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今月の放言

セックスは情報収集 リリー・フランキー

直筆短冊

イラストレーター、コラムニスト、写真家などその活動が常に注目を浴びているリリー・フランキー。鋭い人間観察を基にした個性的な意見は、我々のリビドーの励みになり、時には我々の言葉が詰まりそうな真実を暴き出す。現在の不透明な男女関係を解決しうる彼の声を聞け。

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プロフィール リリー・フランキー

イラストレーター。日本美女選別家協会会長。ヤングジャイアンツ監督。構成作家、写真家など多方面で活躍中。著作に『美女と野球(河出書房新社)』『女子の生きざま(新潮文庫)』『誰も知らない名言集(情報センター出版局)』 『日本のみなさんさようなら(情報センター出版局)』。

第1章 クンニは情報の海

オレ、鳥目なんですよ。それを知ったのはけっこう遅くて、暗いところでみんなが見えているっていうのは知らなかった。人間は一つの感覚が欠落すると他の感覚が冴えるじゃないですか。オレも鳥目な分だけ嗅覚と触覚が冴えてるから、基本は“舐め”なんですよ。好きな映画の話をどんだけ話すより、一回クンニした方がいい。クンニは情報の海だと思っているから(笑)。

ヘアヌード写真集って最初は盛り上がっていたけど、今はそうでもないですよね。なんでかっていうと、マン毛にはあんまり情報がないから。濃いとか薄いだけで大きな差はないし、オレの感覚でいうと、マン毛の匂いに種類はないんですよ。

それよりも情報が豊富なのは乳輪、乳頭、そしてマ○コですよ。例えば、「この子、こんな味か…」が大切であって、くさかろうがくさくなかろうが問題じゃない。情報収集っていうのは、やっぱり口に入れて、匂いを嗅いでみないと。匂いを探し、触って肌質を覚えていく。そうすれば絶対その人を忘れないもん。いわゆる肌が合うってこういうことなんじゃないですか。その人の匂いを知ることがセックスをする意味ですよね。

匂いがきついのは嫌いじゃないけど、どっちかつーと微香性の方がいい。無いよりもある方がいいんだけど、強いのはダメ。オレ、マ○コの匂いを10円玉特有の赤サビの臭いで例えてるんだけど、150円以上はもうダメ。意外と弱い(笑)。一回でも10円玉をベロッと舐めて嗅ぐと分かりますよ。けっこうきついですよ、10円玉って。

平均はいくらかって?そうだねー、平均は10円だと思っていいんじゃない。でも、セックスをしている時に変わってくるからね。風呂に入ってクンニしている時は10円なんだけど、挿入している最中にクンニしたいなと思う時ってあるじゃないですか。その時は「ここ、40円になっているな」ともう分かっているわけですよね。それをしたいと思うのは相手に対して愛情がないとできない。

愛とか恋とか抽象的なことって絶対に態度にでて初めてわかると思う。つまりセックスする相手にクンニができるかどうかで愛情が計れる。クンニしたい人っていうのはかなり好きなんですよ。その人の魂は別にして肉体が好きだからなんですね。「もうすでにかなり高くなってるよ」という時にクンニするっていうのはかなり好きな証拠。だからクンニしている時に「オレ、けっこうこの人を好きなんだな」って冷静に確認することがありますよ。自分で行動した時に自分の気持ちを確かめている。たまに男でも「クンニがイヤだ」っていうヤツもいるけど、その人は不幸だと思うね。

セックスは情報収集 リリー・フランキー01
セックスは情報収集 リリー・フランキー02