AVの創世記より男優として活躍し、最近ではテレビ番組や本の執筆など、活躍の場を広げている加藤鷹。セックスのプロとして男女の垣根を超えて存在する彼への絶対的支持、常人は持ち得ないキャパの広さ、そして“哲学をもたないという哲学”。セックス、恋愛、人間…、“加藤鷹イズム”とは果てしなく広く、そして深いものだった。
理想的な形としてはAVを見ないで初体験するのがいいんですよ。よく言ってますが、AVを娯楽として観てくれる分にはいいんだけど、教材としては見てほしくないんですよね。だって、受け取る側が間違えて感じとってしまうとセックスが違う方向に行っちゃうんですよ。
それは今の学校教育者にも言えるところがあるよね。っていうか、教育者じゃないよね今の先生って。指導者なんだよね。指導はできるんだけど、教育はできない。だから、俺にガーンってぶつかってくるんだけど、ひと言でひるんじゃう。「法律で禁止されているにも関わらず10代の子供たちがAVを観てるわけですが、その影響についてアナタとしてはどう思いますかって言いたいんでしょ?」って逆に聞いちゃうから。
「あなた方も先生ならAVのパッケージの裏側見たことありますか? 18歳未満の人が観ていいなんて、どこにも書いてないですよ」って言うんですよね。そうすると何も言えなくなっちゃうんですよね。先生がやるべきことは、観ていいとかダメとか、そういうことじゃなくて、18歳未満は観てはダメなんだっていうことを教えることだよって言うんだよね。そこで、こっそり観るかどうかっていうのは、もう個人レベルのことだから。大事なのは18歳未満は観てはダメだって教えることなの。だからJTの人を呼んで「20歳になってないのにタバコ吸ってる人いますけど、どうなんですか?」って聞くのと同じなのに、それはやらないでしょ? 20歳未満で吸ってない人なんていません、なんてありえないでしょ? 俺に言わせればみんな妄想を語ってるんだよ。20歳未満なのに「俺は吸ってるんだ」っていう罪の意識をもつことが大事なんだよ。セックスにしてもそうだけど、子供たちに「なんでいけないわけ?」って言わせちゃいけないんだよ。罪の意識を大人がもたせなきゃいけないの。それなのに会合に行くとそういう大人がいないんだよね。
でも俺、それで若者を責めたことないんですよ。結局自分がそうだったように、自分より大人の人を見て学習していくわけで、何か特別なことを唱えるわけじゃないけど、日々のことから子供は学ぶんだよね。男にとって女性の基本はやっぱり母親だし。その母親たるものどうだったのかっていうと、それは大人の問題だよね。それで今の子は愛情を注がれてないから、簡単にただセックスすることも愛情だと思っちゃう。本質がないから、だからインポと不感症が増えるんだよ。