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今月の放言

やっぱり私、Sなのかなぁ 森園みるく

直筆短冊

官能的魅力を表現し続けるレディースコミック界の第一人者、森園みるく。初めての女性放言者である彼女が自ら“体験至上主義”と言明するように、これまであらゆる性に対する積極的なアプローチを重ねてきた。人並み外れた好奇心を持つ森園みるくの飽くなき探求は更に加熱していく。

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プロフィール 森園みるく

本名、溝口比呂子。1981年、小学館別冊少女コミック新人コミック大賞入選しデビュー。1987年、レディースコミックを手掛け始める。作品として「モンロー伝説」「DRAG」「ヴィオレッタ」「BODY Shooting」「天使の誘惑」など他多数。

第3章 毛好き、外人好き

フェチは本当に細分化されていますよね。私に関していえば、体毛が薄い人がダメなんですよ。セクシーさを感じない。だから、昔は外人が好きで好きでたまんなくて、いつも追っかけていたんですね。

外人は、胸元から溢れるぐらい毛が濃いですよね。だけど、リカちゃん人形の髪みたいに毛は柔らかいのよ。ふわふわっとしていて、気持ちいいんですよ。

毛は毛で好きだったんですけど、実はそれ以上に白人モデル系の美形が好きだったんです。その時、付き合っていたのは私より十歳ぐらい下の男。そもそも外人が年の差をあまり気にしないんですよ。日本人が気にしすぎるみたいですね。

外人はセックスまでの持っていき方があまりにも違うんで、びっくりしたんですよね。「これが外人かぁ」って。日本語でいったらすごくクサイセリフも、英語だと素直に受け入れられる。すごくレディーファーストだし、ムードの作り方がすごく上手いんですよね。スキンシップをすごく大切にして、部屋の照明なんかも、蛍光灯を消してろうそくを点けるみたいにね。生まれついてのものなんですかね。たぶん、外人には“女を口説く”遺伝子が組み込まれているんじゃないですか。また、その外人の彼はSMちっくなことが好きでしたね。いきなりハサミで下着を切っちゃって、ゾクゾクしたりとか。

基本的に私はSでもMでもないんですよ。最初はMかなと思って、Sの男と付き合っていたんですけど、けっこうヒドい目にあってね。やっぱ合わないやと思ってやめました。縛られると痛いし。

じゃあ今度は、苛めるほうにまわってみようかなと思って、某ホテルのスウィートルームを貸しきってやるSMパーティに潜入したりとかしたんです。一応、取材として行くんですけど、そこは女王様もやらせてくれるんですよ。来ているのは医師、弁護士、いわゆる社長系のオヤジ。そこで、いろいろやったんだけどSもそんなに楽しくないなと。初対面でいきなりプレーに没入できないんです。どこかでその行為を冷めた目で見ている自分がいたんですよ。

SMは精神的なプレーなので、お互いの信頼関係がないとちゃんとしたプレーができない。SがMを引き出すようにいろいろやるんですけど、Mがバカだとどうしようもない。頭がよくて、想像力が豊かじゃないとSMはできないんですよ、本来はね。見よう見まねで若いカップルがやっていますけど、あれはSMではなく、単なる真似事。本人が楽しければ別にいいんですけど…。

本当に好きな人たちはプレーのレベルが全然違う。カギを握るのはやはりMなんですよ。でも女王様がバカでもダメ。私の知っている女王様は本質的にSなんですけど、Mの気持ちも分かるためにちゃんとMもやって勉強している。すごく真面目な人だなあって思いましたね。女王様ってなぜか文芸少女が多いんですよね。渋谷とかのヤマンバ系はいないですね。どっちかっていえば知的な、昔だったら根暗な感じ。想像力が豊かじゃないとできないから。

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