類い稀なサウンドクリエイションを武器に、世界中の音楽ファンを魅了するミュージシャン、田中知之。雑誌編集者時代、ファッションエロ写真スクラップ…。今までに培ってきたエロに対する確固たる概念と、世界中を仕事で飛び回るうちに養われた自身の美女観を擁し、実体験を交えて独自のエロイズムを語ってもらった。
僕のつくる曲は全部エロです。僕のイマジネーションの世界にある究極のエロだと思いますよ。例えば、昔書いた詩で『欲望のすべて』というのがあるんですが、これは女の人が男の人に、「あなたが私にして欲しいことを全部ノートに書いて」っていって、「それを順番に叶えてあげます」っていうものなんですが、それって男の理想の世界なわけですよ。どんな恥ずかしいことでもその女はやるわけです。まあ、言ってみたらSMの世界ですよね。あと、この前の曲だと『WHY NOT?』という曲があるんですが、これは「何でだめなの」っていう意味と「もちろん」ていう意味と2つあるんですが、結局「何で恥ずかしがるの? イイじゃん」っていう曲なんですよね。
また編集者時代の話なんですが、『smart』の撮影とかでAV女優の方に目の前でハダカをブランブランされたことがありますが、そのときは何も感じないんですよ。でもこれは当然なんですよね。男は結局ハダカが見たいんじゃなくて、恥じらいが見たいからなんですよ。恥じらいのないものに対して欲情しないのは当然なんです。男はセックスのときに電気をつけたがるっていうじゃないですか。これはハダカを見たいというのは当然あると思うけど、電気をつけることによって恥ずかしがる女の姿が見たいからだと思うんです。恥じらいが無いものはエロじゃないんです。
僕が一番興奮するのは、例えば飲み会とかで普通に隣でゴハンを食べてた女のコが帰ったあと、「さっきまで隣にいたあの女のコ、実は風俗嬢なんだよ」とか言われると、凄い興奮します。「あの子が…」なんていろんな妄想がどんどん膨らんでしまう。これは実際に風俗に行くよりも、風俗雑誌を見ている方が興奮するのと同じ感覚だと思うんですよ。人に迷惑をかけず、想像だけでエロを楽しむという、これぞ究極のエロでしょうね(笑)。
若いときは誰もが同じような経験してますよね。このエロ本のこのページのこのカットと、このシチュエーションをミックスして、みたいなね。自分の最高のエロを求めて、オリジナルな編集作業を繰り返すうちにその人自身のエロ観やイマジネーションみたいなものが、大人になるにつれて個々でしっかりと芽生え、熟成されていくわけですよ。それは本当に興味深いですよね。