ラジオのナビゲーターや作家として多方面で活躍中のロバート・ハリス。SM好きと公言する彼のエロティシズムに対する関心も人一倍。そんな彼が甘美な声で自らのセクシャル・ファンタジーを赤裸々に語ってくれた。
男って初めて女性とベッドインするときは緊張するんじゃないかな。最初は僕、本当はセックスしたくないんだよ。キスしたり、触ったりして終わっちゃえばいいと思ってしまう。僕は前戯だけで何時間も過ごすほうが楽しいんだよ。今までのラブラブムードが急に格闘ムードになるとつまらなくなっちゃうんだよね。
男として一番楽しいのは女性の家に初めて行く時のあの気持ち。まさにエドモンド・ヒラリーがエベレストを初めて見たようなあの感じ。キッチンを見て、バスルームを開けると女性の匂い、一人一人違うじゃない。まずそれが素晴らしいなと思うわけ。僕はただベッドの上でヤルだけじゃなく、セックスに至るまでの過程にすごくエロティシズムを感じる。同じように女性もそういうセッティングにすごくエロティシズムを感じる生き物だと思うよ。ロウソクに火を点けて、お風呂に花びらを浮かべたりさ、そういうゲームがすごく好きなんだよ。これを男も楽しめるようになれば、もっとセックスは楽しいものになるんじゃないかと思うんだよね。
だから、雑誌とかでどういう体位がいいとかあるけど、ああいう書き方するのは全部間違っていると思うの。その場の雰囲気にいかに順応し、相手の心をいかに読めるか、二人で分からないものを作っていくのがエロティックで楽しいものだと思うんだ。ちょっとどっか触って感じたら、「この人はここが感じるんだ」と探していくのが楽しいわけ。マニュアル的に全部ヤっちゃったらつまらないと思うんだ。
で、けっこうセックスした後の話が好きでさ。ワインを飲みながらいろんな話をして、またエッチをしちゃったりね。一緒に汗をかいたわけだから、一番親密な時間じゃん。そこからまたセックスをするまでが楽しいんだよ。たぶん僕はね、いつも恋を求めているんだと思う。遊んでいるのも楽しいけど、いつかどこかで恋に落ちるのを望んでいるんだよね。落ちちゃうと、もう燃え尽きるまでその女性だけになっちゃう。だから、どんなに僕がSMを好きでも、セックスが冷たいSの女性は嫌いなのね。つまり、信頼関係がない冷たさがある人ね。次の朝、何もなかったかのように帰っていく女性っていうのはダメなんだよ。
昔、香港の女性とセックスした時に次の3つだけ守ってくれって言ったことがあるんだよ。「明日、朝飯を一緒に食ってくれ」「何もなかったように帰るな」「また会ってくれ」と。この3つだけは好きな女性には守って欲しい。そうじゃないと味気ないんだよ。香港の女性は同じ東洋人だけど、ロンドンに6年ぐらい暮していたこともあってか、かなりウェストナイズされていたから、はっきりした意見を持っているし強かった。日本みたいに最初から受け身という役割を見せつけなかったね。
海外に住んでいた時、僕が女性に対して一番感じたのは日本って男が誘うのは大変。例えば、一晩中一緒にいるのに女性はサインを見せてくれない。向こうなら「今晩は楽しかったから、あなたと寝たい」って言ってくれるわけ。それにすごい開放感を感じたね。「男は苦労しなくてもいいのか」って思ったし。向こうで僕の女性関係は半分ぐらい女性からの誘いだったね。僕は少しずつ少しずつ誘惑するっていうのがイヤなのね。はっきり言っちゃうか、止めるかどっちかにしたいんだよね。もちろん、言うタイミングは考えるけど(笑)。だから日本もそういう平等な社会になってほしいと思うよ。