レディースコミックを中心に女性の性の代弁者として多忙な毎日を送る、さかもと未明。飽くなき性の追求者である彼女は、幼き日の自分を皮切りに男女の愛のベクトルの違い、そして現在の経済状況を性的見解から述べるなど幅広く自らの理論を展開してくれた。
女にとってセックスとはお金が強く結び付いてくるの。金持ち男にいろいろ貢がせて、その上めちゃくちゃ気持ちよくさせてもらうって女なら誰もが持つ理想よ。だから叶姉妹がウケているのよ(笑)。
二人の男がいて、同じぐらいいい男だったら絶対に金持ちの方を選ぶに決まっているじゃない。女はそうやって上手く男に媚びて騙して転がして、自分のステータスを高めていくのよ。そして子供によりよい環境と強い遺伝子を与えようとする。でも強い女や性的に奔放な女はあんまりモテないのよね。男が理想とする女ってやっぱり令嬢タイプでしょ。特に日本においてその傾向が強い気がする。
これはね、実は男ってコンプレックスが強いから「この女はオレより弱い」と思えないと欲情できないし、安心してその女のために死んでいけないからだと思う。自分の子を孕んだ女のために死ぬなら英雄だけど、別の男の子を孕んだ女のために死んだら道化だもんね。
私は昔から「ヴァンプ」な女に憧れていて、奔放に生きてても尚くみしだこうとする強い男、レット・バトラーみたいな男がいたらいいのにと思ってた。でも、良く見るとスカーレットなんて性的にもぜんぜん奔放じゃなくて、どっちかっつーと不感症タイプのはねっかりよね(笑)。典型的な令嬢なのよ。レットは親しかった売春婦には決して恋しなかったわけで、つまり万国共通に男は令嬢タイプが好きなのよ。これは今まで言ってきた男と女の宿命の違いに起因するのよね。だから最近、私も「もっともっと」なんて言わず、「おやめになって」と言える女にならなくちゃと思っているの。本当にしたたかな女は令嬢タイプよ。「ヤリたい」って言っちゃった正直な女は自分の値段を下げてるおバカさんなの。
男は一生懸命に働いて、お金と権力を得ていい女を囲う。これは武将の時代から変わっていないこと。でも、そういう男って必ずしも良妻を持っているわけじゃないの。むしろほとんどが悪妻持ち。ただし令嬢タイプのね(笑)。家で虐げられている反動をバネにして、一生懸命働いてお金をかせいで、そしていい女を囲うことに精を出しているの。これが高度成長を支えたオヤジイズムの原動力ね。逆をいえば、いい妻を持っている男は出世しないわ。家庭という小さな社会で満足してしまうから外に対してのエネルギーが涌いてこないのよ。
昔の農耕時代は良妻でも良かったのよ。だって、決められた畑を耕して年貢を納めることだけ考えれば良かったから。多分、当時の男は今ほど働かなかったわ。そして女も奔放だったんじゃないかしら。わざわざ性的に奥手なフリをしなくても多産さをアピールできれば、モテたにちがいないから。でも現在のような競争社会になると、男は働かなくてはならない状況になった。そうしないといい女を召しとることができないんだもの。そして女は令嬢タイプが流行る。経済社会とエロスはリンクしてるってわけよね。
ところで、今の若い男の子は高貴な女を召しとろうという気力を欠いているんじゃないかしら。昔は「トップアイドルとヤリてえー」と思っていたけど、「藤原紀香とヤリてえー」と思う男の子って今はあんまりいないんじゃないかな。手の届かない高嶺の花より身近な隣のお姉さんにいってしまう。すごくコンビニ的というか、小さな地域社会で満足しているところがあるんじゃないかしら。
それはもはや経済成長が求められない社会の中、大出世が望めない時代の中で恋愛もデフレになってるってことなんだと思うの。でも、不況だからって自分の人生まで不況にすることはないわ。豊かなハートで豊かな恋(エロス)を演出しようって男が増えれば、自然に経済は成長すると思うわ。私はすんごく欲張りの高度成長型の油オヤジが大好きなの。