圧倒的な存在感で見る者の心に根を下ろす俳優、佐野史郎。プライベートはもとより全てが謎に包まれた彼の心には、こちらの想像を絶する、宇宙規模の変質感が広がっていた。彼にとってのエロス、女性に求めるものとは何か? その深遠なる精神世界を訪ねてみた。
女の子がかわいいとかって初めて思ったのは、小学校の頃じゃないですかね。まぁちゃんとしてでもないけど男女交際したのは、中学校とか高校のときかなぁ。いや、でもホント人に言えないことだらけなんですよ。そうじゃなきゃ、こんな表現の仕事なんてしてないと思いますよ。
女性に目覚めたのと音楽に目覚めたのは同時ぐらいじゃないですかね。音楽を始める動機として、女にモテたいって人がよくいますけど、僕、わからないんですよね。実際、音楽をやってて女にモテたことなんてないし、そんなことを考えたこともなかった。これを理解しあえる人って少ないんですよね。そういうところが、芸能界にいても僕が『変態』って言われる所以だと思うんですけど…。
僕はいい音を聞いて、いい映像を見たいんですよ。ほんと、それだけ。だから音を聞いて気持ちいいとかっていうのは、ありますよね。それで性的に異常に興奮するっていう人もいるだろうけど、僕はそういう対象として見てないからわからないです。
僕にとって女性とは、一言でいえば“母親”だろうね。やっぱり人間誰でも、お母さんから出てきたからね。だから、僕もマザコンですよ。
例えば、近くにきれいな女性がいたとして、話をしていても、ヤリたいっていう観点でみれば、ヤルために話していたのねっていう風にみえる。でも、ただ話をしてヤレなかったら、あの人はただ話をしたかっただけなんだなって、捉えることができますよね。
相手の女性に母なるものを求めて近づいてるかどうかはわからないけれど、要は自分がどう思っているかの問題。でも、自分の意識で何かやってるっていうのは、たかが知れてるでしょ。つまり、本当にやりたいことをしているのかどうかは本人にはわからない。だから、僕はよく言うんです。「僕はこういう人間なんです」ってみんな言うけど、それは他の人が決めることだって(笑)。これは僕にも言えることだしね。「僕はマザコン」って自分で言ってても、それはやはり他人が決めることなんじゃないかな。
まぁ、僕は女性に対していろいろコンプレックスがあるしね。幼少期にもさっき言ったみたいな、人に言えないようないろんなことがあって、そういう女性に対する恨みとかけっこう深いものがありますから。