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今月の放言

わたしは永遠のお姉さん!? 風祭ゆき

直筆短冊

にっかつロマンポルノの女王、風祭ゆき。細身の肉体からは想像しがたいほどの大胆な演技は、多くの男性を魅了し、幾度となく劇場へ足を運ばせた。そんな彼女は大きな美しい瞳を輝かせながら、今だから言える当時の思い出を語ってくれた。

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プロフィール 風祭ゆき

東京都生まれ。武蔵野音楽短期大学卒業。1974年、映画『竹山ひとり旅』でデビュー。その後、にっかつ映画で活躍。最近はドラマや映画など存在感のある個性派女優として活躍中。主な出演作品として『赤い通り雨』『セーラー服と機関銃』『愛の陽炎』『天と地と』『マンホール』『ドラッグ』など。

第3章 色気、なかったんです

『夫の眼の前で、今…』をこの前改めて観たんですけど、「やっぱりすごいなあ」ってつくづく思いました。だって、「腿を痙攣させろ」って言われたんですよ。

その頃はまだ経験も浅いし、そんな事ありうるのかさえ分からなかった。「大人の情事だから、そこまで表現しろ」って前もって言われていたんです。当日になって「引きつるってどういうこと?腿なんて痙攣しないよ」とか思いながら頑張りましたね。

それだけ当時はディテールにこだわって作っていたし、腿だけ見せて想像させるというようにお客さんをどう興奮させるかという表現を追求していたんですね。

カメラを引いたり、寄ったり、足の指とか反った背中を見せたりね。背中にしてもただ反ればいいというわけじゃなく、いかに美しく見せるかにこだわっていた。とにかくスタッフ全員が女性を美しく撮ろうと頑張っていたし、一つのものを作るっていう雰囲気がすごく楽しかったわ。

私の中では、時々痛いことを我慢さえすれば「最後には強くたくましく生きるんだ」っていうしっかりしたドラマだったと思っていたので、私も納得できたんです。

当時、ファンの方に「いつもお世話になってます」とか言われたんです。「なんかヘンな感じ」と思ったんですよ。それと、すごく照れくさかったのね。でも、それまでは自分に自信を持たず生きてきたけど、私にも何かしら他人が認めてくれるものがあるんだなって。存在を自覚できる瞬間でもあったんです。

これでもわたし、最初は「ほんと、色気ないよな」って言われてたんですよ。「色気ってどうやってでるんだろう?」っていろいろ考えたんですけど、よく分かんなかった。

でも、精神的なものは別として、男と女しかいない世の中で反対の性の人たちが、何かしら感じてくれることに悪い気はしないです。嫌いと言われるよりは絶対に嬉しいしね。

恥ずかしい・照れくさいという気持ちはもちろんありますけど、その人にとって自分が理想となっているわけだから、すごく光栄で嬉しいなと思っています。頭の中で私を思い描いてくれるっていうのはやっぱり嬉しいことですよ。実際に男性が行っている現場を想像すると、ちょっとドキドキしちゃいますけどね(笑)。

今でも「昔、お世話になってました」ってちょっと照れくさそうに言ってくる男性の方がいるんです。だから「私のギャラの一部を負担していただいたんですね」って言っちゃいます(笑)。ある意味、青春時代の共通の思い出ですからね。そう言っていただくと、本当に嬉しいなと思いますよ。

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