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今月の放言

頭の中はいつもソドムの市 ROLLY

直筆短冊

ミュージシャンでありながらも、あらゆるメディアに進出を図る妖艶な表現者、ROLLY。女性の神聖な美しさを追い求め、一方では変態的なまでに下着への執着をみせる。その対極的な観念の深層にあるものを我々に羞恥心を抱きながらも語ってくれた。エロという底無し沼に陥ったROLLY。彼は永遠にその世界を彷徨い続ける。

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プロフィール ROLLY

9月6日京都生まれ。1982年、「すかんち」結成。1990年CBSソニ-(現ソニ-レコ-ド)よりデビュ-。バンド活動の傍ら、「笑っていいとも」レギュラ-や多数のCMに出演。そのエンタ-ティナ-ぶりで注目を集める。1996年に「SCANCH」解散。ROLLYとしてソロ活動を始める。現在、昨年秋より公演されている復刻版「THE ROCKY HORROR SHOW」の主演を務めるなど精力的に活動中。

第1章 性の目覚めはサイケデリック

性の目覚めは3歳の頃に初めてブラジャーとパンティーを着けたことが始まり。僕の家は女系家族だったもので、お風呂に入るのもずっと一緒だったんです。子供の時からマリリン・モンローとかマレーネ・デートリッヒなど外国の女優さんに憧れてね。初めて納屋で女性の下着を着けて、鏡の前でポーズをとったんですよ。その時のことは本当に憶えている。すごく驚いたことを。

今までの自分の日常ときたら「バブー」とか「ねんねんころりよ~」だったんですね。でも割合、感受性が目覚めるのは早く、3歳の頃には音楽が人間の感情に与える可能性をもう分かっていた。子供はみんな知っているのかもしれないが、子守唄がどういう感覚になるのかを知っていた。夕方5時になると赤とんぼの曲が流れるのですが、それを聞くとすっごい寂しくなる。そして夜9時になると「ねんねんころりよ~」が流れ、またすっごい寂しくなる。「なんでこんなに寂しくなるのかなあー」とその頃思っていたことをはっきり憶えてますね。そして自分がこの世に生まれてきたことを呪ったね。母親の子宮の中、その前は父親のたんぱく質の一部、その頃は幸せでしたよ。何にも考えてなかったから。しかし受精してしまい、この世に生まれてしまったことを本当に呪った。「なんで生まれてきたんだろうか」と。

そういう日常生活の中にいて、初めて女装をした時に、周りの空気がウルトラQみたいにギュウ~ゥとなった。当時は1967~68年ですから、最もサイケデリックブームなわけですよ。ウルトラ・ナチュラルボーン・サイコキネシス・サイケデリックブームにのった子供だったんですね。その頃はラブ&ピースのウッド・ストックですから、アメリカで「サンフランシスコ万歳!!」と言ってた頃に、僕はパンティーを着けて、ギュウ~ゥとなったわけ。「何だこれは!!なんという快感、なんという恍惚感!!」生まれてきた罪の意識と快感が混ざり合った極上の空間。着けてはいけないという意識とマリリン・モンローみたいなブロンドのハリウッド女優になれたという気分が入り交じったんだね。

その頃は大人が言うところの女体をどうこうしたいとか思っていないわけですよ。かといって単なるホモ行為でもない。何で3歳からそんな感覚があったのか自分でも分からないが、空気が歪んだのは本当に覚えている。でもそれを婆やに見つかり、家中に知られてしまいました。

僕はこっぴどく怒られ、しばらくこのコスプレを封印したんです。でもずっと姉貴からは「あの時のことをばらされたくなければ、○○をしろ」と言われ続けていた。4つ上の姉貴はいじめのセンスが抜群だったんですよ。それが僕にとってずっとトラウマになっていた。

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