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性伏王【雪永昴&天音凛那編】 4

「はぁ、はぁ……あっ、あっ……♡ あっ、いくぅ♡」
 女子トイレの個室から絶頂の産声があがる。便座の上に腰を掛けた昴は、ガタガタッと洋式便器を揺らし、M字に開いた脚を震わせた。
 丸まった爪先が何度も宙を蹴りあげる。左手で乳首を抓り、右手の指を膣中に挿入したまま、昴は打ちあげられた魚のように跳ねた。
「はぁ……はぁ、はーっ……♡」
 ぜぇぜぇと息を乱す少女は、開いた便座カバーにくたりと背中を預ける。これで一時間の間に八度は自慰で達した計算になるだろうか。だが、真の充足感は得られない。
(だめ、だ……やっぱりセックスじゃないと……セックスが、してェ……♡ ち×ぽ……あ、あいつのち×ぽ、ま×こに欲しいッ……アレで奥まで、穿られてぇッ……♡)
「ッ――くそっ、くそぉッ……!」
 我慢できなかった。恨み節を口にしながらも、愛液塗れの手でスマホを操作する。こんなの絶対におかしい。理性が警鐘を鳴らしているが、辛抱できない。福弥との性行為で一時は解消されたのに――昼休みから三時間が経過した今、掻き毟りたくなるような疼きは強まるばかりだ。
『物理準備室にこい。こなかったら殺す。棒と玉を潰して、歯を全部折る』
 ぬるぬると滑る指でメッセージを送る。今は授業中だ。福弥の返事には時間がかかるだろう。その予想に反して、すぐに連絡が来る。
『僕、用事があるんですよね。何をされるのか判らないし、怖いです。帰っていいですか』
「ざ――けんなッ……何するか判ってるくせにッ……!」
 女子便所であることも忘れて叫ぶ。ハッとして口を噤むも、授業中であるのが幸いして人の気配はない。すぐに昴は新しくメッセージを送る。
『セックスするからこい。暴力は振るわない。身体、使わせてやる』
 今度は直接的な文面に変えてみる。既読表示がつく。だが返事がこない。一分、二分……待っている間に、むらむらと性欲が腹の底から湧いてくる。ストレスを抱くほどに、セックスへの渇望は増す。昴はたまらず、次の文章を送る。
『ち×ぽ貸せ。お前だってあたしとセックスできて幸せだろ?』
『返事しろ。調子に乗るなよ。本当にち×ぽ潰してやろうか?』
『逆らったらどうなるか、判ってるよな? 既読無視するなよ』
『おい、まずは返事しろ。なに待ちなんだよ。何考えてんだよ』
『許さねぇぞ。どっちが上かもう一度ハッキリさせてやろうか』
 まだ最初のメッセージから五分も経過していない。だが返事が来ないことに業を煮やして、昴は次々と福弥に連絡を送ってしまう。その間にも我慢は限界に達して、左手の指は勃起乳首をくりくりと転がし始めていた。
(な……なんで無視するんだよ。あいつだって、あたしとハメたいはずだろうがッ……な、なんなんだよ。どうしたら、ち×ぽハメてくれるんだよっ)
「く、うう……くそッ……はぁ、はぁ……イクッ……イクッ!」
 絶頂の電流が奔り、視界が明滅を起こす。充足感は一瞬だ。寧ろ手淫による半端なオーガズムを味わうほどに、福弥とのセックスで得た快楽と比較してしまい、あの肉悦が恋しくて、たまらなくなる。
(だ、だめ、だ。プライドなんて捨てろ……演技でもいいから、あいつに媚びたほうがいい……じゃないと、ち、ち×ぽが……)
『セックスしてください。物理準備室で待っています。お願いします。ち×ぽ欲しいです。どうか、エッチしてください。お願いします』
 頭が回らず、これ以上の文面は思い浮かばなかった。だが効果はあったらしい。躊躇しつつ送信すると、ようやくメッセージが返ってくる。
『了解です。じゃあ、セックスしてあげます。全裸でオナりながら待機しててください。鞄に僕のパンツを入れておいてあげましたから、それを被ってね』
「なッ……」
 なんて陰湿な男なのだろう。だがそれより気になったのは最後の文面だ。
 鞄にパンツ――昴は恐る恐る自分の鞄を漁る。いつの間に入れたのか、底のほうに、薄汚く伸びたブリーフパンツが入っていた。
(こ、これを被って、全裸でオナれってのか? そんなの……はぁ、はぁ……そんなの惨めすぎる……最悪……すぎる……ッ)
 ブリーフを裏返す。小便か汗か、あるいはもっと不潔な排泄物の痕跡なのか、白い生地は黄ばんでいた。
「はぁ、はぁ……き、汚すぎる、だろっ……♡ あの、クソ変態がッ……♡」
 ぶつぶつと一人で言いつつ、その声は嬉々として弾んでいた。何はともあれ、便所を出て、物理準備室に移動しなければ。そう思うも、汚れた下着から意識を外せない。
(く、ぁ……やばい。この匂い……どうしても、我慢が……♡)
「んむふぅう……♡」
 はぁはぁと呼気を乱す昴は、辛抱たまらぬ様子で下着に顔を寄せた。黄ばんだ部分を鼻先に押しつけ、肺を膨らませて大きく息を吸う。ちろりと舌を這わせると、苦味と酸味が舌腹へと滲み、ゾワッと肌を粟立たせた。『返事は? 無視して帰っていいの?』と連絡がきて、昴は下着を咥えながら、素早く画面をタップして返信した。
『わかりました。従います』
 用済みとばかりにスマホを鞄に投げ入れ、ブリーフをしゃぶりつつ、激しく陰核を転がす。それがどれほど下品で狂気じみた行動なのかも考えぬまま――少女は肉欲の赴くままに、己を責めたてるのだった。

 物理準備室は、準備室とは名ばかりの狭い物置であった。古びた実験器具や壊れた冷蔵庫、二人掛けのソファまで置かれている。その黒い革張りのソファに、雪永昴は全裸で――汚いブリーフを頭に被った状態で腰掛けていた。
「あっ、あんッ……あぁ、はぅうンッ……あっ、あああんっ♡」
 左手の指先で乳首を転がし、孔に挿入した右手の指で膣壁をシコシコと擦る。指を出入りさせるたび、白く濁った本気汁がドバドバと溢れる。温い液体は会陰から糸を引いて、ソファをぐっしょりと濡らしていた。
「あ、あっ……また、きちまうっ……イクッ! あ、あっ、いくぅ……ッ」
 肋骨が浮くほど背筋を反らし、肉欲のままに叫ぶ。床の上でピンと伸びた爪先が、ビクッビクッと電流が流れたかのように小さく跳ねた。首に血管を浮かせ、少女は埃っぽい空気を噛みしめる。
「お……やってますね。ちゃんと僕の命令が聞けて偉いですよ、ふふ」
 扉を開けて少年が入ってくる。絶頂に浸る昴に痴態を取り繕う余裕はない。寧ろ入室してきた牡を歓迎するように、ピュッと潮を散らした。
「はぁ、はぁ……お、おい、指示には従ったぞ。お、お前も、約束を……」
「約束ってなんでしたっけ。僕、何をしに来たのか忘れちゃったな」
「ッ――てめぇッ、ふざけるな! さっさと、ち×ぽ出せっ!」
「ああ、そうでした! 雪永さんのお願いでセックスをしに来たんでした! 雪永さんがどうしてもって言うから、生ハメしに来たんでしたね?」
 わざわざ昴を煽るように少年は言う。何か一つ二つ言葉を返してやりたいが、無用な問答は面倒だ。一刻も早く結合を果たしたかった。
「お――おい、もう脱がす、からなッ。ち×ぽ取りだすからなッ……!」
「えー、もう少しムードというものを大事に……おおッ。がっつきますねえ。どんだけち×ぽに飢えてるんですか? くくくっ……」
 嘲笑されても止まらない。頭にブリーフを被ったまま跪き、福弥の制服を脱がす。解放された肉茎にベチンッと頬を叩かれ、前髪を掻きあげられても、屈辱など微塵も感じなかった。
(こ、この角度……チン毛で蒸れまくったオスの匂いがムンムンして、やばい♡ に、匂いだけで、脳みそ、弾ける……ッ♡)
 やはり自制心は利かない。昴は女の花弁を指先でくちくちと弄りつつ、口淫を始めようと舌を伸ばす。まずは幹の部分から味わおう。いや、その前に蒸れた陰毛をしゃぶるのもいいだろうか。きっとどこを舐めても舌が痺れるような味がするだろう。
「あ、待ってください。ち×ぽしゃぶるのはナシです」
「な……ど、どうしてだよ。お前だって、しゃぶってほしいくせに」
「いやいや、だって自分のち×ぽと間接キスとか嫌ですもん」
「ど……どういう意味だ? 間接キスって……?」
「僕とキスをするんですよ。折角、雪永さんの我儘を聞いてセックスしにきてあげたんです。少しくらい、僕のお願いも聞いてくれますよね?」
「なッ――てめぇとキスだと? そんなのできるわけ……あッ」
 福弥が腰を引く。肉棒が離れた瞬間に、昴は猛烈な寂寥感に襲われていた。咥えたい。舐めたい。しゃぶりたい。ハメてほしい。どろりとした牝欲がごぼごぼと噴きあがり、躊躇を呑み攫った。
「わ、判った……キス、するッ。キスするからッ♡ だ、だから、頼むっ♡」
「ふふ、いいですよ。ささ、どうぞ。熱っぽく、ベロチューしてくださいね」
 これがファーストキスだと思うと流石に狼狽する。だが引きさがる選択肢はない。身を起こした昴は少年に身を寄せて、唇を重ねた。
「はむぅ、じゅるぅっ……んむ、んふっ……ちゅっ……ンンぅ……」
 唇がぶにっとした感触を返してくる。舌と舌が触れた刹那、快美感がじわぁと脳芯へ滲んだ。唾液塗れの舌をぬるぬると絡めると、頭の中が甘い官能の霧で覆われて、思考が一気に曖昧模糊としたものに変わっていく。
(あ、あ……♡ あたし、福弥とキスしちまってる……こんなやつと……でも……美味ッ……♡ なんだ、これ♡ 唾……なんでこんなに……っ♡)
「じゅるるぅ、じゅるっ♡ んれろれろっ、はむぅ、ちゅっ、ちゅっ♡」
 理屈も判らぬまま、昴は福弥との接吻へ没頭する。生温くとろみのある唾液は、香りも芳醇で、ごくごくと飲まずにはいられない。
「はぁ、はぁっ……くそ、なんだこれっ……なんでこんなぁ……♡」
「ふふ、どうですか。僕のツバ、美味しいでしょ?」
「う、美味いわけ、ないだろうがッ! てめぇの唾なんて……はぁ、はぁ、まずくて、吐き気しか、しねぇよッ♡ てめぇの臭い息も、汚ぇ唾も……♡ 本当に最悪でっ……んれろぉっ♡」
 言いつつも、根元まで絡めるディープキスをやめられない。腹の底に宛がわれた肉棒も理性を乱す。凶悪な性の熱波で、外側から子宮を炙られているようだ。
 福弥が僅かに腰を引いた。無意識のまま、昴は細い指を肉幹に絡めつかせ、先走りの汁を塗りこむように擦る。牡熱滾るペニスに心臓の弾みが止まらない。胸が痛い。息が苦しい。欲しい。欲しい。欲しい。嗅いで、触れて、すぐ傍で牡を感じるほどに、渇望は強くなっていく。
(く、そ……もう、我慢できねェッ♡ ち×ぽ♡ これ♡ この太いのっ、あたしの奥……ぶ、ぶち込めよッ♡ は、早くしやがれクソがッ♡)
 フーッフーッと呼気を乱しながら、昴は媚びた視線を福弥へ送る。もどかしくてたまらず、昴は涎の橋が架かった唇を動かして言った。
「はぁ、はぁ……お、おい、福弥ッ……! おまっ、お前、判ってンだろうがっ……あ、あたしが何を考えてるか、判ってるくせにッ……は、早くしろっ」
「なんのことです? 雪永さんがどうしたいのか、理解できないなあ」
「~~ッ♡ こ、この鬼畜がッ♡ あ、あたしの中に、挿れるんだよっ。このち×ぽっ、ち×ぽをま×こに、挿れろ馬鹿が……ッ♡ はぁはぁ、約束だろうがっ、早くしろよぉ……♡」
「えー、まあ、いいですけど。でも僕、動きませんからね。仰向けになるんで、跨ってもらっていいですか? あ、そうだ。床に直接転びたくないんで、雪永さんの制服敷いてくださいね」
 それがどれほど屈辱的な提案なのか――牝欲に憑かれた昴は深く考えもしない。制服を埃塗れの床に慌てて敷く。福弥は服を脱ぎ捨てると、少女の制服へ仰向けに転がった。
(う、あ、ああああっ♡ や、やべ、ち×ぽ……ち×ぽっ、ち×ぽッ♡)
 ピーンッと屹立した剛直を前に涎を啜る。熱い蜜液が次々と溢れ、股下で揺れていた。昴は男の股間へと跨り、息を整え、蜜孔で亀頭を迎える。肉杭がぬぷぷぅと花唇を押し拡げると、腰に甘い電撃が奔った。膝がガクッと折れる。「あッ」と思った瞬間にはもう遅い。太く逞しい牡棒が、一息に膣奥を叩いた。
「あひぃいいッ♡」
 蕩けた花芯を貫かれた瞬間、脳芯を愉悦の雷撃が衝いた。昴は首をぐんッと仰け反らせ、唾と一緒に歓喜の咆哮を放つ。迸るオーガズムに合わせて、薄く腹筋を浮かせた腹がぬらぬらと淫猥に波打った。怒涛の勢いで押し寄せる恍惚感に、昴は天を仰がずにはいられなかった。
「いぎゅっ、いぐひぃっ……ひーっ♡ あはひぃ……♡」
「ふふ、感無量って感じですねぇ。僕のち×ぽがそんなに好きなんですか? いやぁ、嬉しいな。可愛くてかっこいい雪永さんに、そんな風に思ってもらえて」
「てめぇのち×ぽが好きなわけ……なぁ、あんッ♡ あっ、馬鹿っ♡ まだ話してる、さいちゅっ、んくひっ♡ 腰、動かすなぁっ、あっ、あんッ♡」
「ふふ、何を言ってるんですか? 僕は動かしてないですよ」
「ふぁ……にゃに、言っへ……?」
 呆然と視線を落とす。少年の言う通り、腰を揺すっているのは昴のほうだった。汗みどろの腹を凹ませ、くねくねと股間で円を描き、恥骨を擦りつけているのだ。
(ほ、本当に、あたしが腰振ってるじゃねぇかっ! だ、だめだ、我慢しろ! これ以上、間抜けな姿を晒すなっ、我慢、我慢ッ……我慢しろ、あたしぃ……ッ)
 奥歯を噛みしめ、唇を結び、懸命に腰を止める。だが身体をピタリと静止させても意味はない。牡棒に吸着した肉襞は、蕩けた粘膜を蠢かせ、幹の側面をねっとりと舐め回す。そんな膣肉の蠕動が下腹部にもどかしい疼きを生むのだ。
 この程度の刺激では我慢できない。もっと奥を捏ねてほしい。襞を捲ってほしい。肉を掻いてほしい。股から滲む欲望に、昴は抗えなかった。
「だ、だめだッ、もう我慢無理ぃ……ッ! ああっ♡ あんっ、あんッ♡」
 こらえきれず、男の腹に手を置いて腰を揺する。亀頭で子宮口をぐりぐりと捏ね潰すと、苦悶と紙一重の重々しい愉悦が込みあげる。股間を上下に振れば、逞しい肉エラの引っ掛かりを思う存分味わえた。亀頭冠を使い、自ら肉襞を内に外に捲り、肉粒をコリコリと転がす。肩甲骨が浮きあがるほどの電流が何度も突き抜け、思考回路を眩くスパークさせた。
「はぁあん、あんっ♡ はぁ、はぁ♡ あっ、あッ……♡」
「ふふ、完璧なアヘ顔ですねぇ。大好きな僕のち×ぽが味わえて幸せでしょ」
「ちょ……調子に乗ってんじゃ、ねぇッ! こんなち×ぽなんて……ああ、ち×ぽなんて♡」
 大嫌いだ――そう口にしたいのに、ペニスを拒絶する言葉が出てこなかった。
 嘘でも言えないのだ。この屹立した肉柱に対し、僅かな嫌悪感も抱けない。亀頭の弾力も、鋼鉄の如き硬度も、二十センチを超える巨大さも、大きく開いた傘の部分も、媚肉が蕩けるような熱量も、凶悪な反り返りも――海綿体を構成するすべてが今、愛おしくてたまらなかった。
「ふふ、素直じゃないなあ。なら、もっと蕩けさせてあげますよ。ほら雪永さん、顔中涎塗れになるような、クッソ下品なベロチューしましょ? ほぅら、んべぇ……」
「あっ……♡ キ、キスもしろって、言うのかよっ。てめぇはほんとッ……はぁはぁ……強欲で品がねェなッ……♡ じゅるるっ、ちゅっ、ちゅっ……♡ この、腐れ変態ッ……♡ スケベ絶倫クソ野郎っ、んれろ、ちゅっ、んふぅっ♡」
 上半身を倒し、女を棄てた蟹股騎乗位で福弥の舌をしゃぶる。肉棒を責めるのと同じ要領で、涎を垂らし、舌をねろねろと絡めて扱く。口腔に溜まった唾をべちゃべちゃと舌で掬うさまは、発情した犬が水を舐めているようだ。
(こ、こんなの、やばすぎッ……学校の物理準備室で、パンツ被って福弥に跨って……ヘコヘコ腰振ってッ♡ 頭おかしいんじゃねぇのかっ♡ あ、ああ、でも、でもぉっ……♡)
 口も腰も止まらない。カエルのようなポーズで媚尻を振って、生の粘膜を擦り合う愉悦を貪ってしまう。跳ねる黒髪から覗く瞳は桃色に染まって、そこに理性の気配はない。媚びた視線を福弥に送りながら、結合部を何度も重ね、卑猥な音を鳴らして淫液を散らす。部屋を満たしていた埃と湿気の匂いは、瞬く間に男女の獣臭で塗り潰されていた。
 筋張った太腿が痙攣を起こし始める。また福弥のペニスでイッてしまう。それは酷く耐えがたい屈辱のはずなのに、今ではもう、その未来が待ち遠しくてたまらなかった。
 ぞわッ、ぞわッと官能の寒気が奔り、全身の産毛が逆立つ。また失禁するのだろうか。失神してしまうのではないか。恐怖さえ抱く昴は、縋るように叫びをあげていた。
「あぁっ、あっ……もう、だめだッ……福弥ッ……あたしぃいッ♡」
「ふふ、いいですよ。僕のち×ぽで遠慮なくイッてください。そらッ、そらそらッ!」
「あぁっ、あんッ♡ あっ、ち×ぽくるッ♡ ひぁああッ♡」
 少年は尻臀を掴み、子宮を捏ねるような律動を繰りだす。昴は乳房を躍らせ、突き抜ける肉の悦びに歓喜した。亀頭がゴリュッと子宮口を潰す。ぷくぅッと膨らんだ肉棒が、最深部で弾けた。
「せーえき、ぐりゅっ……♡ ザー汁浴びてェ……あらひも、いぐぅ……♡」
 唇の両端から涎の泡を噴いて、愉悦を噛みしめるように牝啼きをあげる。子宮に子種が充填されていくたび、脳の中央から快楽物質がドバドバと溢れる。一歩間違えれば廃人になりそうなほどの多幸感が、全身の細胞に染みわたっていった。
「はぁ……はぁ……あ、ああ……はーッ……はぁッ……♡ んれろ、ちゅっ、ちゅっ♡」
 ぜぇぜぇと呼気を乱すなか、少年と視線が交錯した。何も言われていないのに、唇を重ね、躊躇いなく舌をぬちぬちと絡めつかせる。理性は愉悦の波濤に呑まれたまま戻ってこない。だらしなく顔面を緩ませた少女は、ブリーフを被り続けていることも忘れて、上下の粘膜で肉悦を貪っていた。

「ほ……本当だった。凄い……凄いぞ。本当にあの雪永さんが、僕のち×ぽに屈服して……ふ、ふふふふっ、ああ、なんて凄い力なんだ、これはッ!」
 帰宅した福弥は、自室に入った瞬間、我慢できず笑い声をあげる。正直、雪永昴と屋上で会ったときは半信半疑で、昨夜の復讐をされるのではと恐怖していたものだ。しかし淫魔の契約は本物だった。まるで催眠術のように、あの暴力少女がペニスに屈したのだ。
「言っておくが、こんなものは序の口だぞ? 女と交わるほどに淫魔としての力は増していくからな。今のお前が有する力は本来の一割にも満たない程度だ」
「これで一割って……もしも力をつけたら、どうなっちゃうんですか」
「お前のち×ぽを見ただけで、女どもはセックスしてくださいと土下座するようになる。他には感度を弄ったり、淫夢を見せることもできるようになる」
 全裸姿の淫魔はベッドに腰を掛けて淡々と言う。淫魔の言葉は事実なのだろう。現に、昴はただ一度のセックスに及んだだけで、我慢できず自分を求めてきたのだから。
(ああ、凄かったな。キスして騎乗位で腰振って、エロかったな……)
 昴の甘ったるい喘ぎ声が脳裏に蘇る。同級生――それも自分を虐めていた女を蹂躙する悦びを思いだして、福弥の股間は熱く滾り始めた。
「……あの、淫魔さん。よかったらどうです? 今から僕と、ヤりませんか?」
「調子に乗るな。契約を結んだ以上、私はもうお前と交わることはない」
「で、でも、僕が集めた煩力とかっていうの、渡さなくていいんですか」
「性交渉せずとも、私とお前は繋がっている。お前が集めたぶんの煩力は自動で私に送られる仕組みだ。現に私は、少しだが実体化に成功している」
 淫魔は携帯ゲーム機に手を伸ばす。褐色の指先が電源ボタンを押すと、本体が起動した。他の人間からは今、ゲーム機が浮いているように見えるのだろうか。
「お前が外でヘコヘコ腰を振っている間、悠々自適に楽しませてもらう。……ん、なんだその顔は? 不満そうだな」
「い、いや、不満なんて何も! 部屋にあるもの、自由に使ってください」
「当然だ。私が上で、お前が下。下僕は主人にすべてを差しだせ。物も煩力も命も、この先の人生すべて、な。くく、今更後悔しても遅いぞ? 淫魔の誘いにほいほいと乗ったお前が悪い」
 見るからに傲慢な笑みを浮かべ、女はごろりとベッドへ転がる。艶々とした褐色の媚尻を見て、福弥はごくりと喉を鳴らした。
 今、この場で背後から襲えば――そんな邪な感情が頭を掠める。以前までの福弥ならありえない考えだ。しかし恨んでいた女を犯した今、少年は牡としての自信を滾らせていた。性欲は際限なく湧き続け、口調も発想も、少しずつ狂暴性を増し始めている。
(高慢な女め……僕がいなかったら、今ごろ廃校舎から出ることもできず、他人のセックスを眺めるだけだったくせに……ま、まあ、いいさ。このヒトのお陰なのは確かだし……とにかく今は、あの二人を犯し尽くしてやる。後のことは、それからだ)
 明日は一体、どんな一日になるのだろう。天音凛那は学校に来るのだろうか。雪永昴は、今ごろ何をしているのだろう。いいや、決まっている。
 きっと福弥のモノを求めて、必死に自分を慰めているはずだ。その姿を想像して、福弥は余計に腹の底を疼かせるのだった。

(次回更新 2月6日)