話題作を次々と手がけ、最も注目されている作家・脚本家の竹山洋。『利家とまつ』では夫婦の愛の気高さを描いた彼だが、人間の性に対してどのような考えをもっているのだろうか。青春時代の思い出、女性観、セックス観など裸の意見を語ってくれた。
フランス書院マスターズ文庫にもあるような男女のしがらみの話って私はあまり書いてないんですよ。原作がたまたまそういう話だったことはありますけど、テレビではほんとありませんね。にっかつロマンポルノの時だってすごく苦労しましたよ。
ポルノっていうのは肉体の行為を書けばいいってもんじゃないでしょう。女性がどうやって男に墜ちていくかとか、男女がどういう風に触れあっていくかという心の屈折を描くものですよね。昔でいえば夏目漱石の『それから』みたいなものです。健康だから欲する私にとっては、心のうねりをセックスで考えるのが非常に難しかったですね。
真面目な話、私が脚本を書いたにっかつロマンポルノは「つまらない」ってよく言われましたよ。監督にも「行為なんてどうだっていいんだよ。行為の前を書いてくれ」って。当時、ほんと苦労しました。
私は時間の経緯によって相手を自分に引き寄せることが嫌いだと思うんですよ。ちょっと言い方が悪いでしょうけど、「スポーツだと思って、今夜一緒にヤらない」「いいですね」っていうのが好きなんだな(笑)。そういう明るい感じが好きなんですよ。
たぶん、すごく動物的なんでしょうね。飲み屋に行っても通いつめてママを口説くっていうのがダメでしたね。座った瞬間に「今日、ヤリましょうか」っていうタイプなんです。そこで「いいわよ」っていう女性って私は“いい女”だと思うんです。でも、フランス書院的に見れば行為だけのつまんないセックスなんでしょうね。
私がセックスに関して一つだけ言えるのは自分にとって肉体の相性が合う人と出会えるか否かはすごく重要だということ。浮気をしない理由の一つに体の相性が合うからっていうのもあるしね。そういう女性に会えた人ってラッキーだと思うな。人生もガラッと変わりますよ。
セックスが合う、合わないを単純に言うとね、行為をしても疲れるか否かですよ。疲れない女性はその人にとっていい女ですよ。セックスをした後、目の下が真っ黒になってしまう女性は運を下げますね。ヤっても疲れなくて元気になる女性っているんですよ、ホントに。
性って霊的なものなんじゃないの。たぶん、いいセックスをすると悪霊も逃げていくんだと思うよ。いい相手とそういう行為をすると、霊的にも強くなるんじゃないかな。「浮気をしない」なんて言ってしまうと嘘っぽく聞こえるかもしれないでしょうけど(笑)。浮気をして悪い気をもらったりしたら、それで終わりですから…。セックスって本当に恐いものなんですよ。
だからきっと豊臣秀吉のおねさんていうのはすごい元気にしてくれたんでしょうね。前田利家のまつさんも戦場から帰ってきたら悪い気を洗浄してくれたんだと思いますよ。セックスは魂の行為だからね。