一覧に戻る

今月の放言

きゅんな快楽を求めて 川上史津子

直筆短冊

幼少時代、父親が読んでいた雑誌をむさぼり読むことで、活字への渇望と性への興味を満たしていたという歌人、作家、舞台女優というマルチな活動をこなす川上史津子。「エロねーちゃん」を公言してはばからない彼女のもつ性愛観とは? 「日本一のエロ短歌女優」をもってしても、決して31文字ではおさまらない、ディープな実体験と世界観があった。

profileName

プロフィール 川上史津子

1971年9月21日生まれ。歌人で作家で舞台女優。直球勝負で性を詠い幅広い世代の支持を得る「自称・日本一のエロ短歌女優(笑)」。著書は『処女歌集 恋する肉体 koisuru karada』、『えろきゅん』があり。また現在、携帯小説『恋する放課後♪』を連載中なので、こちらもチェック。

第1章 早熟活字少女

官能小説は、幼いときから父親の買ってくる週刊ポストを隠れて読んでいて、とても近い存在でした。私はとにかく昔から活字中毒で活字ならなんでも好きだし、官能小説だからっていう偏見は全くありませんでした。

フランス書院さんの本は、山本直樹(森山塔)さんの大ファンなので、山本マンガは全部持っていてお世話になってます。また立原あゆみさんのコバルト文庫で性愛をテーマにした作品があって、これは小学校の頃から。当時、少年ジャンプで江口寿史さんの『すすめ!!パイレーツ』の中に「僕、童貞」という台詞が出てきて、その意味を母親に聞いたことがあります。「やるべきことをまだしていない男性のことを言うのよ」って、今思えばとんでもない質問なんですが、すごく適切な表現で教えてくれました。私が性愛に偏見を持たずにいられたのも、母親のこの言葉があったからかもしれません。

好きな設定としては、少年がお姉さんにいろいろ教えてもらう感じがドキドキしちゃいます。(フランス書院文庫を前にして)この中なら『年上願望~女教師と叔母~(弓月誠著 '05年)』がとても気になりますね。

性に関しては小学校の頃から意識してました。中学1年生の時、女の子だけでHな話をしていて無垢な子に「男の人の××を“こういう風に”するんだよ」って教えたら、その子、泣いちゃって…。私自身に偏見がなかったので事実を話しただけなんですが、悪い事をしました。周りの男子は「こいつは平気だ」と思ったみたいで、お父さんのベッドの下にあったエロ本を持ってきて、私にだけ見せてくれたり。ただ、いきなりパッと洋モノの無修正だったので、あまりに生々しくてダメだったんですけど…(苦笑)。

初めては高校のときの彼でした。何度目かのデートの時、お互い帰りたくないっていう雰囲気になり、そしたらラブホテルの看板が見えてどちらからともなく…。とっても良かったですよ。「人間って教わらなくても“やり方”がプログラムされているんだなぁ」って。今となっては甘酸っぱい素敵な思い出です。

連載中の小説には中高生対象のものもあり、作品を通して「大事にするところは大事にしようよ」っていうメッセージがあるんです。というのも私は小学校5年のときに痴漢にあって、泣くほどショックだったことがあって。性愛に関しては絶対に合意の上で、お互いの気持ちが熟した状態で出来るのが一番。例えば若い子が彼氏に体を求められた時、「しないと嫌われるから…」って悩んでいる子に、「アナタがしたくなければ、まだしなくてもいいんだよ」って言えるお姉さんになりたいんです。だから、レイプものは好きではないですねー

きゅんな快楽を求めて 川上史津子01
きゅんな快楽を求めて 川上史津子02