一覧に戻る

今月の放言

読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽

直筆短冊

類いまれな音楽・ビジュアルセンスで世界に影響を与えてきた小西康陽。仕事柄、海外へ行く機会が多い彼の機内の必需品は、なんとフランス書院文庫だった。官能小説のヘビーユーザー小西康陽が、自らの美意識に基づきその魅力を語ってくれた。

profileName

プロフィール 小西康陽

1959年2月3日生まれ。札幌出身。85年、ピチカート・ファイヴとしてデビュー。バンドのリーダーとして、作詞・作曲・編曲・プロデュースを担当。94年にはアルバム『MADE in USA』がローリング・ストーン誌のオルタナティブ・チャートで1位を獲得。バンドを解散した現在も数々のアーティストのプロデュースやリミックス、DJとして活躍中。

第2章 女性上位時代

初めて性を意識したのは小学生ですかね。テレビを観てて、植木等さんが出てて、女性がストリップショウをやってた。それを見てたら、「あれっ!?」って感じですかね。たぶん、それが最初だと思うな。公開録画のテレビバラエティで、セクシーな女性が出てきて、扉の向こうから脱いだと思える服を見せていた。もちろん、全然何も見せてくれないんですよ。でも、すっごい興奮した。

僕のお父さんもけっこう好きな人で、昔の加賀まりこさんを撮った写真集とか持ってたな。最近、その写真集をもらいました。うちは物持ちがいい家系なので、ちゃんと保存されてたんです。

当時はフリーセックスとかっていう言葉が出てきた頃で、スウェーデンっていう言葉だけでなんかこう、いい感じだったよね。とにかくスウェーデンってフリーセックスの国っていうイメージが異常に強かった。『私は好奇心の強い女』('67 スウェーデン)っていう映画もありましたよね。素晴らしいタイトルだっと思ったね。

あと、ピチカート・ファイヴの曲名にもなっている『女性上位時代』('68 イタリア)っていう映画があるんですけど、これがすごい好きだったんですよ。最近やってないけど、昼間に奥様テレビ劇場みたいなノリで映画を放送してましたよね。それで観たんですよ。強烈な印象があるな。

カトリーヌ・スパークが若くして未亡人になっちゃって、自分の満たされない願望を遍歴していくっていう。それで最後はお医者さんのジャン=ルイ・トランティニャンが彼女の心理を解放してあげる…、そんな映画でした。すっごいくだらない映画ですけどね。でも、大好き。

はっきり覚えているシーンは、とあるお金持ちの家にカトリーヌ・スパークが招かれるんだけど、イタリアだからすっごいオシャレな独身貴族みたいな感じなんですよ。しかも、その家の床は全部鏡ばりになってるんですよ。68年の映画だから、当然カトリーヌ・スパークはミニスカートなんです。そこで彼女が思わずパッと床を覗きこむシーンがあるんですけど、ここは印象に残ってるなあ。

読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽02
読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽03
読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽04