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今月の放言

恥ずかしければいいんです。 喜国雅彦

直筆短冊

フランス書院文庫ヘビ-ユ-ザ-であり、恥ずかしげもなく脚フェチ・マゾであることを公言する喜国雅彦。ミクロな脚世界に広大な宇宙を発見し、想像上の理想のお姉様に辱められることで至福の時を得る彼。果たして脳内射精は肉体的な快楽を越えるのか。

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プロフィール 喜国雅彦

1958年香川県高松市生まれ。マンガ家。多摩美術大学卒。1981年「ふぉ-てぃん(集英社ヤングジャンプ)」にてデビュ-。主な作品に「傷だらけの天使たち」「いつも心に太陽を!」「日本一の男の魂」など。昨年「月光の囁き」が映画化され話題に。

第3章 舐めているだけで気持ちいい

初めてオナニ-したのは小学校5年の時。当時、少年キングに「カバゴンの性教育入門」という性の相談コ-ナ-がありました。「おちんちんを触ると気持ちいいんですけど、触ってはいけないんでしょうか?」という質問を見て「おちんちんって触ったら気持ちいいんだぁ」と初めて気づきました。それで触っていたら本当に気持ちが良くなって…。まだ小学生なので精子はもちろん出なかったけど、初めてタバコを吸った時のようにクラッと気絶するようなイクっていう感覚はありました。

そのうちエッチなことを考えながらするともっと気持ちいいことを知ったんです。クラスの女の子のパンチラを思い出しながらオナニ-をしていて、初めて射精したのは中学1年生。中学生の時のズリネタはなんでもいいんですよ。隙あればオナニ-していたから。よくあるじゃない、国語辞典のエッチな単語を見ただけでも充分興奮したとか。僕は家にあった介護のしかたの本で、女の人がレオタ-ドを着て寝ているやつ。「床擦れしないようにお尻にド-ナツ状の枕みたいなものを置きましょう」という説明の写真で無茶苦茶興奮してましたね。「トイレは患者が恥ずかしがらないように尿瓶をこうやって差し出しましょう」で「うわ-っ!!」って興奮。寝ている女の人と尿瓶の写真があるだけで、イメ-ジは宇宙まで広がっていきましたから。

セックスをしたのは20歳と遅かった。当時付き合っていた女性としたんだけど、初体験をするという行為に感動はしたけど、セックスそのものは別になんとも思わなかった。オナニ-でさえこんなに気持ちいいから、セックスはこの100倍は気持ちいいだろうと想像していたのに実際は「えっ、こんなものなの」と思った。付き合っている女性とはそれなりにセックスしてきたけど、猿のようにはしませんでした。僕自身、前戯は好きだけどセックス自体はどうでもいい。脚を舐めたりする方が好きなんです。フェラチオも好きだけど、舐める方と舐められる方のどちらか選べと言われたら、やっぱり舐める方を選んでしまう。ここではっきり意見が別れるんですよ。男気系の人達は「舐められる方に決まってんだろ」と言うけど、僕のような少数派は舐めているだけで気持ちいい。

僕は肉体的に気持ちよくならなくていい、興奮したいだけ。フェラチオのように舐められるのは気持ちいいけど、それはオナニ-すれば済むこと。オナニ-で舐められていることを想像すればいい。だけど舐めることは実際の相手がいないとできない。自分の腕を女性のアソコだと思って舐めることはできないでしょ。

恥ずかしければいいんです。 喜国雅彦05
恥ずかしければいいんです。 喜国雅彦06