様々な心の悩みに解決の糸口を提示してくれる頼れる心理学者、富田隆。今回は性をテーマに我々の行動の本音、日本社会の素顔、そしてセックスを分析。トレードマークの髭を優雅に揺らしながら、驚きの解釈をしてくれた。
今の日本では、お姉さん、熟女、継母といった女性主導型の話は受けているけど、一方で相変わらず「男はスーパーマンであるべき」みたいな思いこみは根強いですよね。
これは男にとって、セックスがものすごく負担になってしまう場合がある。例えば、酒を飲んでベロンベロンになってたら勃たないですよね。でも、「いつでも勃たなきゃいけない」という思い込みがあると「自分はダメなやつだ…」と自己否定をしてしまう。意識では性を楽しんでるはずなのに、心のどこかで現実の性を怖がるようになる。今の男はこういう状況に追い込まれても不思議はないですね。
自分に対してそんなに要求を高くしなくてもいいんです。つまり、自分のモノだけで相手を喜ばせようとしなくたっていいわけですよ。相手に喜んでもらいたいと思ったら、指だって口だっていいわけです。それなら酔っぱらっていてもできるでしょ。それで良しとしないから、自分を追い込んでしまうんです。
一方で女性は現実主義な部分があるから、その時気持ち良ければいいと思ってるんじゃないかな。親切心で「射精してほしい」はあると思いますけど、「相手に絶対射精してもらわなきゃイヤだ」なんてことはほとんど思わないんじゃないかなぁ。そういう意味で男の方がセックスに囚われている感じがしますね。
ほら、女性は男の手をよく見るって話があるじゃないですか。男の手を見る女性は、ものすごくイマジネーションが豊か、もしくは愛された経験が豊富な場合が多いんです。男が能動的に働きかける場合、一番活躍するのはやっぱり手ですよね。とすると、ある意味ではペニス以上に女性を喜ばせるわけです。そのことをよく理解している女性、加えてそういう愛撫を想像できる女性は男の手を見るんでしょうね。つまり女性は、男が思うほどペニスに執着していないんです。ペニスだけじゃないんです、セックスは。
セックスは男にとって夢が投影される部分でもありますよね。一方、女性の場合、これはもっと研究しないといけませんけど、セックスにそんなに幻想を抱いていないと思うんです。男が夢を抱かせるようなセックスをしていないという一面もあるんでしょうけれど、性という人間関係から自分にとってどういうものが手に入る可能性があるかを理解していると思うんです。そういう判断力は女性の方が高いと思うし、その中で性を上手に楽しんでいるという人も女性には多いと思うんです。
男はね、いつまでも夢を追ってるというかね…(笑)。それが場合によってはストレスになったりしてね、可哀想だったりするんですけど…、なんか人ごとじゃなくなってきたね(笑)。