類い稀なサウンドクリエイションを武器に、世界中の音楽ファンを魅了するミュージシャン、田中知之。雑誌編集者時代、ファッションエロ写真スクラップ…。今までに培ってきたエロに対する確固たる概念と、世界中を仕事で飛び回るうちに養われた自身の美女観を擁し、実体験を交えて独自のエロイズムを語ってもらった。
もちろん直接的なセックスとかも嫌いじゃないですよ。女性のエロ写真とかも僕はコレクターといわれてもおかしくないくらい膨大に集めてましたから。
個人的には色素の薄い人が好きですね。色黒で雌ヒョウのような女性は好みじゃないかも。そういう活発なイメージの強い女性は得意じゃないですね。だから他の肉体的なことを言えば乳輪の色が薄い方がいいとかね。嗜好ってオモシロイですよね。例えば友人のリリー・フランキーさんは乳輪はデカけりゃデカいだけいいって言ってますけど。そういう嗜好によって自分が常日頃から行動しているかって言ったら、決してそうじゃないわけですよ。嗜好として憧れたりする部分っていうのはあるのかなあとは思いますけどね。
僕の場合、今この瞬間に『~教室の檻~女教師は犯されるために生まれたのか』(上杉要著 '04刊)を見てピンとくるわけです。「ああ、俺ってメガネフェチなのかなあ」とか「インテリっぽいとっつき憎い感じがいいな」って自分の嗜好を確認できたりもする。最近はAVを見る機会はほとんど無いんですけど、昔はレンタルビデオ店でバイトしてましたから。女教師役が出てきたりするとワクワクしてました。そういう憧れみたいなものをフランス書院という官能小説に求めるんでしょうね。
ただし、こういう小説はある程度の恋愛経験値のある人が読まないと、SF小説と同じような気がするんですよ。若いころは経験値がないから、ここに書かれた世界って想像でしかないというか。そういう意味で、僕の場合はそのストーリーがリアルであればあるほど楽しめる方なので、ある程度経験値があったうえで読むともっと楽しくなると思うんですよ。僕もやっとその年齢にさしかかってきたというかね(笑)。最近読んでみて初めて「なるほど」って感じたり、読めたりできると思うんです。
僕が昔好きで集めていたのはファッション誌以上、エロ本未満くらいの写真です。日本でいえば篠山紀信さんの初期の写真とか、立木義治さんの写真ですね。エロスクラップで有名なみうらじゅんさんは、マスターベーションが前提にあるコレクションじゃないですか。もちろん、それが決して悪いとか、そんなんじゃなくて、僕の場合は自分のマスターベーションやセックスと直結していないんです。自分の性欲とはまた別の部分で、セックスや女性のからだといったものを自分がディレクションすることで、人を喜ばせることに興味があったんです。それはまた自分の性的な嗜好とはまったく別なんですよ。