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今月の放言

好きな人と好きなだけ 翠玲

直筆短冊

'90年代に小室ファミリーを代表する歌手として、日本のミュージックシーンにその名を刻んだ翠玲。現在は映画やドラマなどを中心に女優として活躍している。青春時代のほとんどを芸能界という特別な環境で過ごした彼女。その性愛観&恋愛観は、男女を問わず支持される自然な感覚。それは意外なほど身近でシンプル、そしてあどけない表情から想像もできないほど逞しく強いものだった。

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プロフィール 翠玲

1995年、小室哲哉の音楽プロジェクトEUROGROOVEのフューチャリング・ボーカリストとしてカッティング・エッジからデビュー。その後、TV、映画など活躍の舞台を広げる。主な作品として映画『チャイニーズ ディナー』『金田一少年の事件簿~上海魚人伝説』、Vシネマ『ブルースの掟』『仁義37』他多数。

第2章 捨て犬に見えて…

告白するときは自分からはしないで、言わせようと仕向けるタイプ。言ってもらうために努力するんです。今まで一度だけ自分から告白してお付き合いした人がいたんですが、その人とは6年間付き合いました。

その彼とはいい思い出がいっぱい残ってますね。なんだか性格的にすごく似てる部分があって。私は昔から無意識に人に気を遣ってしまうところがあって、周りから要求されると、できもしないのに「もっと期待にこたえなきゃ」と自分で自分の首をしめるタイプだったんですね。彼にもそういう部分があって、だからそれを解放してあげたいなと思ったんですよ。彼を本気にさせるにはどうしたらいいか必死に考えて、私なりに出した結果がロスに連れていくことだったんです(笑)。もちろん旅費は全部私が負担しましたよ。そこで彼が知らない世界を私が教えてあげようと思って。ロスには2週間ほど滞在しました。私の友達に会わせて私の魅力について間接的に語ってもらったりして、援護射撃してもらいました(笑)。帰国後、私はそれで満足したわけではなかったし、恋愛の掛け引きみたいなものも全く考えてなかったんですけど、忙しさのあまり、彼に対して結構冷たく接しちゃったんですよ。そしたら彼が捨て犬みたいに見えちゃって。そんな彼を見てたら、さらに惹かれちゃったんですよね。

最初に会ったときの彼は少年と大人の中間って感じで、とても純粋だったんです。そういう無垢な部分にヤラれたんですね。彼は子供っぽいというか物事に対してすごい冒険心があって、私自身が好奇心とかをなくしてるときに出会った人だから、最初は新鮮でしたね。いろんな場所で求めてきたし、スーパーのカゴに乗って走ってどっかに行っちゃったりとかして。でも、そういうのを見てたら「長く続かないな…」って思ったんです。今思うと私にないところが魅力的に見えて6年も続いたのかもしれないですね。人前では感情を隠す私が堂々と彼とケンカもしたし、そういう意味で私も変われたんだと思います。

あと、その前に付き合ってた人が最悪だったので、余計に新鮮だったと思います。というのも、その人はホストだったんですよ。その当時、私はホストがどういうものか知らなかったんです。とにかくすごいマメでしたね…(笑)。後から聞けば私は“お飾り”だったらしいです。彼はもちろんしっかり浮気もしてましたよ。浮気する人なんて最低だと思ってましたし、まさか自分が騙されてるなんてこれっぽっちも思ってませんでしたから、本当にびっくりしました。

好きな人と好きなだけ 翠玲03
好きな人と好きなだけ 翠玲04