監禁

著者: 蘭光生

本販売日:2002/06/23

電子版配信日:2008/12/26

本定価:545円(税込)

電子版定価:660円(税込)

ISBN:978-4-8296-1118-0

素っ裸に剥かれ、荒縄が食いこむ白き女肉に、

電流が走り、鞭が飛ぶ!

男たちの悪辣な手管で監禁された女たちにとって、

ここ「秘密クラブ」は地獄そのものだ。

若妻、女教師、令嬢……美女の嗚咽が、悲鳴が、涕泣が、

いつ果てるともなく、今夜も密室にこだまする!

登場人物

まきこ(22歳)女子大生

まきこ(28歳)人妻

あやこ 秘書

れいこ(26歳)女教師

きみこ(18歳)女子学生

本編の一部を立読み

「最初は五十ボルトぐらいにセットしておいてやろうかね、先生」

「やめてください! それだけは……なんでもおっしゃるとおりにいたしますから。電気だけは……」

そう男たちに教えこまれたのか。床にひざまずき、白い両手を合わせる。そんな恩師の姿を見ると、本宮貴美子は悪夢にうなされているような錯覚にとらわれるのだった。ちょっとツンとおすましした感じのある、でも本当はすごく心の暖かい湯川先生。その一挙手一投足が気品に満ち、外人のどんなパーティに出しても決してひけをとらない威厳と美しさを備えた湯川令子先生。その先生が今、丸裸に剥かれた哀れな姿で、しかもおぞましい貞操帯まではめられたまま、ひざまずき、男に許しを乞うている。

「ああ、湯川先生……」

思わず呟くと、全身に羞じらいを滲ませながら、令子は力のない笑みを浮かべて、

「本宮さん、先生、もうこんなに意気地のない女になりさがってしまったの。ごめんなさいね。幻滅なさったでしょう」

「先生!」

「もう、なにもいわないで。でも、あなたにだけはこんな目にあってもらいたくなかったのに……ぎゃっ!」

ふたたび全身を硬直させて令子がのけ反った。

「少し大袈裟すぎるんじゃないか、湯川先生? たかが五十ボルトぐらいでそんなでっかい声だすなんて……」

「男の方にはわからないのです。これがどんなに残酷な苦痛をあたえるものなのか……」

肩を大きく波打たせ、やっとショックから立ち直った令子が恨めしそうな表情を浮かべていった。

「あれほどお願いしましたのに……私、なんでもいうこと、聞きますから、どうかそれだけは……」

「わかった、わかった。じゃ、さっそくだが、その十字架のお嬢さんの服を脱がしてやってくれ。先生ばかりが裸じゃあ生徒も照れくさいだろう」

「はい、わかりました。どこから脱がしましょうか」

「ほう、また愁嘆場を演じるのかと思ったらやけに素直じゃないか。生徒さんのほうでびっくりしているぜ。先生だけが唯一の味方だと思っていたのによ」

「私はあなたの奴隷ですわ。奴隷というより家畜……家畜には人情も同情もありませんもの」

「じゃあ、スカートから脱がしてもらおうか」

「はい。これ、テニスウェアの時はふつう、スコートと呼んでおりますのよ」

「ほう、そいつは知らなかった。スコートとはまたキザな発音じゃねえか。いかにも軽井沢族の連中が考えだしそうな呼び名だな。じゃ、そのスコートとやらを脱がしな」

「はい」

すっくと立ちあがった令子が、まるで魂のないロボットのように、無表情な顔つきで近づいてくるのを見ると、本宮貴美子は悲鳴をあげた。

「やめてっ! 先生、しっかりしてください! 私、本宮ですのよ、S女学園の。気でも狂ったんですか」

台の上の貴美子のスコートの縁に令子の指先が触れた。

「いやっ! いやよ、先生! ひどいわ、触らないで! おねがいだから、もとの湯川先生にもどってちょうだい!」

「狂ってなんかいないわ。狂ってくれたほうが私にもどんなにありがたいことか……でも駄目。ごめんなさい、本宮さん。あなたも電気ショックの味を一度でも体験したら、今の私の気持、少しは理解してもらえると思うけど……」

純白のスコートのホックがはずされ、ファスナーを指先がつまんだ。

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