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今月の放言

セクシャルファンタジーの共有こそが最高のエロス ロバート・ハリス

直筆短冊

ラジオのナビゲーターや作家として多方面で活躍中のロバート・ハリス。SM好きと公言する彼のエロティシズムに対する関心も人一倍。そんな彼が甘美な声で自らのセクシャル・ファンタジーを赤裸々に語ってくれた。

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プロフィール ロバート・ハリス

1948年横浜生まれ。上智大学卒業後、'71年日本を後にし、東南アジアを放浪。バリ島に1年間滞在後、オーストラリアに渡り延べ16年間滞在。シドニーでブックショップ「エグザイルス」を経営。帰国後FMジャパン(J-WAVE)のナビゲーターや、作家としても活躍中。著作に『エグザイルス(講談社)』『エグザイルス・ギャング(東京書籍)』 『ワイルドサイドを歩け(講談社)』『地図の無い国から(幻冬舎)』。

第3章 セクシャル・ファンタジーの解放

僕ね、みんながどれだけセックスが強いかすごく興味があるんだよね。自慢じゃないけど、俺は普通の人より3倍か4倍ぐらい強いと思うよ。

大学生の時、宇都宮の予備校に英語を教えに行っていたのね。当時、風俗奇譚とかSM小説を読んでいたから、朝、電車でそれらを読みながら通っていたのね。そしたら、英語を教えながらもずっとそのファンタジーが活動して、体がすごく熱いの!!エクスタシーに入りながら教えてるんだよね。これが夜まで続いてすごく困ったね(笑)。だけど、これを解消しちゃおうと思わないでずっと浸っていたいなと思っちゃうわけ。ファンタジーが一週間も続いたことがあったぐらい。

でも、このファンタジーは相手がいた一時期を除くと、ほとんどが想像の世界なわけじゃない。普通の女性と普通のセックスをするのは好きだけど、イク時はそのファンタジーが働くわけ。「オナニーと同じだな」と思うけど、俺は悪いとは思わない。正常なセックスってないからね。今に生きるセックスってあるけどさ、何回も同じ相手とヤっているとね…。互いに自分のファンタジーに耽っている人は多いんじゃないかな。

だけど、これにも一時期葛藤があってさ。「これって健全なセックスじゃないのかな」って思ってたけど、健全なセックスなんてないからね。そういったファンタジーをお互いに持ってて、それが合ってプレーできるとなったら、最高だよね。でもね、残念だけどそれでも持続しないと思うんだ。やっぱり自分のファンタジーが一番強いから。

本に書いたけどハディアという女性と何ヶ月も付き合っているのに、セックスだけは上手くいかなかったのね。なぜなら、彼女も僕も自分の中に深くあった性的なものを解放しなければならなかったから。

それができたのは、彼女が「今日は私の言うままにしてね」と言ったある日のこと。彼女は「僕を叩きたい」って言いだしたのね。終わった後、「こういうファンタジーをずっと持っていたの?」って聞いたら、彼女は「ブラジルにいた頃から、若い男の子をずっと苛めていた。それがすごくエロティックでしょうがないんだけど、大人になったら女性はそういうことをしちゃいけないと思って封印してきた」と言ってた。

自分を解放して、二人が入るとすごいよ。今まで見たことがないような熱を帯びた狂った目をしているわけ。これはコリーダの世界に入ってるなと思ったね(笑)。それこそが完全なエロスの世界。これに触れないと生きている価値はないとその時思ったのね。健全なセックスをしてハッピーだったなと思うのもいいんだけど、やっぱりその奥深くにある燃えるような、とろけるようなものだと思うんだよね。それを誰かと共有することが最高のエロスだと思う。

それからのハディアとの一年はもう死んでもいいやと思うことが何回もあった。だって、僕はすごくヘビースモーカーなんだけど、タバコをやめることができたんだもの。「あなた、タバコやめなさい」「できない」って言ったら、「じゃあ、私が1週間性の世界へ連れていってあげる」って言われてね。1週間ずっとバリ島でベッドに縛られたまま、ほとんど何も食べないで過ごしてさ。気がついたらタバコなんかいらなくなっていた。ほんと、セックスばっかりしてたね。

セクシャルファンタジーの共有こそが最高のエロス ロバート・ハリス05
セクシャルファンタジーの共有こそが最高のエロス ロバート・ハリス06