にっかつロマンポルノの女王、風祭ゆき。細身の肉体からは想像しがたいほどの大胆な演技は、多くの男性を魅了し、幾度となく劇場へ足を運ばせた。そんな彼女は大きな美しい瞳を輝かせながら、今だから言える当時の思い出を語ってくれた。
ロマンポルノのタイトルをつけるのに、みなさん、苦労していたみたいですね。だけど中には、まあ、よくも内容と全然違ったものをつけるなあっていうのもありましたけど(笑)。
わたしが出た作品はけっこうタイトルが地味だったんですけど、「でも、文芸調でいっか」と思ってね。フランス書院さんの本を見てると、『姉と女教師』(綺羅光著 '01刊)とか『人妻三姉妹』(海堂剛著 '01刊)などありますけど、私もロマンポルノではそういう役をけっこうやっていたんですよ。映画で演じただけですけど、なんか親近感ありますね。
わたし、昔っから堅いタイプに見えるらしいんですよね。衣装合わせでもプリーツスカートでスーツを着ると、「なんか学校の先生になっちゃうな」ってよく言われました。近眼なので眼鏡をかけるとなおさらそう見えるみたい。
犯される役が多かったのでそういう立場の方の心理が分かりそうなんですよ。だから、わたしが官能小説を書くとしたら、やっぱりレイプものかな。
本物のレイプではないですけど、撮影中には背中が痛いとか擦りむいたりして、擬似的にも犯される気持ちは経験しているわけじゃないですか。やっぱり演技でも相手が憎くなったりしますしね。ある方に「あいつはツンツンしてた」って言われたことがあるんですけど、私は威張ってたわけでも、ツンツンしてたわけでもないんです。そんなつもり、全くなかったんですよ。
でも、その時、私はそういう役だったから、あんまりベタベタ仲良くしなかったんですね。それで暴行シーンとかやったりすると、本当に相手を憎らしく思ったりする時もあるんです。最後に二人で抱き合ったりとか愛のあるシーンがない限り、役の関係がそのまま人間関係に続いたりするんですね。だから、「やだな、なんだコイツ」っていう意識で終わっちゃったのかもしれない。
そういう意味で疑似体験をしてるから、書けそうな気がしますね。もちろん、女性の立場からです。
ほら、よく「嫌だ、嫌だ」って言いながらだんだん良くなるっていうのがあるじゃないですか。「それはないでしょ」って思いますけど、その反面、それがきっかけになって、ふざけてレイプごっこするのが快感になる可能性もあるのかなって。今はまだよく分からないですけど、突き詰めてみたいなって思っています。研究の余地ありですね。