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今月の放言

恥ずかしければいいんです。 喜国雅彦

直筆短冊

フランス書院文庫ヘビ-ユ-ザ-であり、恥ずかしげもなく脚フェチ・マゾであることを公言する喜国雅彦。ミクロな脚世界に広大な宇宙を発見し、想像上の理想のお姉様に辱められることで至福の時を得る彼。果たして脳内射精は肉体的な快楽を越えるのか。

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プロフィール 喜国雅彦

1958年香川県高松市生まれ。マンガ家。多摩美術大学卒。1981年「ふぉ-てぃん(集英社ヤングジャンプ)」にてデビュ-。主な作品に「傷だらけの天使たち」「いつも心に太陽を!」「日本一の男の魂」など。昨年「月光の囁き」が映画化され話題に。

第2章 お姉さんはいい香り

僕は脚フェチだけど、ミステリ-好きが殺人を犯してないように現実の世界には持ち込んでいません。脚フェチはあくまで想像上の娯楽。フェチといってもいろいろあって現実の匂いが好きな人がいれば、そうでない人もいます。匂いはとても重要な要素だけど、現実の匂いとは限りません。お姉さんの匂いはいい香り、汗もおしっこもいい香りといったあくまでも想像の中だけの匂いが好きなんです。小説でもフレグランスとかパヒュ-ムとか表現されているでしょ。だから一般的に好まれるお風呂上がりの匂いに興味はないです。マゾ、フェチものの小説の場合、お風呂に行くのは放尿するときだけ(笑)。

脚フェチに目覚める前は普通にアダルトビデオとか見ていたけど、この世界を知ってからはもうビデオに興味がなくなってしまいました。今でこそフェチもののビデオがたくさん出ているけど、やっぱり小説を読んで想像を膨らませた方がいいですね。1万人の中から自分好みの女を選ぶのならともかく、ビデオはそうじゃないでしょ。例え好みの女性だとしてもその人の感じた顔が嫌だとか、僕のようにM的な奴だと何されても感じないで欲しい、つまり何をされても男を馬鹿にした気高い顔であってほしいと思うわけですよ。その点、小説は完全に自分好みに想像できるからいいんです。官能小説を読み始めた頃は「お姉さんが教えてあげる」がこの世で一番美しい言葉だなと思ってました。「教えてくれよ!!」ってね。今思うと映画「青い体験」の存在がすごく大きい。アンジェラが初めて僕にお姉さんの良さを教えてくれたんじゃないでしょうか。

きれいな脚のお姉さんが目の前でずっと下半身を見せてくれるだけで僕は大満足。もちろんパンツなんか脱がなくていい。その点でいうと櫻木さんの小説は感性が自分と全く一緒。ストッキングの描写も一番です。彼の小説はどんどんヤラなくなっていくけど、ヤラなくていいんです。少年マンガやおっさんエロマンガでは未だにでっかいチ○コで「どうだ-!!」ってヤッてるけど、あれは単なる動物。

僕はチ○コを使った肉体的なセックスより頭の中で想像してエッチな気持ちになる方がいいです。バイアグラが発売された時、すごい話題だったじゃないですか。でも僕は「別にチ○コ要らないじゃん。挿入しなくてもいいじゃん。チ○コさえあればセックスは楽しいのか?」って疑問を抱いてました。射精したいという欲求はあまり僕にはないので、とにかく恥ずかしくなればそれでいいんです。

恥ずかしければいいんです。 喜国雅彦03
恥ずかしければいいんです。 喜国雅彦04