「関節技の鬼」または「テロリスト」として常に注目を浴びてきたプロレスラー、藤原喜明。プロレスの神様、カール・ゴッチ直伝のサブミッションを駆使し戦っているその姿はまさに“鬼”そのものだ。そんな彼が“今だから言える場外の暴れっぷり”を存分に語ってくれた。
18歳の時から5年間、サラリーマンをしてたんだけど、仕事から帰るのが6時頃なんだよな。それから寝るまでの4、5時間ってすごく暇でな。だから、なんかしようと思って女の裸の絵を描き始めたんだよ。田舎もんだったから遊び方もよく分かんなかったし。
こんなこと言うのは恥ずかしいけど、俺、女のおっぱいとか尻が好きだからそういう絵もよく描いてたな。当時のプレイボーイとか平凡パンチを見てて「キレイだな」って思った写真は切り抜いてとっていた。とにかく絵を描きたかったんだよ。もしかしたら、絵を描くことによって自分のものにするっていう感覚があったのかもしれない。というのも当時は女とどう接したらいいのか、全然分からなかったんだよ。例えば、会社に俺のことを好きなやつがいて、相手の女はすごくアプローチしてきているのに俺は全く気づかなかったりとか。
ホント、アホだったな。女にものすごく興味があるんだけど、どうしていいのか分からずがんじがらめにされている感じ。その発散の一つの方法として絵を描いてたんだよ、たぶん。なんか俺の青春って暗いよな。可哀想だったな、俺(笑)。
ある時さ、絵を描いてもそのイライラがどうにも収まらなくてね。真冬の雪が積もっている日、上半身裸、足は裸足で雪の中を「クソぉー」って思いながら走りまわったことがあるよ。当たり前だけど、すげー冷たかったな。でもさ、溜まったイライラを解消するにはそうするしかなかったんだ。周りはあの人、おかしいんじゃないかって目で見てたけど(笑)。
入り口はどうであれ絵を描くのが趣味になって、今は陶芸とか盆栽をしてるんだ。すごく面白い。みんなは格闘技をしてるヤツを筋肉バカと思ってるかもしれないけど、そんなヤツは絶対勝てない。
たとえば陶芸は微妙な作り方の差で出来がものすごく違ってくる。そういうことができる細かい神経と、どんな相手にも立ち向かう図太い神経の両方を兼ね備えてなければいけないんだよ。プロレスだけじゃない、相撲、ボクシング全部同じこと。不器用な図太い神経だけじゃ絶対勝てない。格闘技をやってるヤツらはみんな繊細だよ、ホントに。