一覧に戻る

今月の放言

性は霊的なもの 竹山洋

直筆短冊

話題作を次々と手がけ、最も注目されている作家・脚本家の竹山洋。『利家とまつ』では夫婦の愛の気高さを描いた彼だが、人間の性に対してどのような考えをもっているのだろうか。青春時代の思い出、女性観、セックス観など裸の意見を語ってくれた。

profileName

プロフィール 竹山洋

1946年、埼玉県生まれ。早稲田大学文学部演劇科卒業。ジャズベーシスト、旅行代理店等を経て脚本家の道へ。テレビドラマ『菜の花の沖』『夫の宿題』で平成12年度芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。大河ドラマ『利家とまつ』『秀吉』をはじめ、『少年H』『兄弟』『菜の花の沖』『ホタル』(映画)など数々の話題作を手がける。

第3章 私は貢くん

初体験はたしか20歳ぐらいの時で相手が19歳だったかな。会った瞬間になんかOKみたいな感じだったんですよ。さすがにびっくりして、「今日はまずい」って断ったんです。 正直、初めてだったのでどういう風にしたらいいか分からなかったわけです。お金がいるのか、どこで行なうのか分からないわけ。昔は高田馬場に温泉マークが3件ぐらいあったんです。そこに料金が書いてあって600円かそれぐらいしたと思うんですけど、当時の自分にとっては高かった。しょうがないからギターを質屋に持って行ってお金を作ったんですよ。バンドやってたのにね。それで高田馬場の喫茶店で彼女と会って、温泉マークに行った。彼女は16歳ぐらいから遊んでたらしく馴れたものでしたよ。いやー、ドキドキしたのを覚えてるなあ。

それから2年ぐらい、その子に狂っちゃいました。日雇いで働いたり、血を売ったり、バンドの仲間からお金を借りたりして頑張ってお金を稼いで貢ぎましたよ。

そう、私は“貢くん”なんですよ(笑)。女性と付き合うと貢いじゃう。これね、父の教えなんですよ。お金があればいいってもんじゃないんだけど「女性と付き合ったら一銭も使わせるな」と。逆に世話をして貢ぐのが好きな女性っているじゃないですか。そういう人にはフラれちゃうのね。

私は女房が好きだから遊ばないだけですが、性と恋愛は全く別なものだと思いますよ。人に迷惑をかけない範囲ですけど、楽しければいいじゃないですか。私がいうところの霊的、もしくは宗教的に帰依していない限り、性は抵抗しても無駄ですよ。セックスは我慢できないですよ。それをどれだけスマートに処理していくかで人生の喜びになるか、苦しみになるかが決まるんじゃないかな。

ただ最近は、少しだけ性から自由になってきたのを感じます。女性を見ると四六時中そういう気分になることがあったんですが、今はなくなりましたね。してもしなくてもいいかなと思えるようになった。ずいぶん楽になりましたよ。

それでたまに「今日は邪な夜にしたいな」と思った時にフランス書院を読むんです。こうやって性を欲することは、男にとってすごく自然で健全な行為ですよ。

性は霊的なもの 竹山洋05
性は霊的なもの 竹山洋06