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今月の放言

読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽

直筆短冊

類いまれな音楽・ビジュアルセンスで世界に影響を与えてきた小西康陽。仕事柄、海外へ行く機会が多い彼の機内の必需品は、なんとフランス書院文庫だった。官能小説のヘビーユーザー小西康陽が、自らの美意識に基づきその魅力を語ってくれた。

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プロフィール 小西康陽

1959年2月3日生まれ。札幌出身。85年、ピチカート・ファイヴとしてデビュー。バンドのリーダーとして、作詞・作曲・編曲・プロデュースを担当。94年にはアルバム『MADE in USA』がローリング・ストーン誌のオルタナティブ・チャートで1位を獲得。バンドを解散した現在も数々のアーティストのプロデュースやリミックス、DJとして活躍中。

第4章 フランス書院もVOGUEも同じファンタジー

ヘルムート・ニュートンの写真って完全にポルノですよね。でも、ヴォーグとかハーパース・バザーなど高級なファッション誌に当たり前のように使われてるわけでしょう。そういうファッション・フォトグラフィってポルノと紙一重なわけで、月並みなポルノ雑誌を見るよりは機能的な場合がありますよ。

昨年のフランス書院文庫の「男の夢がつまってます」っていうキャッチコピーは素晴らしいと思ったんですよ。あれほどズバリ言い当ててるものはないと。だってね、ヴォーグとかの世界にしてもああいう極端な衣装でドレスアップした若い女性なんているはずがないじゃないですか。完全にファンタジーでしょ。そういう意味でフランス書院もヴォーグも同じファンタジーなんですよ。しかもフランス書院はファンタジーの完成度がすっごい高いのが多いんじゃないかな。だからこそ、装丁をもうちょっと頑張ってほしいんです。

僕が思う理想の官能小説は、読めば読むほど「主人公はほんとうにキレイな女性なんだな」って思えてくる小説かな。去年読んだやつで、最高なのがあった。でもちょっと作品名がわからないんですけど…。それ、言えばわかります?ええーと、美人の雑誌の編集者が主人公で、シリーズ化されて2冊あるやつ。

えっ、『美畜!恥辱の奴隷勤務』(綺羅光著 '95刊)と『美畜!地獄の招待状』(綺羅光著 '96刊)っていうんですか。そうそう、美畜だ。その本はめちゃめちゃ好きだった。読めば読むほど、主人公の女性はキレイな人なんだろうなって思えてくるんですよ。あれはシリーズ化してほしいとさえ思った。え?これも綺羅さんの作品ですか(笑)。ほぉー、同じ人だったんだぁ。名前、覚えとこう。

この本はね、最初に買ったのはたぶん下巻だったんですよ。フランス書院文庫を空港以外の本屋で買うことってめったにないんですけど、思わず近くの本屋に買いに行ったもん。どうしても上巻が読みたくって(笑)。ダメですね、作家の名前ぐらいちゃんと覚えておかないと。読み返したいときに読めない。

ずっと考えてたんだけど、やっぱり僕はSMとか凌辱小説が好きなんでしょうね。しかも、自分は綺羅光さんファン。改めて実感しました。今日、この取材で分散していた自分の情報がキレイにまとまった感じがして、感動モードはいってますよ(笑)。

読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽08
読むなら、ずばり凌辱系でしょう 小西康陽09
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