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今月の放言

オナニーは本当に無限なんだな 大槻ケンヂ

直筆短冊

音楽・小説・エッセイと異才な表現で知られる大槻ケンヂ。彼が語る幼き日の性の目覚め、「顔面崩壊フェチ」という特異な性癖、青春の罪の数々は無限に広がる妄想の世界の可能性を感じさせる。ソロセックスリスト・大槻ケンヂが放つ理性と狂気の綱渡りを見よ。

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プロフィール 大槻ケンヂ

1966年2月6日東京都生まれ。1982年、「筋肉少女帯」を結成(ヴォ-カル)。1988年、LP「仏陀L」にてメジャ-デビュ-。1999年、「筋肉少女帯」を脱退。また、SF小説の賞である星雲賞を2年連続授賞するなど作家としても才能を発揮。2000年、「特撮」の活動を開始。2月23日には待望のファ-ストアルバム「爆誕」が発売される。

第4章 顔面崩壊フェチ

俺も自分なりに官能小説を書いたことがありますよ。今は女の人を凌辱する話が多いみたいだけど、僕は女の人に苛められる男の話を読んでみたい。苛められているけど、基本的に和姦がいいんですよ。双方が了解の上で、縛ったりする和姦SM。これはもう堪らない。だから今日いただいた岡部誓さんの「魔少女早緒梨・弄ばれる女教師と高校生」はすごく楽しみ。すっごいかわいい女子高生が女教師と生徒の二人を奴隷にする話みたいだけど、またカァ-ッとくるんだろうな。俺もいつかは官能小説にチャレンジしてみたい気持ちもあるんだけど、たぶんオナニ-になっちゃうんだろうな。でもいつか挑戦させてください。

そういえば最近、フェチものが多いんでしょ。フェチの点で言えば、僕は「顔面崩壊フェチ」。特にきれいな女の人が鼻をぐっと押し上げられていたりとか口をがぁっと広げられていたり、グニュグニュされているのを見ると興奮するんです。これ本当に世の中にいるんですよ。あるフェチもののビデオで「顔面ハンタ-」ってあるんです。それはとにかく女の人の顔をいじりまくる。裸とかじゃなくてただそれだけなの。それをフェチビデオ屋で発見した時、「俺のために作ったんだ」と思って買ったんですが…、このいじられている女の子がブサイクなんだな。元から顔面が崩壊している人がグニュグニュされても嬉しくないなと。

この性癖に俺が気付いたのはエイリアンの映画。アンドロイドのビショップにシガニ-・ウイ-バ-が丸めた雑誌を口に突っ込まれているシ-ンがあったんですよ。それを見た時は中学生だったけど、脳から下半身に何かが降りたんですよ。それ以来かな、顔面崩壊フェチは。

その後にね、ある番組でYOUちゃんと篠原涼子ちゃんが罰ゲ-ムをしていた。鼻フックをかけられて、何かあるごとに鼻がどんどん上がっていくやつ。それを見た時に俺は、鬼のように興奮したんですよ。ビデオを録っていなかったのであるエッセイで「誰かビデオを持っていないか」と書いたら、すぐに送られてきましたね。どうやらその送ってくれた彼もそういうマニアだったみたいで、俺だけじゃないんだと気付きました。ただ問題なのが、実際にセックスする時に女の人になかなか言えないんだよなあ。

俺、小説でそういう世界を書いたことがあるんですよ。15~17歳までの少女が世界的に突然、死んじゃう。それが生き返ってみんなゾンビになってしまうという話。一応、世紀末ホラ-小説の体裁をとっていながら、単なる僕の趣味なんです。それぐらいの年の女の子を無茶苦茶にしてヤリたいという望みが俺にあったんですよ。だから俺の都合良くするわけ。縛り上げて、猿轡を噛ませたりとか。実は某SFの賞の候補にもなったんですけど、本当は俺の顔面崩壊フェチを満たしただけなんです。

その頃は女の人としゃべることもできなかったから、女の人は神聖なものと考えていた。もう一つはエロの対象。つまり聖と性の両極端。その中間である人間としての女性が考えられなかったから、聖の女の人を性の女の人にどうやって引きずり降ろすかというシチュエ-ションばかり考えていた。それが現在の顔面崩壊フェチに繋がっているのかもしれない。もし俺がスティ-ブン・スピルバ-グだったら、何十億もかけてスタ-ウォ-ズなんか作りませんよ。俺だったらきれいな女優さんを世界中から集めて、いろんなシチュエ-ションで女優の顔をカァ-ッといじりますね。70mmのドルビ-サラウンドでそんな映画を作りたいな。

自分でも変だとは思いながら、逆に人間というものは誰でもそういうフェチを持っていると思ってしまう。俺はたまたまそういうフェチを持っていると自分で納得しているんです。ブルマフェチから顔面崩壊フェチに変わったように、これからもどんどん変わっていくんだろうな。俺の根本にある美しさを崩したいという欲望のままに。

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