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今月の放言

大人の女性がいい 乱一世

直筆短冊

深夜の人気番組「トゥナイト」のレポーターを13年にわたって務めた乱一世。風営法施行の影響、あの手この手で新しい挑戦を繰り返す風俗業界、変わりゆく若者の性について自らの体験を交えながら語ってくれた。彼がリアルに感じ、見つめ続けた現代の性とは。

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プロフィール 乱一世

東京都出身。昭和51年、人気ラジオ番組『ザ・パンチ・パンチ・パンチ』のパーソナリティとして芸能界デビュー。主な出演番組として『トゥナイト』『噂の!東京マガジン』『目撃!ドキュン』他多数。スピーディでわかりやすい独特の語り口で司会、ナレーション等で活躍中。

第4章 演出力で高揚していく風俗

「トゥナイト」でレポートした風俗で、家庭を設定してくれるっていう所があったんですよ。畳があって、食卓があって、本当にどこかの家の中みたいになっている。で、愛人の家とか、自分の家とか、とにかく自分の好きなように演出するんです。

その時、僕がやってみたいなと思ったのは、自分の家庭でできない夫婦ですよね。それこそ、帰って来た時にエプロンだけでいてくれとか。食卓の上でHするとか。あとは窓に手をつかせてHする。で、窓が少しだけ開いてて、相手の吐息でそのカーテンが揺れるとか。そういうことをしてみたいですね。

僕は女性に恥ずかしいことをさせて俯瞰してみたいという気持ちがあるかも知れない。それこそ江戸川乱歩みたいな世界に迷い込んでみたい。だから僕は妄想派なんでしょうね。

最近は性があまりにダイレクトになり過ぎて来たんで、その風俗みたいに自分の演出力とか想像力でどこまで性的に高揚していけるか試すっていうのが面白いなって思いましたね。自分が痴漢になるとかいう「いきなりさ」じゃなくて、そこにあるのはごく普通の部屋。相手の女性も女医さんとか看護婦さんとかじゃなくて普通の格好しているわけですよ。自分の演出力を頼りに高揚していく。哲学的に言うと、日常を非日常化してしまうというか。

女性もやっぱり演技力のある人の方がいいんでしょうね。そういう風俗の仕事している人はかなり演技力がないと。だって誰が来ても相手しなきゃいけないわけですから。

今って、言ってしまえばファッションマッサージで1万円出せばヌイてくれちゃうわけですよね。そこには生産性っていうか、自分の脳を柔軟にする作業って必要ないわけですよ。

僕らはビジュアルじゃなく本で入った。だから活字で想像を働かせたり、愛人の部屋にいる自分を演出したりもできるんです。若い子でそういうことのできる人って少ないでしょ、きっと。その辺の発想力の違いは大きいと思いますよ。

ちょっと話が飛びますけど、30年ぐらい前から比べると日本の子供の学力がものすごく落ちてると言われてますよね。僕は、なんかその辺にひとつ要因があるのかなって思います。

だから、若い人達の想像力や演出力を養うという意味で、フランス書院みたいな「性の香りのするもの」って大事だと思いますよ。

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