話題作を次々と手がけ、最も注目されている作家・脚本家の竹山洋。『利家とまつ』では夫婦の愛の気高さを描いた彼だが、人間の性に対してどのような考えをもっているのだろうか。青春時代の思い出、女性観、セックス観など裸の意見を語ってくれた。
おじさん達も昔だったら「若い子のほうがいい」っていう人がけっこういたんだろうけど、最近は「相手するんだったら、せめて30代とか多少人生を分かった女性のほうがいいよな」っていう意見が多いと思うんですね。人妻、熟女っていう単語が多く見られるフランス書院の最近のタイトルを見てもそうでしょう。でも、私は50歳すぎてるから30代の女性なんてまだまだ子どもに見えますけどね。
最近ね、私にも「60代のセックスを書いてくれ」なんて依頼が多いですよ。ある雑誌なんかは“60歳からの性を楽しむ”という特集をしてたからね。まぁ、これぐらい生きてくると人間も余裕がでてくるよね。渡辺(淳一)さんの『失楽園』の時も「脚本を書いてくれ」っていう依頼があったんです。渡辺さんにはすごく失礼なんだけど「こんなヤってばっかりの話なんてとんでもない」なんて思ったんですよ。その時はたしか50歳ぐらいだったかな。
でも、今になってみると「それもいいんじゃないの」って思うようになった。たぶん私が60歳になったら、もっとそう思うんじゃないかな。たった一度の人生なんだから、他人に迷惑をかけなければどのように楽しもうと個人の自由だからね。昔から言ってるんだけど「私、今日はパートナーを欲してます」っていうバッチを付けて分かりやすくすればいいんですよ。そうすれば、みんなもっと楽しめますよ(笑)。
熟成した性的国家という意味で誰にも迷惑をかけずにみんながしとやかに遊ぶのであれば、それは許されるんじゃないかな。それを不倫と捉えるか、人生の楽しみと捉えるかですよ。不倫と捉えたほうが秘め事っぽくて面白いのかもしれないけれどね。淫靡にしなければならないこともあるんだろうけど、私はあんまり興味がないんです。スケベというより肉体的に健康だから性を欲するんですよ。
そういう意味でこの20年間、私はすごく真面目になりましたよ。NHKの番組ってシチュエーションが割と堅いじゃない。そういうのを書いていると人間に対するモラリティーが生じてくるんですよ。『利家とまつ』を書きながら性犯罪を起こすわけにはいかないんだよな。『利家とまつ』に対して非常に失礼な行為ですよ。