スタイリッシュな作風で汗の匂いがしそうなほど生々しい性を表現するマンガ家、山本直樹。彼が紡ぎ出すのは過激かつ静寂な世界。そう、それは男なら誰もが夢想する憧れのエロ世界。フランス書院との関係も深い山本直樹がマンガという表現に求めるものは一体何か?真実の彼がここに暴かれる。
フランス書院文庫のシチュエーションに媚薬・薬物ってありますが、僕もマンガでよく使うんです。いわゆる俗っぽい言い方をすれば、「気持ちは拒んでも、体は拒んでねえ」っていうのはすごくいい。すごく真面目でしっかりした女の子なのにヌレヌレみたいなさ、そういうギャップがエッチですよね。
「早くヤリましょう」「オォー!!」みたいなのは健康的すぎてダメ。だから、フェロモン系の女はエッチの対象にはあんまりならないですね。女優でいえば、藤原紀香タイプはダメです。どちらかというと一緒に酒を飲んで管を巻きたいタイプ。むしろちょっと性格が悪そうな葉月里緒菜がいいかな。現実であんな人を彼女にしたら大変そうだけど、フィクションの世界ではああいうタイプがいいですよね。ちょっと壊れた感じがいい。彼女はいわゆるオヤジ殺しなのかな。
例えば藤原紀香と葉月里緒菜が裸で並んでいたら、僕は間違いなく後者。藤原紀香とヤるのはなんかプロレスみたいになりそう。葉月里緒菜の気だるくて元気のなさそうなところがいい。頭が良くて、自分より一枚上手みたいな女性が好きだからかな。ロリ好みな時もあったけど、総体的にはやっぱり自分より頭のいい女性が好き。「自分じゃかなわないな」と思う女性に片想いしちゃう。だから救いようがないんですけどね、かなわないから(笑)。
この前ある女性誌でSMの特集をしていたじゃないですか。もうSMっていうのは特殊なことではなく、日常化してきたのは事実ですよね。他人を支配する、他人に支配されるっていうのはそこら中で常に起こっていることですから。強姦・凌辱みたいなものが小説やマンガで描かれているのは他人を支配したいという欲望なんでしょう。現実ではできないから。
フランス書院文庫にもレイプものはたくさんありますよね。レイプって相手を支配しているように見えるけど、本当は違うんです。自分だけじゃなく、相手も気持ちよくならなきゃ本当に支配したことにはならないんですよ。現実にはありえないんだろうけど、フィクションで表現されるとスケベなんだよね。
パターンとして「無理矢理ヤられたのに感じちゃった」ってあるじゃないですか。これだけを見ればすごくバカバカしいんだけど、これに手を加え、仕掛けをして納得できるフィクションで描かれるとそれはすごいなと思う。相手の気持ちまで支配するのは現実世界ではなかなか難しいからね。だからそういうのはフィクションでやるしかないんですよ。心も体も完全に支配したいという欲望を人間は持っているからね。