格闘技とエロをこよなく愛する二人の男、浅草キッド。活字により性に目覚めた彼らは男として、芸人として飽くなき探求を続けていた。日常の当たり前の風景にある小道具を自慰行為の必殺技として使い、またある体験により性のネクストレベルへの到達も果たしていた。エロを喋り倒す浅草キッドここに在り。
水道橋博士(以下水道)「僕のエロの目覚めは、ビジュアルじゃなくて活字。五木寛之の『青春の門』でオナニーの存在を知って、洋モノでは『我が秘密の生涯』。これらが兄貴の部屋にあってね。兄貴の部屋に忍び込んで、いない間に毎日5、6ページずつ3ヶ月かけて読破したことがあります。その頃僕は絶対、性的犯罪者になると思っていたね。」
玉袋筋太郎(以下玉袋)「なんか性の目覚めは全部、兄貴のじゃないですか
水道「当時、写真とか絵といったビジュアル的なものもあったんだけど、そんなにエロチックな興奮はこなかったね。強烈にヌクという感じはやっぱり活字の方があった。フランス書院との出会いもね、大阪でラジオの収録があって毎週、行ってた頃。キオスクで見かけて買って、大阪までの3時間ぐらい妄想をするっていうのが習慣だったな。舘淳一さんの本は新幹線でよく読んだよ。」
玉袋「俺、それ知らなかったんですよ。いつも3時間ずっと勃ちっぱなしだったって。何の小説読んでるんだろう、すごく読書家だなあと思ってたんだよな。でも、それって最高の趣味ですよね。なんで、俺に教えてくれなかったかなあ。世界の車窓にフランス書院文庫は必須ですよ。
俺はおやじが持ってた週刊誌の官能小説を読んで、カチカチになっていた記憶がありますね。小さい頃って、エロ写真見ても妄想が形成できないじゃないですか。それよりは活字で物語を教わって、エロ写真のほうに転写する。そういうほうが興奮したんですよ。」
水道「僕は精通しないころから、オナニーしてましたからね。昔、家にマッサージ器があったんですよ。部分マッサージができるやつ。それをね、ふとチ○コにあてがった時に得も言われぬ快感がはしったんです。なんだろうこれは!?…怖い、怖いと思っているうちに意識が飛んでいた。
それから何日か後、兄貴の部屋からビィ~ンって聞こえてきてね。すごい背徳的なことをしているんだっていう罪の意識ばかり強かったから、その音は僕にとってものすごい悪魔の叫び声に聞こえたんですよ。でも、快感を知っているから兄貴がいない時に俺も部屋にいってビィ~ンって。あんまりこれをしていたら、兄弟揃って地獄に落ちるって思ったから、僕は配線のコードを切ったんです。兄弟がこれ以上地獄に落ちないようにって。
そしたら次の日もビィ~ンって音がした。兄貴はちゃんと直して使っていたんですよ。でも、俺にしてみればこれは本格的に危ないと思ってね。だからある日、お互いのためを思って庭に埋めたんですよ。
でもまた次の日、ビィ~ンって。ますます怖くなって、兄貴の部屋に行ったら泥だらけになって薄汚れたマッサージ器があったんですよ。どうやって兄貴が見つけたのか分からないけど、すごくびっくりしたね。」