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今月の放言

日本の平和が生む性的観念 島田雅彦

直筆短冊

文壇の鬼才、島田雅彦。役者のような風貌が女性にも人気の彼は、リビドーを満足させるためグローバルな活動を行っていた。各国の歴史、文化、そして自らの経験を踏まえた彼の性理論がここにある。

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プロフィール 島田雅彦

'61年東京生まれ。東京外国語大学ロシア語学科在学中の'83年『優しいサヨクのための嬉遊曲』でデビュー。新世代作家の登場と注目を集める。主な著書に『夢遊王国のための音楽』(野間文芸新人賞)『彼岸先生』(泉鏡花文学賞)他、『忘れられた帝国』『ひなびたごちそう』『彗星の住人』など多数。

第2章 脚フェチの悩み

私は、パーツでいうと脚フェチでしてね。ふくらはぎにたまらない魅力を憶えるものであります。

女性を見るときはまずふくらはぎからですね。顔を最初に見てしまうと、すぐダメになる場合が多いじゃないですか。だから、女性を見るときは後ろから。ふくらはぎのチェックなしには行動は始まらない。

そこで脚について言えば、生脚よりストッキングを履いていたほうがいいでしょう。ストッキングはサポート効果が高いから生脚より美しくなるんですね。美しいものは包んだほうがさらに美しくなる。しかしながら、脚はすごくいいんだけども、顔とのバランスが悪い場合がある。これには非常に悩みます。女性は後ろ姿だけ見ていれば、奥ゆかしい楽しみかたがあるんですけども…。

ところで最近はスタイルがいい女性がすごく増えましたね。この20年で大分変わりました。やっぱりね、膝上がでることで筋肉が鍛えられるんですね。短いスカートを常時穿いていると見られることもあるし、しっかり脚を閉じていないとパンツが見えちゃうから。そこで独特の筋肉の鍛え方がなされて締まるんだと思うんですけどね。

---日本にいてもそれなりに満足はできますが、全世界的に美しいふくらはぎを訪ねて歩こうとしたらどうなるかを考えたことがありますか?

例えば、オリンピックのテレビを見ても黒人の陸上選手はすばらしい脚をしてますよね。特に長距離の選手にすばらしい脚の持ち主が多い。最近、メダルをとるのはエチオピアとかケニアとかアフリカの中部の耕地に住んでいる人たちだということが分かったので、私はケニアに行ったんですね。

やっぱりね、視線は下に固定されたままでなかなか上にいかなかった。ふくらはぎフェチとしては、とにかくナイロビにいると楽しくてしょうがなかった。一緒に行ったカメラマンに「ケニアの印象的なショットが欲しい」と相談されたので、「それなら、まず若いふくらはぎ美人を10人集め、彼女たちを一列に並べて同じポーズで脚を組ませるんだ。それがいいに決まってる。それがケニアのイメージショットになる」と強行に主張しました(笑)。

しかしながら、若ければ全身きれいですけど、おばさんはお腹がぶっくり出ていてもふくらはぎがきれいなんです。これがまた困りものでね…。

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