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花嫁喰い【三匹の新妻奴隷】 1

第一章 新妻の不安につけこむ鬼畜

 


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「はい、今日はここまで決まれば大丈夫です。本日は長い間、ありがとうございました」
 十数枚に及ぶ書類を整えながら、ウェディングプランナーの石倉勝が打ち合わせの終了を告げたのを、中島結衣はほっとした顔で聞いた。
「ずいぶん遅くなってしまい、申し訳ございません」
「いえ、石倉さんこそ。すごくお忙しいのに、私一人にこんなに時間をいただいて、申し訳ないです」
 石倉が頭を下げるのに応えるように、結衣も慌てて頭を下げる。
 結婚式のために伸ばしはじめた髪の毛が、ハラリと顔の横まで垂れてきた。
 結衣が頭を下げるのにも理由がある。
 石倉勝といえば、テレビCMも流すような結婚情報誌でインタビューを掲載されるほどの、超売れっ子ウェディングプランナーだ。
 東京ベイエリアに勤務する石倉に担当してもらいたいと、北関東から二週間ごと、新幹線で打ち合わせに来るカップルもいるらしい。
 結婚式という、一生に一度の晴れ舞台を最高のものにしたいという夫婦はひっきりなしに訪れ、常時十数組の顧客を抱えているという噂も聞く。
(私……やっぱり、ラッキーだったな)
 五年前に結婚した姉も担当してくれた石倉に、ダメ元で姉を通じてコンタクトを取った結衣は、タイミングよく枠が空いたということで担当してもらえることになった。
「まぁ、結衣なら石倉さんも、枠、空けてくれると思ったわ」
 一度面談したあと、無事石倉に担当してもらえることを報告した時、二人の子宝に恵まれた姉がため息とともに発した謎めいた言葉が気になったものの、誰もがうらやむ幸運にすぐ忘れてしまった。
「中島様もお一人で大変ですね。旦那様が出張続きでは、お疲れでしょう」
「いえいえ、そんなことは……」
 日本人らしく一応謙遜してみせるが、石倉の言うとおりだ。
 学生時代の友人たちが、三十路を目前にして二年ほど前から結婚ラッシュなことに焦り、付き合って八ヶ月ほどの恋人にねだってプロポーズさせた。
 だが、いざ入籍して同居をはじめたら、こんなはずじゃなかったということばかりだった。
 まず、今年に入ってから夫の蒼太が出張ばかりになり、月の半分も家にいない生活になっている。
 新婚生活を楽しむどころか、たまに家に帰ってきてもすぐに次の出張の準備で忙しく、結婚式の準備は結衣がほぼ一人で行っている状態である。
 国内外を移動する生活に疲れ果てた夫は、家でもすぐに眠ってしまい、夜の方もずいぶんご無沙汰だ。
 だが、結衣は性格上、そういった不満をあまり表に出せない。
 だからこそ、蒼太も安心して放置しているのだろうが、二十九歳の熟れた身体は独り寝に耐えきれずに、ほぼ毎晩のように自分で慰めている日々。
 大きくないが、かつての恋人に感度がいいと褒められた乳房を優しく揉みしだき、モデルのようにキュッとくびれた腰を越えた先の泥濘を自らかき混ぜる寂しい生活に、ストレスがだいぶ溜まっていた。
「あ、そうだ。もう日曜日のずいぶん遅い時間ですが……このあと、お時間ございますか?」
「えっ?」
 石倉にサラリと誘うように言われ、驚きとともに警戒心が頭をもたげる。
「あぁ、申し訳ございません。言い方が悪かったですね。二次会をご予定されているお店がちょうどオープンした時間なので、ごらんになるかと思いまして」
 結婚式準備の続きだとすぐに言われて安心するとともに、邪推してしまったことを恥じ入る。
「先日のお打ち合わせでは、準備中で店内が明るかったので、実際に営業している時間にごらんになると、また印象が違いますよ」
「そうですね……では、行ってみます」
 少し考えてみせたものの、蒼太はヨーロッパ出張から帰ったばかりで時差ぼけと疲労に眠りこけている頃だ。
 もう少し遅くなったところで、誰にも迷惑はかけないと、石倉の提案を結衣は承諾した。
 その瞬間、石倉の目が妖しく光ったことに結衣は気づかなかった。
***
「中島様、大丈夫ですか?」
 遠くで石倉の声が聞こえる。
 二次会で貸し切りを予約していることで、スペシャルサービスのドリンクを出されたのだが、それがアルコールが入っているとは思えないくらいなんとも飲みやすく、不覚にも飲みすぎてしまったらしい。
「困りましたね……ひとまず、お部屋にお連れしますね」
 酔いすぎていて、なにを言われているのか結衣の脳みそは理解できる状態にない。
 こんなことは慣れているのか、石倉は酔い潰れて脱力した結衣の身体を軽々と支えながら打ち合わせをしていたホテルのエレベーターに乗りこんだ。
「すみません……すみません……」
 自分では立っていることすらできない状態に、口からは謝罪の言葉が何度も漏れる。
「大丈夫ですよ。旦那様がいつもいらっしゃらず、いろいろと溜まっていらっしゃるのでしょうから」
 耳元でささやかれた言葉だけが妙にリアルに頭の中に響く。
「夜の方もご無沙汰だと先ほど教えていただきました。お辛い中、頑張っていらっしゃいますよ」
「あっ……あぁぁ……」
 普段、にこやかに笑っている結衣は誤解されがちだが、不満を溜めてしまうタイプだ。
 それを石倉はわかってくれる。
 もしかすると夫よりも、石倉の方が親身になってくれるのではないか。
 結婚するのを早まったかもしれないと思うくらい、結衣の中で渦巻いていた不満と、こんな状態で一生、夫と上手くやっていけるのかという不安が、カチッと音を立ててハマった。
「ご夫婦が、最高の結婚式を挙げられ、その後もお幸せに暮らせるように。それが私のモットーです。今晩は、たっぷりとそのご不安とご不満を、解消いただけるよう、おそばに居させていただきますね」
「はい、石倉さん……ありがとう、ございます……」
 結衣はいつしか、優しい石倉の言葉に涙を浮かべていた。
***
「中島様……いえ、結衣さん、とお呼びしてもいいですか? 結衣さんは、本当に頑張っていらっしゃる。でも、不満と不安を溜めこみすぎです。それでは壊れてしまう。今日は、私に、その二つを解消するお手伝いをさせてください」
「あぁ……石倉さん……」
 結衣は催眠術などという非科学的なモノは信じていない。
 だが、石倉の言葉には不思議な説得力があり、酔ってまともに思考が働かないこともあって、すべてを石倉に任せてしまおうという気分になっていた。
「私も結衣さん、とお呼びするので、どうぞ、私のことは勝様と呼んでください」
「はい、勝様」
 どうして自分はさん付けなのに、相手には様付けなのかという疑問は、頭に浮かびもしない。
 勝にそう言われたら、そういうものだとなぜかすんなりと納得してしまう。
「では、結衣さん。最後に旦那さんとキスされたのはいつですか?」
「んっ……た、たぶん……四ヶ月、くらい……前かな?」
 最近では、セックスレスどころか、生活がすれ違いすぎてキスすらもご無沙汰だ。
「そうですか。異性とのハグは、ストレスを三分の一にするくらい、大切なことです。今日は、たっぷりと、溜まったモノを解消して帰ろうな」
 途中から勝の口調が荒々しく変わったことに気づかず、結衣は男に抱き寄せられるまま、おとなしく懐にスレンダーな身体を収められた。
「あぁ、イイ匂いだ。二十九歳だものな。セックスレスじゃ、ずいぶん溜まってるだろ? 自分でしたりしてるのか?」
「いやっ、恥ずかしい……えっと……ま、まぁ……」
 勝に聞かれると、どうしてか逃げられない。
 とはいえ、自分で慰めていることを知られるのは恥ずかしくて、曖昧に答えてお茶を濁そうとする。
「やっぱりな。もったいない。どのくらいの頻度だ? 結衣くらいイイ女なら、毎日しても足りないだろ?」
 イイ女、と言われ、心がざわつく。
 最後に、そんな風に自分のことを夫に褒めてもらったのはいつのことだっただろうか。
「オナニーの時に考えてるのは、相手をしてくれない旦那のことか? それじゃ駄目だ。もっとリアルなシチュエーションの方が、欲求不満は解消されるぞ」
 そういうモノなのだろうか。
 夫の前に付き合っていた元彼も淡泊なタイプだったので、自涜の営みは十年くらい続けているが、ちゃんと毎回気持ちよくなれているはずだ……。
「結衣の結婚生活が充実するように、今日は、朝まで結衣に女の幸せを教えてやるからな」
 くいっと顎を摘ままれて顔を上向きにされると、当たり前のように唇を奪われた。
(だめっ……わ、わたし、人妻、なのに……)
 振りほどかなくてはと焦る心と裏腹に、にゅるっと挿し入れられた軟体動物のような舌で結衣の舌は簡単にからめ捕られる。
(なに、これ……キス、上手い……)
 これまで付き合った恋人たちの誰よりも上手なキスに、結衣の下半身がジュンッと潤み、身体が男を受け入れる態勢になっていくのを知覚した。
「結衣。可愛いな」
(駄目っ、ダメっ、だめぇ……)
 人妻だから、こんなことをしてはいけないと思うのに、身体は結衣の意志に反して勝を受け入れてしまう。
 本当なら、不埒な男を押し返して塞がれた唇を解放するはずの手は、気づくと男の首に回って、自分からキスをねだるように勝の体を引き寄せていた。
(あぁぁ、だめぇ……耳、塞がないでぇ……)
 唇に続いて耳を手で覆われる。
 外の音を一切遮断された状態で、舌を絡ませる濃厚なキスをしていると、にゅるっ、ニチャッといういやらしい音だけが頭蓋骨の内部で反響する。
 世界中の音という音を奪われ、勝と交わすキスの音だけを脳内で反芻していると、脳みそが蕩けて勝への愛おしい気持ちだけが高まっていく。
「ふふっ。結衣。可愛くて、エロエロな顔になってるぞ」
 ようやく唇と耳を解放された時、結衣はあと少しキスされていたらイキそうだと思うほど、発情していた。
 おでこをコツンとくっつけて、結衣のすべてを見透かそうと見つめてくる勝の眼から逃れることはできそうにない。
 それに、男の瞳に映る自分の顔が、これからどれだけ気持ちよくされてしまうのだろうかという期待と、夫のことを忘れて乱れてしまう確信めいた恐怖に彩られているのも見える。
「明日からは、オナニーの時、俺のことしか思い出せない身体にしてやるからな」
 目線を絡ませたまま断言され、結衣はゴクリと唾を飲みこんだ。


「だ、だめぇ……ま、勝……様ぁ……それ、もう、だめぇ……」
「なにがダメなんだ? おっぱいも、オマ×コにも触ってないぞ?」
 アルコールの酔いは、何度か口移しで水を飲まされたことでだいぶマシになっていた。
 だが、それ以上に結衣の身体は、勝の性技によって蕩かされる官能で酔いしれている。
 結婚式の打ち合わせというフォーマルな場にふさわしく、だがカチッとしすぎない程度のカジュアル感も出した服はとっくに剥ぎ取られ、今はブラジャーとショーツだけを身につけた状態だ。
 キャミソールとストッキングを脱がされた段階で、なけなしの理性が反乱を起こし、なんとか勝のキスを振りほどいたのだが、代償は大きかった。
 キスしながら服の上から揉まれ、先端がブラジャーのカップに擦れて疼くほど準備万端な胸も、とっくに濡れていて、少し押されるだけでショーツにシミを作ってしまうだろう股間も放置される。
 その上で、うつ伏せになった結衣に覆いかぶさった勝は、チュッチュとリップ音を響かせながら背中にキスの嵐をみまう。
 それだけではなく、時折、舌で背中をべろりとお尻の方から首の方まで舐めあげられもする。
 勝の言うとおり、胸も、恥ずかしい脚の付け根のところも放置されているというのに、結衣の官能はどうしようもなく蕩けてしまっていて、腰が勝手にうごめいて男を誘う動きを見せる。
 それでも、勝は許してくれない。
「あぅっ、痕ぉ、つけないでぇ……」
 ヂュッと吸い付かれ、軽い痛みが走る。
 かつての恋人に、一度だけ刻まれたキスマークの感触に、結衣の性感がまたドロリと蕩けた。
「まだ、式までは時間があるから大丈夫だろ? 旦那に見られる予定もないしな」
 勝はそううそぶくと、背中のいたるところにキスマークを刻みつけてくる。
 優しさと無関心をはき違えているような夫には、レスが解消しても望むべくもない荒々しい愛撫に、結衣の中に眠るメスが目覚める気配がした。
「いやらしい匂いがしてきたな。もっと気持ちよくなりたいだろ?」
 耳元でささやかれ、ついうなずいてしまいそうになる。
 焦らされるような、背中への愛撫だけでこんなにも蕩けてしまいそうになる愉悦を味わっているのだ。
 直接的な刺激を与えられたら、どうなってしまうのか。
 不安よりも期待が勝る。
 それでも人妻であるという立場が邪魔をして素直にうなずけずにいると、少し強引に、勝の手が身体の下に潜りこんできて、ブラジャーの中にするっと指が侵入する。
 抵抗する暇もなく、本当にあっという間に、ガチガチにしこった両方の乳首を人差し指と中指で摘ままれる。
 そのままキュッとわずかにひねるようにされただけで、結衣の身体は背中をのけ反らせた。
(い、イクッ……)
 だが、結衣の身体を意のままに操る男は、そんな優しくはなかった。
 あと数秒。いや、半秒でも刺激されていたらアクメに上り詰めることができたというのに、ベストなタイミングで指が結衣の身体の下から抜け出る。
 覆いかぶさっていた男の心地よい重みすら失われ、結衣の官能は宙ぶらりんで放置された。
「最後のチャンスだ。もっと気持ちよくなりたければ、自分で仰向けになれ」
 手慣れたようにブラジャーのホックを外しながら命令される。
 結衣はゴクリと唾を呑んだ。
 このまま命令に逆らえば、人妻としての貞操は守られるだろう。
 だが、夫とのセックスレスが解消する見込みもないなか、これからも一人寂しく自涜の営みに耽りながら、終わった後に涙する生活が続く。
 そんなのはもう、我慢できない。
 それに、結衣は知ってしまったのだ。
 自分で触るのでは決して到達できない高みがあり、それを与えてくれる男が身近にいることを。
(無理……ムリよぉ……そんなの、耐えられない)
 人妻だとか、これから結婚式を挙げる新妻、新婦だとかいう立場など、どうでもいい。
「悪いのは、こんなに欲求不満の結衣をほったらかしにする旦那だろ? 結衣は悪くないよ」
(そう。悪いのは私じゃない)
 勝の言葉に流されそうになる自分に、つい罪悪感を抱きそうになる。そのタイミングを見計らったかのように、勝が責任を夫の蒼太に押しつける言葉を投げかけてくれる。
 これで結衣は夫に悪いと思うことなく、むしろ夫が悪いのだと思いながら勝との爛れた快感に溺れられるようになった。
 結衣は、期待にうっとりと顔をほころばせながら、くるりと仰向けに身体を反転させた。
 もう、取りつくろっても無駄なので、ブラジャーを剥がされるのにも協力し、腕を上げて半裸になる。
「は、恥ずかしい……」
 夫にも、かつての恋人たちにも見せたことがないのに、明かりが煌々と照らす中で裸身を勝の眼に触れさせる。
「あんまり、見ないで……小さい、から……」
「そんなことない。綺麗だよ」
 さっきまで、荒々しい言葉遣いだったくせに、こういう時だけ優しい口調で褒めてくれるのはズルいと思う。
 だが、そんなあざとい言葉すらくれない夫との違いに、結衣は舞い上がってしまう。
「結衣の綺麗な身体は、今日から俺のモノだ。誰にも渡さない」
 ブラジャーを腕から抜いた後、結衣が胸を隠せないように腕が頭上で押さえつけられていたせいで、無防備な腋窩に勝が口を寄せる。
「やっ……汗、かいてるからぁ……」
「知ってる。これが結衣の味と匂いなんだね」
 クンクンとわざと鼻を鳴らして匂いを嗅がれ、べろりと舌で腋の下を舐められる。
 そんな愛撫も初めてで、なのに結衣はゾクゾクッと背中を悦びのパルスが駆け抜けていくのを感じた。
「ははっ。才能あるな。初めてだろ? こんなとこ舐められるの」
 実に楽しそうにベロベロと腋の下を舐められ、官能で熱くなった身体を冷やそうと浮かんだ汗と、一日分の匂いを賞味される。
 それが、どうしてか、どうしようもなく気持ちイイ。
 キスマークまでほどこされて、ようやく腋窩への責めは止まるが、今度は裾野から頂まで舌が這い上がっていく。
 乳首は刺激を求めて痛いほど硬くなっているので、結衣も期待に胸を高鳴らせていた。
 だが、薄いピンク色の乳輪の際をくるりと舐めたあと、勝の舌は反対側の乳房に向けて稜線を駆け下りていった。
 反対側でも同じように、乳首には触れてもらえない。
「あぅ、あぁぁっ、ど、どうして?」
 結衣の疑問は無視されて、部屋にむなしく響いた。
「結衣、オマ×コは濡れてるか? 俺とセックスしたいか?」
 眼を覗きこむようにして問われる。
 さすがに、女の身ではその問いかけに素直にうなずけない。
「したいんだろ? いやらしい匂いをプンプンさせて、俺を誘ってるんだろ? 眼をそらすなよ。ショーツが湿ってるじゃないか。素直にならないと、かわいがってやらないぞ?」
 あふれる劣情に太股をモジモジと擦り合わせ、腰をくねらせていた結衣の魅惑のY字地帯に、するっと勝が手を差し入れた。
 きゅっと押しつけるようにショーツに触れられれば、たっぷりと焦らされて濡れたメスの器官からの分泌液で、クロッチにシミができる。
「深く考えすぎだよ。不倫なんて、みんなしてる。結衣のお姉ちゃんだって、イイ声で啼いたぞ?」
 あの真面目な姉も、石倉と関係を持っていたという事実にショックを受ける間もなく、クニュクニュとショーツ越しに媚粘膜を刺激され、結衣の身体が男を求めて理性を裏切る。
 勝が愛撫しやすいように、脚が勝手に開いていってしまうのだ。
 押さえられていた腕が解放され、両手でショーツのサイドゴムに手をかけられる。
 抵抗しなければ、誰にも見せたことのない場所を見られてしまう。
 劣情に蕩け、ケダモノのような衝動のままにヨダレを垂れ流した部分を。
 だが、結衣の身体はまたも理性を裏切った。
 お尻を少し持ち上げ、ショーツを引き下ろしやすいように協力してしまった。
「あぁぁぁっ……見ないで……見ないでぇ……」
 恥ずかしさに顔を両手で覆う。
 だが視界を遮っても、勝の視線がどこを見ているのか、明瞭に自覚できる。
「オナニー好きのわりに、綺麗なオマ×コだな。シャワーしてなくても、イイ匂いだし」
 他人と比べたことなどないので、自分のがどうかなんてわからない。
 だがすべてに手慣れた、女性経験の豊富さをうかがわせる石倉の言葉を疑ういわれもない。
 そんなことをぼぉっと思っていると、勝は一日分の穢れをつけたままの股間に当たり前のように顔を寄せ、舌で舐ってきた。
「やぁ……っ、き、汚い、のにぃ」
「結衣の身体に、汚いところなんてないよ」
 歯の浮くような言葉。だが、アルコールで適度に理性が麻痺している結衣にとっては、夫がくれない愛のささやきに聞こえる。
「いきなり、俺のだとつらいだろうから、たっぷりほぐしてやるよ」
「はぅっ! あっ、あぁんっ、んぁぁぁ……」
 自分でする時に一番気持ちよくなれる硬くしこった部分を丹念に舐めしゃぶられ、同時に優しく指が体内に挿入される。
 身体の内側をじっくり、ねっとりと探るように弄られ、気持ちイイところを暴かれていく。
(やぁぁ……ま、勝様ぁ……上手……)
 自分でするのはおろか、夫やかつての恋人たちからも与えられなかった鮮烈な快感に、腰から下が痺れたように震え、全身を何度も硬直させてアクメを貪った。
「すっごい締め付けだな、結衣。指が食いちぎられそうだ」
 何度も何度も勝の指を圧し潰すように喰い締めるのを、楽しそうにからかわれる。
 だがそれに恥ずかしさを感じる暇もなく、次々に襲ってくる快楽に耽溺した結衣は、次第に喘ぎ声に切迫感をにじませていく。
「はぁぁんっ、だめっ……これ、以上……だめぇ……」
「なんだ、オモラシでもしそうな声を出して」
 どうしてか結衣の状況を正確に掴んだ勝は、だが、責めを緩める気配を見せない。
「だめっ、漏れ……ちゃぅぅ……止め、てぇ」
 恥をさらす恐れに止めて欲しいと懇願するが、勝はいっそう激しく結衣の内部を弄ぶ。
「おっ、ここだな?」
「ひっ! そこ、だめぇ……」
 クリトリスの裏側を集中的に探られていたのだが、ある一点を指の腹で刺激されると、それだけで失禁しそうなほどの甘美感が全身を駆け抜けた。
「ははっ、いいぞ。イッちゃえ。恥をさらすんだよ!」
 抵抗するために動くだけで尿道の出口が崩壊しそうな危機感は、当たり前だがいつまでも我慢できない。
「ひっ! いやぁぁぁっ」
 至近距離から見られているというのに。ついに結衣の堤防は決壊し、すべてを見られてしまった。
「あぁぁぁっ……」
「はははっ。いやぁ、それにしても、結衣。潮、噴きすぎだろ」
 魂が震えるような快感の余韻に浸っていると、勝が楽しそうに、失禁したあとの股間を舐め回した。
 アクメに蕩けた直後の、神経が剥き出しになっているように思えるほど過敏な場所を舐められ、結衣の官能は高止まりしたままだ。
「もう、準備万端だな。いくら俺のチ×ポが欲しくて欲しくて堪らないからって、オマ×コ濡らしすぎだろ」
 もう、結衣が逃げることはないと安心したように上体を起こした勝は、ゆっくりと洋服を脱ぎはじめた。