんだ? て、てか、本当にあたしが屈んでるじゃねェかッ……ち、ち×ぽに顔近づけて、オナッてんのかよ、あたしッ……)
 歪すぎる状況を理解できず、手の動きも止まらない。陰部に宛がった掌を小刻みに震わせ、心地よい振動を送り続けてしまう。
「はぁ、はぁ……て、てめェ、マジであたしに何したんだ!」
「何ってなんですか? 僕はただ、命令通り、ち×ぽ出してるだけですよ?」
 ニヤリと笑みを浮かべ、少年はペニスの根元に指を添えて、右に左に穂先を動かす。すると昴の眼球は、亀頭を追う形で左右に動いてしまう。
 制御できないのは目だけではない。鼻の穴もヒクついて、蒸れた獣の匂いを目一杯嗅いでいた。すんすんと鼻を鳴らすのを止められない。福弥のソレから漂う強烈な刺激臭を嗅いでいると、ぼうっと眉尻が垂れるほどに、恍惚とした桃色の情念を抱くのだった。
「あっ……」
 ビクンッと剛棒が脈を刻む。瞬間、鈴口に浮いた先走りの汁が、とろぉ……と糸を引いていく。もったいない――なぜそんな風に思ったのか判らぬまま、昴の身体は動いていた。
「ンれろっ……」
 口を拡げ、舌を伸ばし、カウパー汁を舐め掬う。不潔な液体が触れた瞬間、首裏にぞわッと鳥肌が奔った。スパッツに女の露がじゅわッと滲む。肉唇をなぞる中指に、薄く濁った生温い本気汁が絡みついた。
(な……なんであたし……こいつのち×ぽから出た汁を、舐めてるんだ? ていうか……な、なんだよ、この感覚ッ! こいつの汁を舐めると……ゾ、ゾクゾク、する?)
 意味も判らぬまま、唾液に融けた先走りの露をごくりと嚥下する。牡の汁が喉の粘膜を伝い、胃液に融けていく。その瞬間、腹の底から全身に甘い多幸感が広がった。
(う、美味ッ……こいつのち×ぽから出てる汁、なんでこんな美味いんだッ! さ、催眠術かなんか掛けられてンのか? と、とにかく、ち×ぽから離れねェと、やばいっ……!)
 だがやはり、脈打つ肉茎から離れられない。それどころか、唇は昴の意思を無視してちゅッちゅッと亀頭への接吻を始めた。舌先がひとりでに蠢き、張り詰めた裏筋をちろちろと弾く。肉幹が膨張して、拡がった鈴口が透明な汁を滲ませた。昴は唇で穂先を覆うと、肉の管をちゅうッと吸いあげ、溢れ出た我慢汁を胃の奥へと流しこむ。熱っぽい口淫をやめられない。
「んはぁ、はっ……んれろ、じゅるっ……ちゅ……っ♡」
「ちょ、ちょっと雪永さん、どういうつもりなんですか? こんな、いきなり……!」
「ンなこと、あたしが知るかッ! く、くそ、何がどうなってんだよぉ……ッ♡ ちゅっ、ンれろぉ……っ♡ はぁはぁ、はむぅ、ちゅ、じゅるれろぉっ♡」
 舌を左右に揺り動かし、肉エラをぶりんッと捲る。何かに乗っ取られたように動く舌先は、カリ首の段差を穿り、溝に溜まったカスを舐め掬った。汗と小便と精液の混じった、最低最悪の腐塊だ。だが――白い固体が唾液に融け、牡の風味が呼吸器を抜けると、産毛が波打つような浮遊感に襲われてしまう。
 せめて表情くらいは取り繕いたいのだが、媚びるような目を元に戻せない。右手も忙しなく淫裂の上で往復を繰り返して、自らを更なる高みへと追いこむ。
「ゆ、雪永さん、ぼ、僕……そろそろ出ちゃいますよ」
「んじゅるぅっ、ンれろっ……ふ、ふざけん、なっ。だ、出したら殺す、からなッ! あたしの口に、射精してみろ! てめぇ、この薄汚ぇクソち×ぽ、噛みちぎってやるッ」
「そ、それは怖いな……じゃ、じゃあ、ち×ぽ抜いちゃおっか――わわッ!」
 福弥が腰を引こうとした瞬間、昴は剛直を根元まで呑みこんでいた。口内に射精されたくない――その気持ちに偽りはないのに、同時に、どうしても精液が欲しくてたまらないのだ。
(く、そぉ……あたし、自分からち×ぽに縋りついてっ……く、う……で、でも、しゃぶるのやめらんねぇっ……精液……せーえき、欲しいッ……♡)
 矛盾する欲望を抱えたまま、昴は顔を小刻みに振り、喉の粘膜で肉矛を絞める。福弥は顔を真っ赤にして宙を仰いだ。
「う、おおお、出るッ……雪永さんの口ま×こに、ザーメン出るっ!」
「ンぎゅぐ、ぐびッ……んぎ、おごッ……♡ んお、おっ……ごっ♡」
 狭苦しい喉で肉棒が跳ねた。爛れそうなほどの熱を孕んだ濁液が、次々と食道へ流れこんでくる。ごきゅっごきゅっと嚥下しても間に合わない。唯一の呼吸路である鼻の穴から、白い提灯のように、逆流した精子が泡を膨らませていた。
(チ……クショウ……臭くてまずくて吐きそうだって、そう思いてぇのに……う、うまいっ♡ 喉越し最悪のチン汁ぅ……これ絶対、癖になっちまうよォ……ッ♡)
 福弥が腰を引く。ちゅぽんっと音を立てて肉棒が抜けた。摩擦でたっぷりと泡を浮かせた白濁汁が、唇と亀頭の間にねっとりと橋を架けて、昴の乱れた息遣いに合わせて揺れていた。
「は、はは……ああ、き、気持ちよかった……ま、まさか、雪永さんがフェラチオしてくれるなんて……驚いたなぁ……」
「ちょ、調子に……乗ってんじゃ、ねェ……あ、あたしは、だな……て、てめーの、汚ぇ汁が……屋上汚さねぇように――あっ♡ う、嘘だろ……♡」
 馬鹿みたいな言い訳を返す間にも、少年の怒張はムクムクと鎌首をもたげ始める。一度の射精で衰えぬどころか、ますます精力を滾らせているようだ。
 精液味の唾をごくりと飲みこみ、昴は惚けた表情で牡幹を見つめる。熱っぽい視線を浴びた肉柱は更に血流を加速させて、ドクンドクンと生々しい脈を刻んでいた。
「ふ、ふふ……どうしたんですか? そんなに、ち×ぽ見つめちゃって」
「――ッ……てめェッ……何か知ってやがるんだろッ……なにしたんだよ!」
「何って、なんです? なんでもいいですけど……話は終わりで、いいですかね? 僕、授業に戻りたいんですよ。ね、もう……満足しました、よね?」
 福弥は陰湿に笑う。何が起きているのか定かではないが、この男の思い通りにコトが進んでいるのは明らかだ。負けず嫌いで男嫌いの昴にとって、これほどの屈辱もない。
 だが毒々しい牡液の匂いを嗅ぐと、口元が緩み、精臭塗れの涎を垂らしてしまう。もう一度しゃぶりたい。いや、舐めるだけでは満足できない。欲しい。欲しい。欲しい。アレを口ではなくて、アソコに――そんな願望が、腹の底から脳裏にまで溢れて――。
「あ……れ?」
 股間に風の愛撫を感じて、昴は呆然と足元を見下ろす。履いているはずのスパッツが屋上に落ちていた。今の今まで福弥と対面していたはずなのに、いつの間にかフェンスに指を掛けていた。自分は無意識のまま服を脱ぎ捨て、露出した下半身を福弥に向けているのだ。
(な……んで。あ、あたし、いつの間に。本当に……さ、催眠術、なのか? さっきから……か、身体が誰かに乗っ取られたみたいに、勝手に……ッ)
 桃尻が陽光を浴びて艶やかな光沢を返す。興奮で赤らんだ花弁は既にくぱぁと開いて、牡を誘うように甘酸っぱい匂いを漂わせていた。空気に触れた粘膜は性の掻痒感を強めた。むずむずとした熱感を催して、昴は愛らしい双臀をくねくねと揺らしてしまう。
「うわぁ、びっくりするなぁ。いきなり脱いで、お尻振って……フェラチオの次は、一体どうしたんですか?」
「ち、違っ、これは……これは、身体が勝手に……ッ」
「身体が勝手に? コレが欲しすぎて、身体が勝手に、動いちゃいました?」
「……あっ♡」
 ピト……と、福弥が尻の谷間に剛直を添えてくる。会陰に牡の熱波を浴びた瞬間に、昴は理解した。自分が求めているのはコレなのだ。昨晩から疼き続けた身体にコレを挿れて、たった今飲んだ液体を奥に注いでほしい――燃えるように火照った女体は、そう望んでいるのだ。
(ああ、くそっ、くそぉっ! ち×ぽ……ッ♡ やっぱりち×ぽ、欲しいっ♡ ワケ判らねぇのに……ワケ判らねぇままでもいいから犯してほしいって、そう思っちまう……ッ♡)
 媚尻が左右に揺れる。頬擦りするように、宛がわれたペニスを尻谷間で擦り、牡の生殖欲を煽ってしまう。今すぐ離れないと犯されてしまうのに……判っていても、性の期待に抗えない。

(次回更新 2月4日)