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ボッチの僕でも、クズのヤリチンになれるってホントですか? 4

「あ、あれ? 鍵がかかってる?」
 部屋から閉め出されたことに気付いたのは、二日目の夕食後、温泉に入り部屋に戻ってきたときだった。オートロックなことを忘れて、軽い気持ちで単独行動したのは、いかにもうかつだった。初日は大丈夫だったからと、油断していたのかもしれない。
 ノブをひねっても、金属製のドアはビクともしない。ノックしてみたけど、室内から反応はなかった。僕が大浴場に行く前、同室の飯田くんたちは何気ない会話で盛り上がっていたはずだ。それから全員出かけてしまったのか、それとも寝てしまったのか、それすら僕にはわからない。スマホと財布さえ、部屋の中に閉じ込められてしまった。
「くそ、どうしよう……」
 悩んでみても、このままノックしても反応がないようなら、僕が取れる選択肢はそう多くない。ひたすら待つか、ロビーに行って旅館の人にスペアキーで開けてもらうか、先生を頼るかだ。――他の部屋の友達に助けを求めるっていう手段は、僕にはもちろん存在しない。
 まだ寝るには早い時間だから、飯田くんたちはどこかに出かけているのだと思う。それで僕は、取りあえず「待つ」という選択肢を選んだ。こういうときはどうしても、もともとの受け身な性格が表に出てきてしまう。
 しかし、そのまま二十分くらい待っても、彼らは戻ってこなかった。
「仕方ないな……。ロビーに行ってみるか」
 諦めた僕が足の向きを変えると、ちょうどそのとき、廊下の向こうを歩いていく浴衣姿の女子の一団がいた。
 その先頭にいた日焼け肌のギャルは、僕の姿に気付くと、ニッコリ笑ってこっちのほうにやってきた。
「あれ~? 瀬戸っちじゃ~ん。どしたん、こんなとこでしょんぼりして」
「あ、黒木さ――……じゃなくて、アイリさん」
 僕が苗字で呼びそうになると、アイリさんは一瞬だけ険しい表情をした。その眼光に怯えた僕が慌てて言い直すと、機嫌を直したアイリさんは、「んふふっ♪」と言うと、僕の腋腹に細い人差し指を伸ばしてきた
「――うわっ!? ちょっ、くすぐったいよ!」
「え~、いーじゃん。ウチと瀬戸っちのナカなんだしさぁ」
「なにしてんのよ、アイリ。そいつにじゃれついてると、ボッチがうつるわよ?」
「ルリナさんも……。ひょっとして、みんなで温泉に行ってたりした?」
「そだよ~♡」
 アイリさんは、相変わらず僕に人差し指を近づけながら、耳元で囁くように言った。それを見て、ルリナさんは腰に手を当て、呆れたようにため息をついた。
「はぁ……アンタ、ルリナにめっちゃ気に入られてんじゃん」
「え? ええ?」
「そうそう、ウチ、瀬戸っちのことだ~い好き♪ だって面白いもん♡」
 そんなことを他人に言われたのは初めてだったから、僕は戸惑った
 アイリさんは、僕の背中にまとわりつくみたいにしている。その距離は異様に近く、僕は、前にいるルリナさんと背後のアイリさんに、身体を挟まれた形になっていた。
 風呂上りの女の子のいい匂いが、僕の嗅覚をめちゃくちゃ刺激してくる。しかも二人とも、かなり胸が大きいうえ、気崩しているせいか、浴衣の袷の部分から谷間が見えそうになっているから大変だ。
「あ、アイリさん、それはヤバいって。ちょ、ちょっと離れてくれないかな」
「え~、ヤダ~」
「うわっ!?」
 アイリさんが後ろから抱き着いてきたせいで、何をかとは具体的に言わないが、非常に柔らかいものが僕の背中に当たっている。心臓がドクドクと跳ね、活性化した血流が、身体の一点に向かって流れ込んでいこうとしている。
 マズい、ヤバい。このままだと、昨日からずっと悶々としていたものが、制御不能になってしまう。ルリナさんに助けを求めようと思っても、当の彼女はニヤニヤと面白そうに、僕が狼狽える様子を眺めている。
 ダメだ。本当にマズいんだって。このままじゃ――
「――ちょ、ちょっと黒木さん、延岡さん、瀬戸君が困ってるよ」
「へ?」
 そのとき、僕に手を差し伸べてくれたのは、ルリナさんでもアイリさんでもなく、彼女たちのあとからついてきていた女子だった。
 清楚で凛とした声に釣られてそちらを見ると、僕らのクラスの委員長――金井純花さんが、困ったように眉をひそめて立っていた。
 入浴時に洗ったからなのだろう。委員長のストレートな長い黒髪は、頭の後ろでアップに結わえられている。姿勢のいいスラっとスレンダーな身体に浴衣がよく似合って、いつもよりさらに清楚な和風美人に見えた。
 真面目な委員長にたしなめられて、僕の背中にのしかかっていたアイリさんは、頬っぺたを膨らませた。
「ぶ~、いいでしょいいんちょ。瀬戸っちは喜んでるよ?」
「い、いや、決して喜んでるわけじゃ――」
「とにかく、こんな廊下で騒いだら、他のお客さんや従業員さんの迷惑になるから」
 そう言いつつ、金井さんが眉を少し吊り上げると、アイリさんはしぶしぶ僕の背中から離れた。僕としては、ホッとしたような残念なような――何はともあれ、ここで性欲を暴走させて醜態をさらす真似をせずに済んだのは助かった。
 金井さんは、呼吸と浴衣を整えている僕の顔を覗き込むと、「大丈夫?」と問いかけてきた。
「う、うん、大丈夫」
「本当に? 顔が真っ赤だけど……」
「本当に大丈夫だから。心配しないで」
 助かったと思ったのは、あくまで一時的な話だ。金井さんの身体からも、ルリナさんたちと負けず劣らずのいい匂いがするせいで、かえってさっきよりも窮地に陥った感じがする。
 髪をアップに結い上げた金井さんが、しっとり湿った横髪をかき上げながら、心配そうに僕の顔を覗き込んでくるなんて、ただでさえ心臓に悪いのに。さらにもう一人の女の子が、僕に追い打ちをかけてきた。
「あっ、もしかして湯あたりかな。わたしお水持ってるから、あげようか?」
 その子の名前は、山尾涼子ちゃんだ。ここにいる四人の中で一番小柄な、ボブカットの女の子。少し髪の色が明るいのは、こう見えて彼女が陸上部のエースだからだ。毎日毎日グラウンドで練習しているせいで、日焼けしてこうなったんだろう。
 涼子ちゃんは、明るく元気な性格の子で、女子陸上界ではちょっとしたアイドルとして扱われている人気者だ。嘘か誠か、ネット上に隠れファンクラブまであるらしい。あと、小柄なのは身長だけで、おっぱいがすごく大きい。
 涼子ちゃんが差し出してくれたペットボトルを、僕はありがたく受け取った。そして、すでに封を切ってあったそのペットボトルの口に、唇をつけて飲み干そうとした。
「でも、わたしの飲みかけだから、なんか申し訳ないけど――」
「――ゴホっ!? ゲホっ!?  ゲホっ!?」
「せ、瀬戸君!?」
 思いっきりむせた僕の背中を、金井さんの手がさすってくる。ルリナさんが、めちゃくちゃ面白そうに笑っているのが、涙目になって滲んだ僕の視界に映っていた。
「うっ、ククっ! なにソレ、他の男子にハブられて閉め出されたって、ウケるんだけど。アンタホントに期待を裏切らないわね」
「瀬戸っちおっかし~♡」
「ちょ、ちょっと延岡さん、黒木さん……。そんな言い方、瀬戸君が傷つくよ……」
 むせ終わって落ち着いた僕が事情を説明すると、彼女たちは、四者四様の反応を返してきた。
「瀬戸くんと同じ部屋の男子って、飯田くんたちだよね? そう言えば、藤沢さんたちの部屋の前で見たかも……」
 そう言ったのは涼子ちゃんだ。
 彼女の目撃情報によれば、やっぱりこの部屋の中は無人ということらしい。道理で何度ノックしても反応がないはずだ。
「そっか……」
 みんなが他の女子部屋に遊びに行ったのなら、しばらく戻ってこないことは確定だろう。あとはもう、フロントでスペアキーを借りるか、先生を呼ぶかしかないわけだ。僕がそう考えていると、ルリナさんが言った。
「じゃあ瀬戸、アタシらの部屋に来たら? 遊んだげるからさ」
「え? あ、うん、ありがとうルリナさん。……え?」
「あ、それめっちゃいいじゃん。さっすがルリナだね~。いこっか、瀬戸っち♡」
「え? アイリさん?」
 ルリナさんが先頭に立ち、アイリさんが、僕の腕に自分の腕を絡めて引き寄せる。
「ええ……男の子を部屋に呼ぶの? それっていいのかな……」
「まあまあ、純花ちゃん。瀬戸くんも困ってるし、ちょっとくらいなら大丈夫でしょ」
 困惑しているのは、僕と委員長の金井さんだけで、涼子ちゃんですらけっこうノリノリだった。
「寂しいアンタに、アタシらが付き合ってやるから、感謝しなさいよ?」
「瀬戸っち、トランプとかする~? それともウノがいい? 他にも色々あるよ~」
「え? え?」
 そんなわけで、いったいどういう運命の力が働いた結果なのか、僕は四人の同級生女子に囲まれる形で、彼女たちの部屋に連れられていった。

「うっそ、またジョーカー!? 信じらんないんだけど!」
「あははっ! ルリナってば弱すぎ~。ほぉら、次は瀬戸っちの番ね~♡」
「う、うん、わかったよ、アイリさん」
「へぇ~、瀬戸くんって、あんまり人と話さないのかと思ってたけど、延岡さんたちと仲よかったんだね。ね、純花ちゃん。純花ちゃん……聞いてる?」
「さっき瀬戸君がダイヤとスペードの3を捨てて、黒木さんがハートとクラブのエースを捨てたから……残ってるのは……――えっ? あっ、ごめんね涼子、捨てられたカードを覚えるのに夢中だったから――」
 事態が急に展開しすぎて、一向に理解が追いつかない。うちの学校で、学年の生徒全員を連れて、夏休み前に挙行された修学旅行の一泊目。暖かい海の近くの温泉宿。浴衣姿の女子たちが集まる和室に、なぜか男は僕一人。敷き詰められた布団の上で、彼女たちとババ抜きをしている。
 こうやって、みんなで楽しくゲームに興じるのは、僕にとっていつぶりの経験だろう。完全に初めてとは言わないけれど、小学校低学年のときに、かくれんぼでみんなに忘れ去られたときくらいから、人と遊ぶってこと自体をしなくなった気がする。
 夜に敷き布団の上に車座になって、ワイワイとカードゲームをする。これこそ、僕がイメージしていた修学旅行そのものじゃないか。
(うっ、ヤバ……っ)
 なんていうか、あまりに感動的で、つい目頭が熱くなってしまった。ババ抜きで泣きそうになるなんて、いくらなんでも情けなすぎる。金井さんや涼子ちゃんが心配するのを誤魔化して、僕は笑顔でゲームを続けた。
「はいはい、負け負け」
 ババ抜きのあと、七並べ、大富豪と一通り楽しんだところで、ルリナさんがカードを投げ出した。
「――ねぇアイリ、アタシもうトランプ飽きたんだけど。てか、なんでこんなガキっぽい遊びしなきゃなんないワケ?」
「え~、負けっぱなしだからって、そんなこと言っちゃう? さっきまで夢中になってたくせにぃ。ルリナってば、顔に出やすいから、カードゲーム弱々だもんね~」
「はぁ?」
「いや~ん♡ こわ~い♡ 瀬戸っち助けて~」
「ちょっ、アイリさんっ!」
「チっ、なにイチャついてんのよ、ウザったい」
 アイリさんが僕の背中に覆いかぶさり、舌打ちしたルリナさんは、忌々しそうに髪を掻き上げる。その瞬間、ルリナさんの浴衣の裾から、彼女の腋と、黒いブラの一部が見えてしまった。
 アイリさんもルリナさんも、ずっとこんな感じだ。距離間がめっちゃ近いというか、無防備というか、浴衣の隙間から、胸の膨らみや下着がチラチラ見えてしまっても、全然気にしている様子がない。ギャルっていうのはそういうものなのだろうか。それとも、単に僕が、彼女たちに男として見られていないだけなのだろうか。
「トランプはもう終わりにして、ウノでもする?」
 そう言ったのは金井さんだ。彼女は布団の上できちんと正座し、浴衣もぴっちり着ていて、さすがっていう感じだった。けど意外と、遊ぶこと自体は全力で楽しむタイプらしく、ギャル二人と僕を相手に、トランプを楽しんでいた。
「ねぇねぇ、喉渇いた人~」
 涼子ちゃんは、冷蔵庫から冷たい飲み物を取り出しながらそう言った。彼女は下着の上に直に浴衣を着ているんじゃなく、タンクトップとスパッツ的なスポーツウェアを身に着けていた。
 女子の園で、男は僕一人。ずっと生温いようないい匂いの空気に包まれているせいか、どんなに平静を装おうとしても、胸のドキドキが止まらない。初めて人とワイワイ遊ぶ感動とあいまって、僕の感情は、自分でもわけがわからない状態になっていた。
「ウノでも人生ゲームでもいいケドさぁ。そもそも、なんか賭けないとつまんないっていうか」
「の、延岡さん、お金を賭けるのは違法だからね?」
「まあまあいいんちょ、硬いこと言わない言わない♪ でもルリナ、賭けるってどうするの? 負けた人が服でも脱いじゃう?」
「――えっ」
 アイリさんの言葉に、僕と金井さんと涼子ちゃんの声が重なった。その瞬間、今まで和気あいあいとしていた部屋の空気が、ガラリと変わった。
 脱衣を賭けてゲームだなんて、いくらなんでもやりすぎだ。――いや、やりすぎだよな? それとも意外に、僕らの年頃にとっては一般的なのか? 比較対象がないから判断が難しい。そう考えた僕が、自分以外の反応をうかがってみると、ルリナさんとアイリさんはともかく、金井さんと涼子ちゃんは、顔を真っ赤にして狼狽えている。
 てことはやっぱり、やりすぎってことだ。僕は、ここにいる四人の女の子が、浴衣を脱いで下着姿になっている想像を頭からかき消して、ルリナさんたちに抗議しようとした。
「い、いや、今のはいくらなんでも――」
「なによ瀬戸、めっちゃキョドってんじゃん。ひょっとして、アタシたちの裸でも想像したワケ?」
「うあ……っ」
 けど、コミュ障の僕よりも、ルリナさんのほうが何枚も上手に決まっている。彼女のからかうような言葉と色っぽい流し目だけで、僕は簡単に固まってしまった。
「……あ、ホントに? ふぅん……♡」
「え……る、ルリナさん、何を……?」
「別にぃ? でも、アンタってそういうの興味ない、草食系かと思ってた」
 ルリナさんは、カードよりも面白いオモチャを見つけた表情で、僕のほうへとにじり寄ってくる。布団に手と膝をついた四つん這いのポーズのせいで、ただでさえ緩かった浴衣の胸元がたるんで、黒いブラどころか、銀色のピアスのついたおヘソまで見えてしまっている。
 舌なめずりでもしそうな表情のルリナさんが、だんだんと僕に近寄ってくる。僕は思わず後ろに下がろうとしたけど、後頭部に、柔らかい枕のようなものがぽふんと当たった。
「……あ、アイリさん?」
「やだぁ♡ 瀬戸っちってばエッチ~♡」
「えっ?」
 僕の後頭部は、アイリさんの二つのたわわの間に吸い込まれていた。羽毛布団の何倍もふかふかで、それでいてしっかり反発力のある感触に頭を包まれ、僕の思考は強制的に停止してしまう。その隙に、アイリさんは僕の胸に手を置くと、意外なほど強い力で固定してきた。
「えっ、あっ」
「瀬戸っち~、ひょっとして、おチン×ンおっきくしてなぁい?」
「なに、瀬戸ってば、もうチ×ポ勃ててんの? ――あ、ホントだ。やっぱ勃起してる。浴衣の前が持ち上がってんじゃん」
「る、る、ルリナさん!?」
 僕は、同級生の浴衣ギャル二人に前後を挟まれて、逃げ道を失っていた。二人が言う通り、僕のペニスは、自制しろという持ち主の命令を聞くのを止めて、ムクムクと大きくなっていた。
 ルリナさんは、しっかりネイルを手入れしたほっそりした指で、勃起途中の僕のペニスを、浴衣越しに「ついっ」と撫で上げた。
「はぉおっ!?」
「うわっ、すっごいビクンってした。マジでウケるんですけど」
 な、なんだこの展開。
 こ、これって普通のことなのか?
 普通じゃないよな?
 どうして僕は、同級生のギャルに、勃起したチ×ポを指で弄られてるんだ?
 ルリナさんは、猫の喉をくすぐるみたいに、ネイルの先端で僕のカリ首をこちょこちょと引っ掻く。それは、僕に決して痛みを感じさせない、絶妙な力加減だった。僕は間抜けな声を上げながら、ルリナさんにされるがままになっていた。
 金井さんと涼子ちゃん――この光景を見ているはずの二人からは、ルリナさんたちを制止するような声は飛んでこない。彼女たちも、意外すぎる展開に固まっているんだろうか。
「なぁに? 瀬戸っちそんなに気持ちよかったの? ひょっとして溜まってる?」
「あっ、アイリさん、やっ、やめて」
「ん~? なにが~?」
 アイリさんはアイリさんで、僕の後頭部に巨乳の谷間を押しつけたまま、背後から僕の乳首を弄り始める。僕のペニスはあっという間にフル勃起状態になり、窮屈なトランクスの生地を引き千切りそうなくらい、ガチガチに反り返っていた。
「うわ……ヤバ……っ、こんなデカいチ×ポ、アタシも初めてかも……」
「うう……」
 今日までただのコンプレックスでしかなかった性器の大きさを指摘されて、僕は顔から火が出る思いだった。
「ねぇ瀬戸、アンタ童貞? ――ま、この反応はそうだよね。ふぅん……」
 ルリナさんが舌なめずりしたように見えたのは、今度こそ気のせいじゃない。
「まぁいっか、アンタには色々笑わせてもらったし――」
 そう言うとルリナさんは、僕の目の前で、浴衣の帯をしゅるしゅると解き始めた。僕はもう、何がなんだかわけがわからなすぎて、抵抗する気力すらなくしていた。はぁはぁと呼吸を乱した状態で、ルリナさんの浴衣がはだけ、白い肌と黒い下着が露出していくのを、黙って見ていただけだ。
 それと、僕の視界の端っこで、金井さんと涼子ちゃんが、なぜか布団に正座しているのが見えた。彼女たちは、顔を真っ赤にしながらも、目を見開いてこの光景を見守っている。
 完全に浴衣をはだけてしまったルリナさんは、彼女にしては優しい微笑みを僕に見せると、僕の頬に、手のひらをそっと這わせた
「瀬戸、これからアタシたちで、もっと楽しいコトしよっか?」
「へ……?」
「アンタの童貞、アタシがもらってあげる♡」
 そう言うと、ルリナさんは、僕の浴衣の帯にも手をかけた。

 

 

(つづきは、電子書籍でお楽しみください)