イラストレーター、コラムニスト、写真家などその活動が常に注目を浴びているリリー・フランキー。鋭い人間観察を基にした個性的な意見は、我々のリビドーの励みになり、時には我々の言葉が詰まりそうな真実を暴き出す。現在の不透明な男女関係を解決しうる彼の声を聞け。
いわゆるフェチズムってオレはないけど、強いていうなら下着かな。仕事で裸の写真を撮っていて、あがりを見ると素っ裸より下着を着けている女の写真が多いんですよね。全裸になってしまうとあまりにも情報がなさすぎるんですよ。
かといって服を着ていると情報がありすぎる。「この女、こういう紐パン着けているんだな」って情報を絞り込むのがいい。下着はスタイリストが用意したものじゃなくて、基本的に私物。自分が好きで買った下着を用意してもらっている。そうすると撮る方もテンションが上がりますよ。
意外だけど、ファインダーを通して見るとチンコが勃たない。余裕がないのかもしれないけど、「こういう風に撮ったほうがかわいいな」とか考えている。アシスタントで来て、傍観している方がチンコ勃ってますよね。たぶん、セックスしている人同士よりも穴から覗いている人の方がチンコ勃つんじゃないですか。セックスしている現場の人間はいろいろ忙しいしね。覗いている側の人間はチンコ勃てるだけしか仕事ないですもん。
写真は、オレの中に眠っている理想をどう形にしてくれるかが問題。だから写真でも、女の醜さを暴くような写真は嫌。でも、女が好きなのはそういう写真なんですよ。アラーキー派と篠山派があったら、オレは絶対に篠山派ですね。
だって、篠山さんの写真は嘘でしょ。リアルなのはどっちかというと、アラーキーさんなんだけど、オレにとってリアルなんかどうでもいい。篠山さんの嘘っぽいドラマが好きなんですよ。そっちの方がロマンチックだもん。だから好きなアイドルがいたら、篠山さんに撮ってほしい。篠山さんのフィルターを通して、自分で酔えばいいだけ。そのアイドルがどういう生き方をして、どんな生活をしているかなんて全然興味ないし、知りたくもない。
オレが書いた本の書評とかを見ると、「これだけ女性に対して理想を持っていない人も珍しい」とあるけど、絶対逆ですよ。女性に対して高い理想があるから、中庸なものは切って捨てたいんですよ。日本美女選別家協会にしても、常に美人はこの世にいない。むしろ、いないからいい。でも、もしかしたらいるかもというところに夢があっていい。面白いポルノ小説を読んでいると、興奮するというより「分かってるな」って頷くもん。『五大レイプ! 無限地獄』『姦の学舎 卒業レイプ』(海堂剛著)とか凌辱系に惹かれて読んだけど、ただサイコじゃダメなんですよ。この本のように甘酸っぱいものがないとね。