音楽・小説・エッセイと異才な表現で知られる大槻ケンヂ。彼が語る幼き日の性の目覚め、「顔面崩壊フェチ」という特異な性癖、青春の罪の数々は無限に広がる妄想の世界の可能性を感じさせる。ソロセックスリスト・大槻ケンヂが放つ理性と狂気の綱渡りを見よ。
俺の性の目覚めは4歳の時に見ていたウルトラセブン。甲胄を着たボ-グ星人にウルトラセブンがのしかかられて、苦悶している姿を見た時に性的な興奮を覚えた。今、考えるとウルトラセブンって厭らしいんですよ。赤いエナメルのボンデ-ジな衣装でやたら縛り付けられたりするのね。一番すごいのはガッツ星人の時。十字架に張り付けにされるんですよ。あれは厭らしかった。
ウルトラセブンってアイスラッガ-がないとすごい間抜けじゃないですか。あれは羞恥プレイそのもの。最終回でもパンドンっていう怪獣にアイスラッガ-を取られたのでウルトラセブンは拾おうとするんだけど、その手をパンドンが踏むんですよ。恥ずかしい坊主頭で苦悶しているその姿を見て、俺は性的に興奮してたなあ。でも何故かウルトラマンには性的興奮を覚えなかった。ただ俺みたいな人も結構いるらしく、ウルトラマンで目覚めた人もいるみたいだね。ウルトラマンの中に入っている男の汗にまみれている体を想像して性に目覚めて、結局ホモになったというエッセイを読んだことがあるな。
あと、ウィンダムっていうカプセル怪獣。あれは下僕ですよね。「ウィンダム行け!!」って命令するとウィンダムはこの世に初めて登場するわけですよ。でもすぐにやられてしまい、「ウィンダム戻れ!!」と言う。それを見て、SMに目覚めた人もいますよ。あれは厭らしい関係だと思うな。
俺の前の世代の人達は江戸川乱歩の小説で目覚めたというじゃないですか。俺等からは変身・ヒ-ロ-もので性に目覚めているのが多いですね。今の世代は「ときメモ」とかのゲ-ムで目覚めるんじゃないかな。性の目覚めというものは不思議で、畳にこぼれたお茶の表面がきらきら光るのを見て目覚めたという人とか、子鹿のバンビを想像した瞬間に射精してしまった人とか、いろいろあって面白いね。