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今月の放言

エロはこっそりがいい。 でも一人の時は大胆に、公の時は小心者で。 みうらじゅん

直筆短冊

おのれの究極のエロを求めてエロスクラップを作り続ける男、みうらじゅん。その活動領域は21世紀へ向けてますます広がりを見せる。彼の性に対するその姿は真摯であり、そしてアブノーマルでもある。自らのエロの起源を赤裸々に語った180分。ためらいのない性社会に向けて、ラブ&アブノーマルなメッセージがここにある。

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プロフィール みうらじゅん

本名:三浦純 1958年2月1日京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。大学在学中に月刊マンガ誌『ガロ』でデビュー。現在漫画家、エッセイスト、イラスト、ロックなど幅広く活躍中。人生哲学からお笑い、下ネタ系まで内容も多岐にわたる。また造語「マイブーム」が97年流行語大賞を受賞。自身のマイブームを世に広めている。著書として「アイデン&ティティ」「マイブームの魂」「カリフォルニアの青いバカ」「青春ノイローゼ」「ボク宝」、いとうせいこうとの共著「見仏記」シリーズなど多数。

第1章 男だったら買わなきゃだめ

この前ね、事務所に16万もするダッチワイフ買ったんだよ。棺桶みたいなダンボールに入っていてね、いつでも会うことができる愛人。ポルシェとか高級車乗ってる人は多いと思うけど、高級ダッチワイフに乗ってるヤツはそういないんじゃないかなぁーと思って。

愛人のようにかこっているダッチワイフにも問題が一つあって、上つきだからバックができない。しょうがないから、うつ伏せにしてイメージを膨らませてから、急いで上に乗るというプレイ。バカにされがちなグッズだけど、意外といいんだ。締め具合がすごくいい。ユルくなったら、その部分を替えればいい。ゴムみたいなヌチャッとしたやつだから、吸い付いてくるっていうのかなあ、スライムみたいな感じ。ダッチワイフとヤル時は当然、全裸。そうでなきゃねえ。アナルもいいけどモラルも大切にしないと。

でも、その体はシリコンでできているから、いつかボロボロになる日が来るんですよ。形あるものはいつか壊れるって、お釈迦様の教えだから。たまに思うんだよね、それを粗大ゴミで捨てる時はどうすればいいのかなぁ…って。やっぱりそれ、殺人と同じなんだろうね。バラバラにして捨てようと思うもん、やっぱ。俺、車の運転できないけど、できたらやっぱ山林に捨てるね。好きだったものだけに穴を大切に掘って埋めるんだろうな。

まぁこれは、いいとしてホントにダッチワイフ買った方がいいよ。i-Macなんか買うよりいいよ。何がいいかって、まず電気くわないもん。男は成人したら買わなきゃだめ。んでダッチワイフともヤって、彼女ともヤる。というのが最も健康的な男の生き方だと思うけどね。

エロはこっそりがいい。 でも一人の時は大胆に、公の時は小心者で。 みうらじゅん01